東浩紀が編集長を務める批評誌『ゲンロン』の第2期がスタートした。
2015年に創刊し、昨年の『ゲンロン9』をもって第1期が終了した『ゲンロン』。装丁、誌面を刷新した『ゲンロン10』が本日9月26日に刊行された。デザインは川名潤が担当。
巻頭には、加害者の忘却と被害者の記憶という二項対立を乗り越える鍵を探る東の論考「悪の愚かさについて、あるいは収容所と団地の問題」を掲載。「哲学でも批評でも紀行文でもない」文体で書かれたという。
小特集「平成から令和へ」には、戦争の記憶と戦後文学を糸口に等価交換ではない贈与の空間を生み出すための道を語る高橋源一郎と東による対談「歴史は家である」、「平成流」と呼ばれた現上皇陛下の行動原理を読み解きながら天皇制の行く末に迫る原武史と東による対談「国体、ジェンダー、令和以後」を収録。
同じく小特集「AIと人文知」には、長谷敏司、三宅陽一郎、大森望によるAIとSF的想像力の関係を探る座談会や、発酵のメタファーからクリエイティブコモンズ、オンラインコミュニティー、人間の無意識の思考過程を考えるドミニク・チェンによる論考「メタ床」、山本貴光と吉川浩満による人工知能研究と人文学の交差点を解き明かすブックガイド「人工知能と人文知を結ぶ15の必読書」が収められる。
さらに家入一真、桂大介を招いた東によるインタビュー「投資から寄付へ、そして祈りへ――SOLIOの挑戦と哲学」が掲載されるほか、高山明、ユク・ホイ、イ・テックァンによる新連載もスタート。
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