ライゾマティクスの組織変更が発表された。
メディアアート、広告、エンターテインメント、建築、都市開発など、様々な領域でリアルとオンラインを横断しながら活動の幅を拡張し続けてきたライゾマティクス。今年設立15年を迎えた。
組織変更に伴い、ライゾマティクスは来年1月末にアブストラクトエンジンに社名を変更。ライゾマティクスリサーチは「ライゾマティクス」、ライゾマティクス・アーキテクチャーは「パノラマティクス」にチーム名を変更する。さらに関係会社として、「持続可能な社会実装」を全ての活動のベースとする「フロウプラトウ」を設立する。
齋藤精一(アブストラクトエンジン、パノラマティクス)のコメント
建築を一度諦めた私は、建築よりも圧倒的に速いクリエイティブ産業に10年以上従事してまいりました。広告、ブランディング、映像、イベントやプロモーションなど、立体から、コトのデザインまで様々なデザイン領域を長年経験した後、設立10周年を期に一度自分とライゾマティクスのルーツを考えました。その上で社会をより良く変えるために、コンテンツや表現がもっと社会のエンジンになるために考えた結果、見出した自分なりの答えが、「建築・都市への回帰」でした。現在は都市開発や地方活性化、行政とのクリエイション、ICT・スマートシティ実装などに関わり、社会実装の難しさと取り組む意義が見えてきました。今回の社名変更も含めた体制変革は我々がチームとして、個人として次の段階に進むために不可欠であり、更に様々な形態とスケールで社会実装をしていく手段として長い間準備をしてきました。それを皆さんにようやく報告できるのを嬉しく思うと同時に、今後更に広がる様々なプロジェクトに皆さんと共に挑んでいければと思います。
真鍋大度(ライゾマティクス、アブストラクトエンジン)のコメント
メディアアート・インタラクティブアートが産業に展開されはじめた黎明期に、私は初めてインタラクティブシステムの開発を業務として請け負いました。2003年当時、広告コンテンツとして制作したシステムはいずれ社会インフラへと進化することを確信し、少し先の未来を予見する様なメディアアート作品の制作を開始しましたが、YouTubeの普及とともにメディアアートの大衆への認知は一気に広がり、アートとして発表していた表現は次第に一般的なサービスやプロダクト、エンターテイメントへと変化していきます。
そして2010年代に入るとメディアアーティストが持つ想像力と実装力はSNSを通じて広く知られて行き、広告やエンタメ、そしてUX/UIデザインの領域まで活動の幅が拡張しました。カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルやD&ADなど国際的な広告賞ではメディアアーティスト達の名前が連なることも多くなり、現在では社会や産業からライゾマティクスへの要請も都市開発への監修、国際的な祭典の演出などスケールが大きいものへとシフトしています。
そういった流れの中、ライゾマティクスの活動も新たなフェーズに入ったことを認識し今回の大きな体制変革へと舵を切ることになりました。15年間培ってきた知見を元にフロウプラトウ、パノラマティクスという新しい形で社会実装を行い、同時にライゾマティクスはより一層新しい挑戦が出来ればと考えています。石橋素(ライゾマティクス、アブストラクトエンジン)のコメント
私がメディアアートの世界に憧れを抱きつつ足を踏み入れた2000年初頭からは、想像もつかなかった時代が今やってきています。アートから広告へ、さらにエンターテイメントへと領域を広げつつ、会社組織としてチームを強化しながら今日まで続けてきた結果、多くの幸運にも恵まれ、広く一般社会にも認知されるようになりました。さらにここから次のステップへ踏み出すために、今回の組織変更があります。困難な時代だからこそ、個の力を最大限に活かしつつも組織としての強さをさらに高め、活動の領域を広げていきます。新しいものを作り続けられる環境、作りたくなる環境、そしてそれを見てもらえる環境を、未来のために作ります。
千葉秀憲(フロウプラトウ)のコメント
ライゾマティクス設立からおよそ15年の間に、多くの優秀なクリエイターの方々と様々なお仕事させていただきました。クリエイターの方々は、皆違う考え方やそれぞれの信念・美意識をもって活動されていて、それを間近でみる私には、いつまでも新鮮で刺激的な毎日を送らせていただいています。彼らが求める理想の環境や体制をつくることは非常に面白いものであり、しかしながらその多様性が故にとても難しい課題だと認識しております。
私の信念は、その理想の環境と体制を考え続けることにあります。仲間たちとともに、その信念を貫き通していきます。中浜大輔(フロウプラトウ)のコメント
表現に近い場所に身を置きたいという思いで2007年にライゾマティクスに身を移し、会社の成長とともに歩んでまいりました。僕たちがもっとも大切にするのは、創業期から変わらず、作り手たちの真摯にモノづくりに向き合う姿勢です。これまでよりもさらに彼らの活躍の場を整えることで、よりクオリティの高い成果を生み出し、社会に貢献してまいりたいと思います。