映画『燃ゆる女の肖像』の応援コメントが到着した。
昨年の『カンヌ国際映画祭』脚本賞、クィアパルム賞を受賞した同作は、18世紀、フランス・ブルターニュの孤島を舞台に、望まぬ結婚を控える貴族の娘エロイーズと、彼女の肖像を描く画家マリアンヌの一時の恋を描いた作品。監督は『水の中のつぼみ』のセリーヌ・シアマが務めた。マリアンヌ役にノエミ・メルラン、エロイーズ役にアデル・エネルがキャスティング。12月4日から東京・有楽町のTOHOシネマズシャンテ、渋谷のBunkamuraル・シネマほか全国で順次公開される。
今回コメントを寄せたのは、西川美和、上野千鶴子、YOU、長島有里枝、松田ゆう姫、魚喃キリコ、柚木麻子、山内マリコ、ミヤギフトシ、前田エマ、北村道子。
西川美和のコメント
あまりにも急速に女性たちの作ったものが、世界で冠をかぶせられるようになったことに私は戸惑いを感じている。
なぜ急に。この映画を観れば、女性の作り手やスタッフたちが昨日、今日涌いて出たのではなく、世界が騒ぎ始めるそのずっと前から、虎視眈々と腕を磨いてきたのだということがよくわかる。
最小限にして最大を語る、その張りつめた抑制と洗練とに引き込まれるだろう。
この運びが、新たなる分断を生むのではなく、男も女もなく全てを思いやる方向に進むことを望んでいる。上野千鶴子のコメント
運命に従うしかなかった時代の女たちの秘めた熱情。
最後の長回しのシーンでの、主演女優の演技が圧巻で目が離せない。
登場人物も動きも少ないのに、良質の室内劇を見たような気分だ。YOUコメント
圧巻の描写 高揚が止まらないヴィヴァルディ
なんと美しく切ないのか。まるで 書き足りない!長島有里枝のコメント
男がいない。
描かれるのは様々な階級の女の、憂鬱かつ喜びに満ちた「生」の物語。
圧倒され、魅了され、心揺さぶられる。松田ゆう姫のコメント
なんとも美しい音のする映画。
キャンバスをなぞる筆の音や洋服が擦れる音など一つ一つにとても引き込まれた。魚喃キリコのコメント
筆のはこびが美しくて、目をみはった。
柚木麻子のコメント
絵画の中の名もなき女性たちが、一斉に強い眼差しでこちらを見返した気がした。
山内マリコのコメント
何度も鳥肌が立った。今、作られるべき物語が完璧な形で結実している。
観た人の一生の映画になりうる作品。ミヤギフトシのコメント
視線が交わらないからこそ伝わる感情があり、
視線が交わらないこそ信じ続けられる繋がりがある。前田エマのコメント
その輪郭を、覚えていたいと思うほど、遠くへ離れていってしまう。
その震える吐息を、飲みこんでしまいたい。北村道子のコメント
必要人数のみのキャスティング。
色彩の微妙なコントラストの中の白。美しいとしか言いようのない作品に出会った。
- 作品情報
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『燃ゆる女の肖像』
2020年12月4日(金)からTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国で順次公開監督・脚本:セリーヌ・シアマ 出演: アデル・エネル ノエミ・メルラン 上映時間:122分 配給:ギャガ関連リンク
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?