『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』が2020年3月3日から東京・上野の国立西洋美術館、7月7日から大阪・中之島の国立国際美術館で開催される。
イギリスのロンドン・ナショナル・ギャラリーはトラファルガー広場に面した美術館。1824年に設立され、13世紀から20世紀初頭までのヨーロッパ絵画の様々な画派を網羅した約2300点の作品を所蔵する。コレクションの多くを常設展示している同館は作品の貸し出しに極めて厳しいことで知られ、これまで館外で所蔵作品展が行なわれたことは一度もないという。
世界初の開催となる『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』では、同館が所蔵するフィンセント・ファン・ゴッホの絵画『ひまわり』を日本初公開。ゴッホは1888年から翌年にかけて花瓶に生けたひまわりの絵を7点描いており、ロンドンのバージョンはその4点目にあたる。共同生活を送る予定だったポール・ゴーガンの寝室を飾る目的で描かれた。
展覧会では『ひまわり』をはじめ、イタリア・ルネンサンスから20世紀までの幅広い時代とジャンルにおよぶ西洋絵画約60点を展示。イギリスとヨーロッパ大陸の美術における相互関係や、イギリスにおける大陸の美術の収集という観点に基づき、同国で築かれた汎ヨーロッパ的なコレクションとしての同館の特質に光を当てる内容が予定されている。
展示作品については今後も随時オフィシャルサイトなどで発表される。
ガブリエル・フィナルディ(ロンドン・ナショナル・ギャラリー館長)のコメント
日本にとって記念すべきオリンピックイヤーとなる2020年に、東京と大阪で展覧会を開催し、ロンドン・ナショナル・ギャラリーを深く理解していただける優れた作品の数々を展示します。前例のないこの展覧会を通じて、これまでロンドン・ナショナル・ギャラリーになじみがなかった方々にも当館の作品のすばらしさや専門性の高さを感じていただき、また若い世代の方々の心に、偉大な絵画に接する感動を呼び起こすことができればと考えています。
馬渕明子(国立西洋美術館館長)のコメント
このたび、世界有数の傑作を所蔵するロンドンのナショナル・ギャラリーの展覧会が国立西洋美術館で催されることになり、たいへん嬉しく思います。学生時代からたびたび訪れて、壁一杯に展示された名品を、驚きをもって鑑賞して来ました。近代絵画は、数はそれほど多くないものの、選りすぐりの傑作ぞろいで、ルネッサンスやバロックの重厚な部屋を見た後の、フランスを中心とした近代絵画の鮮やかさはとくに印象的です。なかでもゴッホの《ひまわり》は、画家がやがて来るゴーガンのために南仏のアルルで1888年8月から9月にかけて描き始めた最初のシリーズの1点で、そのうねるような筆触と輝くような黄色の色彩は、ゴッホの幸福感あふれる短い時代の産物と言えるでしょう。
山梨俊夫(国立国際美術館館長)のコメント
ヨーロッパにはそれぞれの国に、驚くほどに豊かな絵画を堪能させてくれる美術館がある。ルーヴル、ウフィッツィ、プラド。ベルリンやアムステルダムの国立美術館。行けばだれもが眼と脳髄の陶酔を経験することだろう。ロンドンのナショナル・ギャラリーもその例に漏れない。自国イギリスのコレクションに特色を示しながら、ルネサンスから後期印象派まで、およそ600年間にわたる絵画がヨーロッパ各国から集められている。その1点1点が展示室のいたる所で魅惑的な光輝を放ち、ギャラリーを巡る足を止めさせ、驚異と凝視に誘い込む。このたびは、ナショナル・ギャラリーの壁からまず外されることのない、最高の質を持った粒ぞろいの作品が、選りすぐられて日本にやってくるという。絵の豊かな語りに浸れるこの稀有な展覧会への期待は抑えられない。
- イベント情報
-
『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』
東京会場 2020年3月3日(火)~6月14日(日) 会場:東京都 上野 国立西洋美術館 大阪会場 2020年7月7日(火)~10月18日(日) 会場:大阪府 中之島 国立国際美術館
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?