映画『影裏』の追加キャストが発表された。
2020年2月14日から公開されることが決まった『影裏』は、『第122回文學界新人賞』『第157回芥川龍之介賞』を受賞した沼田真佑の同名小説の実写映画版。会社の転勤で岩手に移り住んだ今野は、慣れない地で同僚として出会った日浅に心を許していくが、日浅は突然、会社を辞め、しばらくして再会するものの、一度生まれた距離は埋まらず、時が過ぎていく中、日浅が行方不明になっていることを耳にした今野が日浅を探そうと足跡を辿るうちに日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまうというあらすじだ。今野役に綾野剛、日浅役に松田龍平がキャスティング。監督は『るろうに剣心』シリーズ、大河ドラマ『龍馬伝』などの大友啓史が務めた。
今回発表されたのは、國村隼、筒井真理子、中村倫也、永島暎子、安田顕、平埜生成。國村は今野に真実を告げる日浅の父・征吾役、筒井は今野と日浅の同僚で自身も日浅を探している西山役、中村は今野を理解する昔の友人・副島和哉役、永島は些細なことで今野を悩ませる隣人・鈴村早苗役、安田は疎遠になってしまった弟に複雑な感情を抱く日浅の兄・馨役、平埜は今野の友人・清人役をそれぞれ演じる。
今回の発表とあわせてキャスト陣からのコメントが到着したほか、大友監督は「タイトル通り、この映画は誰もが持つ影の部分、裏の部分に踏み込みでいく作品です。本音では言えないところに、人それぞれの真実、社会との葛藤が潜んでいる。その『影裏』を、深く刻み込むかのように体現してくれる役者たちが揃いました。役者たちの見事なアンサンブルと共に、自分の魂を作品の奥底に深くしのばせたつもりです。大人の皆様に楽しんでいただける作品になったと思います。是非ご覧ください」と述べている。
國村隼のコメント
大友監督とご一緒するのは初めてなのですが、登場人物のそれぞれの心象風景を静かに描きながら、そこにはダイナミックな背景がかくされている、違う側面のものがひょいと立ち現れる面白い世界観だと感じました。
今までの監督の作品イメージとはまた少し違った新たな大友監督の世界なのだと。
私の演じた日浅征吾という人物の元に、主人公の今野が息子の事を聞きたいと訪ねてきて、二人が話すうち、だんだんと会話の中から親子の微妙な人物像と関係性がほの見えてくるという、とても濃密なシーンとなりました。
緊張感を目一杯楽しんで、そこから解放されての盛岡駅でした。筒井真理子のコメント
震災のような理不尽な事が起きると社会は無意識のうちに“見えにくい人たち”について触れなくなる。
そこに切り込んだ物語に命を吹き込んだ大友監督をリスペクトすると共に、今野と日浅をリアルに生きた綾野剛さんと松田龍平さんをぜひ劇場に観に来てください。中村倫也のコメント
今回も非常に難易度の高い役でした。
綾野さんの呼吸を感じながら、大友監督の眼差しを頼りに、人間関係の生暖かい歪みが垣間見えるように慎重に演じました。伸び伸びとした切なさを、作品の中に残せていたら嬉しいです。ぜひご期待ください。安田顕のコメント
脚本を拝読し、静かに流れる時間の中、登場人物の心のチラチラとした灯火が随所に垣間見えるような作品に感じました。撮影で岩手に向かう道中、原作の『影裏』を読んでましたら、自分が演じる役が出てこなくて、ちょっとだけびっくりした思い出があります。
大友監督の映画として登場の場を作っていただき、心より感謝申し上げます。平埜生成のコメント
平埜生成と申します。大友啓史監督に宝物を頂きました。綾野剛さん、松田龍平さんとともに過ごした時間は大きな財産になりました。岩手の空気を吸い、お祭り見物をし、宮沢賢治に触れ、美味しい食事、そして、山の中で美しい自然と肉体を調和させる時間。短い時間でしたが、全てが心地よく撮影に臨む事ができました。
ナマの生命が鼓動をうつ瞬間まで映っている映画だと思いました。是非、劇場で体感していただきたいです。
- 作品情報
-
『影裏』
2020年2月14日(金)から全国公開監督:大友啓史 脚本:澤井香織 音楽:大友良英 原作:沼田真佑『影裏』(文藝春秋) 出演: 綾野剛 筒井真理子 中村倫也 平埜生成 國村隼 永島暎子 安田顕 松田龍平 配給:ソニー・ミュージックエンタテインメント
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?