原摩利彦のニューアルバム『PASSION』が6月5日にリリースされる。
1983年に生まれ、京都を拠点に国内外で活動している音楽家・原摩利彦。ダムタイプのメンバーとしての活動のほか、現代アートや舞台芸術、インスタレーション、映画音楽など幅広いジャンルでの楽曲制作を行なっている。松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳ら出演の野田秀樹演出による舞台『Q:A Night At The Kabuki』ではサウンドデザインを担当したほか、振付師ダミアン・ジャレと名和晃平によるプロジェクト『Vessel』で坂本龍一と共に劇伴を手掛けた。
約3年ぶりのソロ作品となる『PASSION』には、全15曲を収録。収録曲“Passion”は本日3月30日から先行配信されている。マスタリングエンジニアは、ヨハン・ヨハンソンのアルバム『オルフェ』を手掛けたフランチェスコ・ドナデッロ。
原摩利彦のコメント
『PASSION』について
「Passion」という言葉は「情熱」や「熱情」翻訳されているが、元々は「受け入れること」、キリスト教では「受難」とされている。
中世で「情熱」という意味が加わったようだが、「受け入れる」強い気持ちと考えると、二つの意味は繋がる。
十代の頃に音楽家になることを決意したとき、音楽が好きという気持ちとともに、これから自分の人生で起こることに対する苦難――当時はまだ悩み、苦しむ音楽家に憧れがあっただけにすぎないかもしれないが――を受け入れることを覚悟したのを覚えている。
本アルバムには十六歳のときに作曲したピアノ曲もほぼそのまま収録している(Tr7「Inscape」)。
二十年経って、今一度音楽家としての覚悟を決める。これから訪れるであろう幸せも苦難も、すべてを受け入れる強い気持ち(=PASSION)を込めてこのタイトルをアルバムにつけた。
また何年か前に、マドリード在住の写真家イザベル・ムニョス(Isabel Munôs)が別れ際に「A lot of Happiness. Good Luck and Passion!」と言った。
そのとき彼女の口から出た「Passion」という言葉が強く胸に響いた。
音楽的な挑戦としては、前作『Landscape in Portrait』よりもピアノの音域を広げること、他者が録音したフィールドレコーディングを使ってみること、非西洋楽器を電子音とともに「音響的に」共存させることである。
音楽的な西洋と東洋、中東の融合や統合を目指しているのではない。
それぞれの地域に住む人々が同じく朝を迎え、太陽の恩恵を受け、食事をし、夜になると月や星を見ること。
人間としての共通の出来事を経験しながらも、それぞれの文化 (=音) が現れ、それが同じ地球上で鳴っているように、限られた時間の中で音響的に配置、共存させてみたいと思った。
- リリース情報
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原摩利彦
2020年6月5日(金)発売 価格:2,400円(税抜) BRC-619
『PASSION』国内盤(CD)1. Passion 2. Fontana 3. Midi 4. Desierto 5. Nocturne 6. After Rain 7. Inscape 8. Desire 9. 65290 10. Vibe 11. Landkarte 12. Stella 13. Meridian 14. Confession 15. Via Muzio Clementi
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