吉田大八監督、中村倫也主演のウェブ映像「言えなかった男篇(ロングver)」が本日3月13日に公開された。
AGC旭硝子の創立110周年を記念したウェブ映像「言えなかった男篇」。ショートバージョンが2月から公開されており、現在までに70万回を超える再生回数を記録している。
「一言ではいえない会社」をテーマに据えた「言えなかった男篇(ロングver)」では、映画『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』『羊の木』などの吉田大八監督と俳優の中村倫也が初タッグ。三浦誠己、清水葉月、松浦佐知子らも出演している。吉田監督の希望で、以前から作品を見て気になっていた俳優陣がキャスティングされたという。
映像で中村が演じているのはあるAGCの社員役。ある事件に巻き込まれた会社員が警察の取調室で会社や仕事について説明を求められるも「わからない」としか答えられずに事態が悪化し、法廷で自らの潔白を証明しよう試行錯誤する様がコミカルに描かれている。中村が法廷で歌うミュージカルのようなクライマックスシーンも見どころとなる。
歌のシーンはカメラのアングルやサイズを変えて40回以上のテイクを重ねたという中村。撮影後は「吉田監督と振付を考えた役者は今までいないと思うので、とても光栄で気持ち良かったです」と語っていたほか、吉田監督は「アクションの引き出しが豊富で、身体能力も抜群。あまりにも軽々とこなすので、途中から憎たらしいなという思いで見ていました(笑)」と中村に賛辞を贈っている。
中村倫也のコメント
初タッグを組んだ吉田大八監督の印象や撮影の感想
吉田監督の作品を拝見して、感覚的な部分で演出をする方なのかなと想像していたのですが、実際はすごく的確な指示を下さる方でした。物語や人物の骨組みをきっちり作っていくというやり方で、緻密な計算をされている方で、そこにやりがいを感じましたし、改めて映像業界全体のレベルを引き上げていく監督さんなんだなと思いました。法廷での歌唱シーンについて
歌唱シーンでは、きれいに歌い上げるよりも、音程やリズムが多少よれたり、外れたりしてもいいから、とにかく周りを説得しようという強い思いで歌ってほしいと言われていました。ミュージカルの発声とかコントロールの仕方とは違うところで、荒削りさを出さないといけませんでした。視聴者にメッセージ
僕は歌唱シーンの“VIVA!わからない”という歌詞に共感しました。役者という仕事も、イメージを持たれると思うんですけど、中村倫也という俳優が自分でもよく分からないし、最終的に僕は「何なのか分からないよね」と言われるような俳優になりたいと思っています。今回のWEBムービーは、分からないものを楽しむ、大人の余裕が感じられる作品になっています。僕が演じた主人公も、終始、謎の人物になっているので、そこを通じてAGCさんに興味を持っていただけたらと思います。吉田大八監督のコメント
「一言ではいえない会社」というテーマについて初めて聞いた時の感想
よくぞこれをテーマにしたなと驚きました。企画した人もすごいけど、それを選んだ会社もある意味、自分たちがやっていることに自信がなければ、これだけ思い切った切り口で、世間に向けてなかなか自己紹介はできません。だからこそ、作り手の僕たちも自信を持って取り組まないといけないと思いながら撮影をしました。中村倫也の印象
まだわからないですね。いい意味で謎です。俳優としても人としても興味が湧いて、いろいろ聞きたいことがあったんですけど、なかなか現場でゆっくり話せなかった。質問が20項目ぐらいありますよ(笑)。中村さんはこうしてほしいという要求に対して、冷静に受け止める感じがあって。もちろん自分の中では相当、いろいろな感情があったと思います。若いのに、それをあまり表に出さないけど、内面は絶対熱いんだろうなと。すごく興味深い俳優さんでした。視聴者にメッセージ
今回は、AGCさんが社会へ向けあらためて決意表明する、そのお手伝いをさせていただくということがテーマだったので、CMを作る自分と、映画を作る自分をフル稼働させて、そのどっちでもあり、どっちでもないものを一生懸命作ろうと思いました。きっと僕にとっても、今まで作ったことのないような作品になっていると思いますので、それを皆さんも期待して頂ければと思います。