佐藤二朗が原作・脚本・監督を務める映画『はるヲうるひと』の公開が2021年6月に決まった。
公開延期となっていた同作は佐藤が主宰する演劇ユニット「ちからわざ」によって2009年に初演、2014年に再演された舞台を映画化した作品。架空の島の売春宿を舞台に、店を仕切る長男で狂暴凶悪な性格の哲雄、哲雄にこびへつらう次男の得太、病床に伏す美貌の長女・いぶきの三兄妹を描く。主演は山田孝之。共演には仲里依紗、向井理、坂井真紀らが名を連ねるほか、佐藤自身も出演する。
同作は『第35回ワルシャワ映画祭』への正式出品に続き、『第2回江陵国際映画祭』で最優秀脚本賞を受賞。受賞に際して佐藤監督のコメントが公開された。
佐藤二朗監督のコメント
韓国の江陵国際映画祭で最優秀脚本賞を頂いた。言うまでもなく、役者は「演じる」のみに執心するのがよい。当然のことだ。しかし僕にはどうしても「演じる」欲求とは別腹に「書く」欲求がある。役者ゆえ「書く」欲求は捨てるべきだと考えた時期もあった。しかし「お前は書いていい人間だ」と背中を押してくれた人が何人かいた。その人たちや、「何度読んでも魂が震える」と主演を受けてくれた山田孝之、日頃はわりと辛口(笑)なのに「このホンは面白い」と真っ直ぐに僕の目を見て言った坂井真紀、「このホンをつまらなく撮ったら僕の責任」と言ったカメラマン神田創らに、ほんの少しかもしれないが報いられた気がする。役者界隈の賞で、頂いた唯一の賞がNG大賞のみの僕が、まさか異国の地で最優秀脚本賞を頂けるとは思いもよらなかった。そして石橋貴明さんとの対談で「賞なんていらない!」とカッコつけて言ったが、石橋さん、ごめんなさい、頂いたら頂いたで、嬉しいもんですね、賞。
- 作品情報
-
『はるヲうるひと』
2021年6月からテアトル新宿ほか全国で公開原作・脚本・監督:佐藤二朗 出演: 山田孝之 仲里依紗 今藤洋子 笹野鈴々音 駒林怜 太田善也 向井理 坂井真紀 佐藤二朗 配給:AMGエンタテインメント
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?