文春文庫シリーズ作品の第1話が、5月15日12:00から文藝春秋の書籍情報サイト「文藝春秋BOOKS」が運営する「本の話note」で毎日1作品ずつ無料公開される。
今回の取り組みは、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、多くの書店が休業を余儀なくされている現状から、新刊が手に入れにくい状況などを踏まえて実施。それぞれの作家の協力のもと文藝春秋から発行された17作品が公開される。
公開されるのは、5月15日に伊坂幸太郎の『死神の精度』、16日に三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』、17日に誉田哲也の『増山超能力師事務所』、18日に平岩弓枝の『御宿かわせみ』、19日に奥田英朗の『イン・ザ・プール』、20日に横山秀夫の『陰の季節』、21日に畠中恵の『まんまこと』、22日に石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』、23日にあさのあつこの『燦 風の刃』、24日に千早茜の『西洋菓子店プティ・フール』、25日に池波正太郎の『鬼平犯科帳』、26日に湊かなえの『望郷』、27日に柚月裕子の『あしたの君へ』、28日に夢枕獏の『陰陽師』、29日に若竹七海の『依頼人は死んだ』、30日に山本兼一の『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』、31日に藤沢周平の『よろずや平四郎活人剣』。公開期間は、公開日から1か月後までとなる。
夢枕獏のコメント
今回公開される「陰陽師」の1話目を書いたのは、もう34年も前のことです。懐かしいなあ。いや、「陰陽師」は今でも書いてるんですけどね。安倍晴明と源博雅のやりとり、晴明が鬼にかけた「呪」、生きとし生けるものの優しさや悲しさ。今思うと、「陰陽師」のエッセンスがこの第1話「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」に詰まっています。外出自粛も続いて暗いムードになりがちですが、小説が、皆さんの楽しみになれば嬉しいです。
花田朋子(文春文庫局長)のコメント
外出自粛で、書店に行って本を買うという今まで当たり前だったことが難しくなってしまいました。物語の世界に触れたいと思っている人たちに、ぜひ文春文庫の人気シリーズを楽しんでいただきたいと思い、作家の方々にシリーズの1話無料公開をお願いしたところ、皆さんからご快諾をいただくことができました。いずれも1話読み切りで楽しむことができます。こんな時だからこそ、私たちも作家と共に小説の力を皆さんに届けられればと願います。