映画『ナイトクルージング』のクラウドファンディングプロジェクト「全盲者がつくる映画。見えないことで見えてくる世界を伝えたい!」が、クラウドファンディングプラットフォーム「Readyfor」で12月21日23:00まで行なわれている。
佐々木誠監督の『ナイトクルージング』は、全盲者・加藤秀幸が制作する、生まれつき全盲の男とその仲間を描いたSF映画『ゴーストヴィジョン(仮)』と、加藤が同作を制作する模様を収めたドキュメンタリー部分で構成。なお加藤が映画作りに挑む様子は2012年製作のドキュメンタリー映画『INNERVISION インナーヴィジョン』に記録されている。
Readyforで実施されているクラウドファンディングでは、来春に完成予定の『ナイトクルージング』の広報費および制作費を募集。
支援金額の目標は300万円。金額に応じたリターンには、能町みね子をゲストに迎えた上映会への招待や、加藤によるオリジナル点字レター、長嶋りかこデザインのポスター、エンドロールへの名前記載、未公開シーン収録のDVD、加藤との散歩、トーク付き出張上映会開催の権利、佐々木監督によるショートフィルム制作権などを用意。詳細はReadyforのプロジェクトページで確認しよう。
なお同プロジェクトを応援するメッセージがプロジェクトページで公開中。坂本龍一、高嶺格、康本雅子、しりあがり寿、ロバート・ハリス、長嶋りかこ、金氏徹平、相澤虎之助(空族)、金森香、山本清史、巻来功士、会田大也、エリック松永らがメッセージを寄せている。
坂本龍一のコメント
聴覚、触覚、味覚など全ての感覚器が視覚のセンサーとなり加藤さんの脳内にイメージが広がるのか。それはまるで夢のようだ。その夢はどんな色彩なんだろう...。脳に映し出された映像を言語化し共有する。そのためには真っ白なキャンヴァスに躊躇なく筆を走らせることのできる人間同士の豊かなコミュニケーションが必要だ。常識を乗り越え生み出される映像作品は刺激的なものに違いない。
しりあがり寿のコメント
アクションで実写でSFで、活躍するのはゴーストで……
作ったのは全盲の映画監督!高嶺格のコメント
既存の映画に飽きているということはないのだけれど、自分の目ん玉が見せてくれる世界に飽きていると感じるときがあって、だからこそ加藤さんの映画を見たいんだと思う。この映画は「見えない人が撮った映画」として宣伝されてると思うけど、僕にとって加藤さんは「目の見えない人」というよりも「聴覚と指先の感覚が異常に発達している人」です。それはもう、誰もマネできないくらい超絶スゴい。だから僕にとっては「聴覚と指先の感覚が異常に発達している人が映画を撮ったらどうなるか?」ということが第一の興味、あと、この映画って、加藤さんが動いた軌跡を、観客それぞれが頭の中で結像させるようなイメージがあって、ピントの合わせ方がそれぞれであるというような映画の状態に、とても興味があります。
ロバート・ハリスのコメント
僕は監督の佐々木誠さんとはここ8年ほど、映画のトークショーを毎月開催していて、前作の『インナーヴィジョン』ではナレーションと登場人物の一人として関わらせてもらいました。
加藤秀幸さんともそのときお会いし、友達になりました。
この時から『インナーヴィジョン』の続きが観たい、加藤さんが創る映画を是非観てみたいと思っていたので、『ナイトクルージング』はまさに待ちに待った、待望の作品です。
生まれながら全盲の加藤さんが創る世界は一体どんな色彩と景色と夢を内包した世界なのか、考えるだけでもうワクワクドキドキしています。相澤虎之助(空族)のコメント
はじめにこのナイトクルージングの企画の話を聞いた時、わたしの学生時代に友達が行ったトークショーで、勝新太郎さんが“座頭市から見た目線”で座頭市の映画を撮りたいと語っていたということを聞いて、身震いしたことを思い出した。
目が見えない座頭市はTVシリーズ『冬の海』の劇中で「市っつあんは夢を見るの?」と少女に聞かれて「ははは、冗談いっちゃいけない、でも…」と自分の見た夢の話を始める。夢の話を聞く少女の目はおっきく見開いてそんな座頭市をモデルに一枚の絵を描いてゆく。
“映画とは夢を描くこと”であるのならば加藤さんが映画を撮るということは、加藤さんの夢をわたしたちが聴き観るということだ。そして佐々木監督と共にわたしたちも目をおっきく見開いて、わたしたちのキャンバスにぜひその夢を描いてみたいと思うのだ。金氏徹平のコメント
最初のこの映画の話を聞いた感想
一瞬、頭が真っ白になりましたが、すぐに様々なイマジネーションが湧き上がりました。チャレンジすると決めた時点で、これは既に一本の映画分くらいの想像力の発動装置になっていると思います。実際に加藤秀幸と会ってやりとりした感想
かなりクリアにビジョンを言語化できる方だと思いました。映画体験や様々な映像的経験のお話はとても興味深く、目の前の物が見えている見えていないとということ以上に、同時代に同じ国に生まれて育って、この世界をどう捉えているか、といった点で、共有しているものの多さに気づきました。そして、本来、SFは小説から始まったもので、まだ見ぬ世界を言葉で起こしていくというのは理にかなっていますし、足りない技術や考え方や視点を、他者で補うというのは映画作りのおもしろさそのものだと感じました。これはまったく当てずっぽうではなく、確かな実感を持って進められているなと。どんな映画になることを期待するか
美しさの意味が変わる、もしくは意味の幅が広がるような映画。もしくはただ単純に予想外の映画。だれも予想もできないと思いますが、、、