映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』に寄せた春名風花の応援コメントが公開された。
スタジオ「A24」が製作を手掛けた同作は、「クラスで最も無口な子」に選ばれてしまったケイラが主人公。中学校生活の最後の1週間を迎えたケイラが、SNSを駆使して高校生活が始まる前に不器用な自分を変えようとするが、いくつもの壁が立ちはだかる、というあらすじだ。ケイラ役にエルシー・フィッシャーがキャスティング。同作が初監督作となるボー・バーナムがメガホンを取った。公開日は9月20日。
現在18歳の「はるかぜちゃん」こと春名風花は、同作について「見ているのが恥ずかしくて辛くなるほど全力で共感できました」とコメント。加えて、主人公・ケイラについて、「今の自分を肯定することから、更に先の未来へ。めちゃくちゃ勇気のある女の子だなって思います。日本にもたくさんいるケイラたちが、この映画で勇気づけられ、励まされることを期待しています」とエールを送っている。全文は以下に掲載。
春名風花のコメント
見ているのが恥ずかしくて辛くなるほど全力で共感できました。いじめられているわけでもなく、全員から無視されている訳でもなく、ただ何となく目立たなくて、太っていて、にきびがあって、ノリが悪くて、ただ何となく見下されていて、ただ何となく、誰も仲良くしてくれる子がいないだけ。一言で言うと「陰キャ」とか「ぼっち」に分類されるだけの、スクールカーストの順位にも入れて貰えないほど影の薄い女の子が、必死に「クールな女の子」になろうと努力して空回りし続けてる様子があまりにもリアル。パリピのパーティ辛いよね…。スローモーションでテーマ曲と共にあらわれるイケメン笑 エイデンのためのバナナは滑稽で思わず笑ってしまったけど、笑いながらも痛くて痛くて悲しくなりました。先輩の友達に車で謝っているところもそうだけど、なぜこういう自信のない女の子って「遊んでる風に見られること」が「イケてること」って思って、変なところで見栄を張って、自分を安売りしようとしてしまうんだろう。女の子の価値はそんなことじゃないよ。ケイラ気づいて!
お父さんはずっとスマホを見てるケイラの事を心配していたけど、彼女にとってあの中の世界は必要なものだったと私は思う。コミュ障のケイラがコミュニケーションについて、まるで講師のように誰かに向けて喋りながら、動画を撮ってはせっせとupしてる、ほとんど誰も視聴者のいないYouTube。普通にコミュニケーションが取れる人から見たら、あれに何の意味があるの?って思うかも知れない。でも、あの動画の熱心な視聴者は、あの動画に毎日励まされて勇気づけられている視聴者は他でもない、投稿者であるケイラ自身なのだから。
私も現実世界では大人しくて全く喋れない子だったので、Twitterで理想の自分になって思った事を話す練習をしていました。それが今は、自分で書いたことを、実際に自分の声で話せるようになりました。
ネットの中の世界では、いつでも簡単に理想の自分を演じることができます。自分でつくったキャラクターの理想と、いつまでも冴えない現実のギャップに苦しむことも もちろん少なくはないけれど、練習というか、イメージトレーニングというか、自分で自分を洗脳してゆくというか、形からというか。「演じることからはじまる」ことも、世の中には有るんじゃないかなあ。だって、ぼっちの人は人とお喋りする機会が少ないから、放っておけばどんどん無口になっていくだけ。どんな事だってまず練習しなくちゃ、上手くなりようがないんだもの。
最後に、この映画のコメントを私にと考えてくださった方へ。素敵な映画を教えてくださってありがとうございます。そして、日本での公開おめでとうございます。とてもキュートでクールな、「イケてないけど最高にイケてる女の子」の映画でした。だって、お父さんに「ありのままのケイラ」を受け入れて貰えていることが分かっても、彼女は自分らしく、ありのままでいる事に加えて、「もっとクールな私」になることをきっと諦めてはいない。今の自分を肯定することから、更に先の未来へ。めちゃくちゃ勇気のある女の子だなって思います。日本にもたくさんいるケイラたちが、この映画で勇気づけられ、励まされることを期待しています。
- 作品情報
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『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
2019年9月20日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町、シネクイントほか全国で順次公開監督・脚本:ボー・バーナム 音楽:アンナ・メレディス 出演: エルシー・フィッシャー ジョシュ・ハミルトン エミリー・ロビンソン ジェイク・ライアン ほか 上映時間:93分 配給:トランスフォーマー
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?