『恋の絵本』シリーズの刊行が本日5月21日にスタートした。
『恋の絵本』シリーズは、瀧井朝世が企画監修を務める恋をテーマにした新企画。
様々な執筆陣を迎え、「プリンセスストーリー」ではない、多様な恋愛観を描いていくという。
本日刊行されたのは、桜庭一樹の作、嶽まいこの絵による『すきなひと』と、辻村深月の作、今日マチ子の絵による『すきって いわなきゃ だめ?』の2冊。来年には、島本理生の作、平岡瞳の絵による『まっくろいたちのレストラン』、白石一文の作、北澤平祐の絵による『こはるとちはる』、村田沙耶香の作、米増由香の絵による作品の刊行を予定している。
Twitter、Instagramでは『すきなひと』『すきって いわなきゃ だめ?』にまつわる10のキーワードをもとにした「あなたのとっておきの恋」を募集。表現方法はエッセイ、詩、川柳、短歌、写真、イラスト、漫画など自由となり、審査員に桜庭一樹、辻村深月を迎えて「桜庭一樹賞」「辻村深月賞」「岩崎書店賞」を選出する。当選者には直筆サイン本やクオカードがプレゼントされる。詳細は『恋の絵本』の特設サイトで確認しよう。
瀧井朝世のコメント
小さい頃、わたしのまわりには、たくさんの「お姫様が王子様と結婚してめでたしめでたし」という物語がありました。それは遠回しに、女の子は男の子に守られるものだ、富と地位を手に入れることが幸せとなのだ、という価値観を植え付けるものであったのではないかな、という気がしています。
一方、幼稚園や小学校では、「みんな好きな人がいて当然」「好きな人がいるなんてなんだか恥ずかしい」という、矛盾した空気がありました。
だから私は、「好き」をめぐる悩みや疑問があっても、誰にも打ち明けられませんでした。
そんな時に、自分の気持ちに寄り添ってくれ、自分を肯定する一助になってくれるもの――たとえば絵本――があったらよかったな、と今では思うのです。
恋愛を描いた名作絵本はこれまでにもあります。ただ、恋愛観や結婚観、ジェンダー観が変わりつつある今の世の中で、「好き」という素朴な感情を肯定しつつ、現代の感覚に響く恋の絵本があってもよいのではないか。そんな思いから、このシリーズは生まれました。
この人ならそんな話を書いてくれると信頼する作家陣、作家の世界観を豊かなイマジネーションで可視化してくれると確信する画家陣が、参加を表明してくれました。
子どもたちの気持ちの傍らにいてくれるものであると同時に、大人にとっても、今も心の中にある痛みや切なさに響くもの、慰めや励まし、ときめきにつながるものが出来上がったと自負しています。ぜひ、ページをめくってみてください。
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