ふくだももこ原作・監督の映画『君が世界のはじまり』が、今夏に東京・テアトル新宿ほか全国で公開される。
同作は、『第40回すばる文学賞』佳作を受賞したふくだの小説『えん』と、同じくふくだの小説『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』を、脚本家の向井康介が一つの物語に再編した作品。大阪のとある町を舞台に、高校2年生の主人公えん、親友の琴子、琴子が一目惚れしたサッカー部のナリヒラ君、東京から転校してきた伊尾、琴子に思いを寄せるサッカー部のキャプテン岡田、思いの捌け口を見つけられないジュンらの人間模様を描く。
主演を務めるのは『おいしい家族』以来、ふくだ監督とは2度目のタッグとなる松本穂香。今回の発表とあわせてイメージクリップ、フィルムで撮影されたティザービジュアル、場面写真が公開された。
松本穂香のコメント
青春時代って、一瞬すぎるからなのか、どこか記憶がぼんやりしている。大切な瞬間が溢れてたはずなのに、記憶が抜け落ちてる。だけど、多分、その時感じた切なさやあたたかさは、ずっとずっと心の中に感触として残ってるんだと思う。恥ずかしいぐらいまっすぐだった私たち。過去があって、今がある。私たちはずっと、何かに向き合いながら、苦しみながら生きてきた。そんな当たり前のことに救われる気がする。だから大丈夫。私たちは大丈夫。
ダサくても痛くてもいい。だから伝わるものがある。そんな気持ちでこの作品に挑みました。ふくだももこ監督のコメント
「君が世界のはじまり」のもとになった小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」は、私にとって、どうしようもなく特別な物語だ。
“青春”という箱の中に入れられるのを嫌悪していたあの頃の、胸を突き抜けて飛び出しそうなエネルギーが、すべての登場人物に詰まっている。この映画が、どこへも行けない、何にもなれない、そんな風に思っている誰かの、はじまりのきっかけになればいいと願っています。
私が書いた、ゴツゴツトゲトゲした岩のような小説を切り取り、石にして世に出してくれた人がいて、手に持てるよう丁寧に削ってくれた向井康介さんの脚本があって、一緒に磨いてくれた素晴らしいスタッフと、松本穂香をはじめとする、才能ある俳優たちがいる。すべての人の力を合わせて「君が世界のはじまり」は、誰も見たことのない、燦然と輝くたったひとつの宝石になった。どうかこのきらめきが、あなたの心を照らしますように。向井康介のコメント
40歳を越えて、もう青春映画を書くことはないと決めていた矢先に、佐々木史朗さんとの出会いがあり、“ふくだももこ”という若い作家の短編小説を知りました。二十代の書く文章に自分はもうついていけないだろうと思っていたのに、驚くほど心の中に入ってくる。なぜなのだろう? そんな疑問から、僕の中でこの企画は始まりました。
「ふくだ、君が晩年になって、人が作品を振り返ったときに『ふくだももこの初期の代表作と言ったらこれしかないよね』とみんなが肯くような映画にしよう」
何度目かの打ち合わせのあと、居酒屋で僕はふくだにそう言ったのを覚えています。とても小さな物語だけれど、この映画が生まれる一助を担ったひとりとして、本当にそんなふうに語り継がれるような作品になってくれたら嬉しいです。
- 作品情報
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『君が世界のはじまり』
2020年夏にテアトル新宿ほか全国で公開 原作・監督:ふくだももこ 脚本:向井康介 主演:松本穂香 配給:バンダイナムコアーツ