映画『のみとり侍』が2018年に全国東宝系で公開される。
同作は、表向きは家庭で飼われる猫の蚤を取る商売だが、実態は「床」で女性に愛を届ける裏稼業である「のみとり」をモチーフにした時代劇。藩主の機嫌を損ね、「のみとり」として暮らすことを命じられた越後長岡藩藩士・小林寛之進が、次第に技術を上達させて「のみとり侍」として成長していくが、老中・田沼意次の失脚によりのみとりが禁じられ、犯罪者として窮地に立たされるというあらすじだ。原作は小松重男の短編集『蚤とり侍』。
主人公の寛之進役を演じるのは阿部寛。寛之進の亡き妻に瓜二つで、初めての「のみとり相手」となる千鶴役を寺島しのぶ、のみとりの親分・甚兵衛役を風間杜夫、妻・お鈴役を大竹しのぶ、寛之進が身を寄せる長屋の隣人・佐伯友之介役を斎藤工、寛之進に女性の喜ばせ方を指南する恐妻家・清兵衛役を豊川悦司、清兵衛の妻・おちえ役を前田敦子、田沼意次役を約15年ぶりの映画出演となる桂文枝が演じる。
メガホンを取ったのは、『砦なき者』『永遠の仔』をはじめとする数多くのドラマや、『愛の流刑地』『後妻業の女』などの映画を手掛け、『紫綬褒章』『旭日小綬章』を受章している鶴橋康夫。鶴橋は原作のエピソードをもとに自身で物語を再構築し、脚本も執筆した。撮影は8月30日から10月中旬までを予定しており、全編京都ロケを行なう。
主演の阿部寛は鶴橋監督とのタッグについて「ずっとご一緒したかったので、こうして『のみとり侍』としてオファー頂けたことは、夢が叶ったかのように嬉しく、歴史ある京都の地で、こうした作品を作っていけることにすごく幸せを感じています」とコメント。
寺島しのぶは自身の演じる役について「とても艶っぽい愛おしい女性なのでそう存在できるようにしたいものです」と意気込みを語っているほか、豊川悦司は「鶴橋康夫監督の最新作にて最高傑作!中高年の、中高年による、中高年のための、痛快人情喜劇娯楽時代劇!」とのコメントを寄せている。
阿部寛のコメント
『のみとり侍』というタイトルを聞いただけで、ほろっとわくわくしたし、出てくる登場人物たちが、一人ひとりが、人間味豊かで、クスっと笑えて、泣ける脚本だなと思いました。
鶴橋組常連の方々との共演も楽しみです。色気があって、チャーミングで・・・見ているだけで、きっと引き込まれるでしょうし、それに応えられる芝居をしないと気の引き締まる思いです。
鶴橋監督とはずっとご一緒したかったので、こうして「のみとり侍」としてオファー頂けたことは、夢が叶ったかのように嬉しく、歴史ある京都の地で、こうした作品を作っていけることにすごく幸せを感じています。観た人が、“のみとり”をされたかのように気持ちのいい時代劇になればいいなと思っています。寺島しのぶのコメント
『愛の流刑地』以来又鶴橋監督とお仕事ができることが嬉しくてなりません。
とても艶っぽい愛おしい女性なのでそう存在できるようにしたいものです。
阿部さんとも舞台「近松心中物語」の共演以来なので久々の再会を楽しみにしております豊川悦司のコメント
鶴橋康夫監督の最新作にて最高傑作!
中高年の、中高年による、中高年のための、痛快人情喜劇娯楽時代劇!
日本人は、日本の国は、こんなにも素朴で温かみに溢れていた!
絶賛撮影中!乞うご期待!桂文枝のコメント
映画は久しぶりです。
時代劇も、今回のような実在の人物を演じるのも、田沼意次という、比類なき政治家を演じるのも、とにかく歴史書を読み漁ってと思っていたら、監督さんから、読まないでと言われたので、気が楽に、脚本が面白いので、監督さんのイメージに合うように、演じられたらと、思っています。鶴橋康夫監督のコメント
40年前、偶然『蚤とり侍』の小説を手にして、「のみとりって?」。猫の蚤を取るとみせかけ、実は裏の商売をする主人公に興味がわいた。
中間管理職である越後長岡藩・勘定方書き役の小林寛之進が、生真面目すぎるあまりに殿の怒りを買って藩を追い出され、江戸の人々に助けられながら、世の中の激動に飲み込まれていく。そこに現代のサラリーマンに重なる部分を感じ、「不条理でばかばかしくて笑える映画をつくってみるのはどうだろう?」と。
主人公・小林寛之進は、悲劇を喜劇に、不条理をロマンチックに演じ、哀愁の男っぽさを表現できる阿部寛さんに託すことにした。
人生、自分の思い通りにはいかない。だけどみんなそれぞれ、一生懸命で、真面目で、おっちょこちょいで、面白い。そんな悲喜こもごもを観る人にクスクスと笑ってもらえたら最高です。
- 作品情報
-
『のみとり侍』
2018年に全国東宝系で公開監督・脚本:鶴橋康夫 原作:小松重男『蚤とり侍』(光文社文庫) 出演: 阿部寛 寺島しのぶ 豊川悦司 斎藤工 風間杜夫 大竹しのぶ 前田敦子 桂文枝 配給:東宝
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?