梅田哲也とhyslomによるクルーズツアー『「入船」出版記念 クルーズ』が、12月8日と9日に大阪で開催される。
クルーズは雑誌『入船』の出版を記念して開催。2日間で5便が運行され、それぞれ異なるルートで大阪の川や堀川、港を巡る予定だ。雑誌『入船』には阿児つばさ、アンナ・プタック、雨宮庸介、飯沢未央、梅田哲也、河田聡、九鬼みずほ、さわひらき、辰巳量平、西光祐輔、堀尾寛太、hyslom、船川翔司、松井美耶子、山本麻紀子らが執筆で参加し、尾中俊介(Calamari Inc)がアートディレクションを務めている。
予約は本日12月2日から受付中。イベントの参加料金には『入船』の料金も含まれる。詳細はオフィシャルサイトをチェックしよう。
梅田哲也のコメント
ひとたび夜に滑り出ると船はただの小さなアルミの塊になって、 水の上には路がありませんから、一瞬にして大きな地図の上でみえなくなってしまいます。感覚の話ですが、これはきっと圧倒に自由であるということと似ています。油の混じった真っ黒い水 の底に、実はたくさんの生き物が住んでいるのです。
となりの小さな堀川のウナギはおいしく食べられるだとか、その先の造船所に住みついた獣がこどもを五匹出産して住んでいるだとか、そもそもこの川の水を舐めるとちょっとだけしょっぱいのだということを、ほんの数年前まで知りませんでした。
お金持ちが土地を所有していたせいで橋の向きが違うとか、川底に貴重な陶器が沈んでいるとか、有名なお菓子のルーツが川沿いにあったのだとか、話として知らないことには想像もつかないようなことがある一方で、かつてここが海であった名残りは地名や地形などで街のいたるところに散らばっていて、水門をひとつ抜けるとそのまま世界の海とつながっているということは、みんなが知っているあたりまえのことでもあるわけです。知っているのに見えづらくなっているからこそ、その小さな根拠をつきつけてくる身近な体験にとりつかれてしまうのかもしれません。
この本は、夜のクルーズで一度は川に流れてバラバラに散らばったその小さな出来事の断片を、もう一度海の底からすくい上げてホッチキスで閉じたものです。黒い水の底への入り口として。入船。
- イベント情報
-
『「入船」出版記念 クルーズ』
2018年12月8日(土)、12月9日(日) 会場:大阪府 大阪市各所 定員:各回25名 料金:各回3,000円(『入船』マガジン、ドリンク込)