映画『ハッピーアワー』公開5周年に寄せた濱口竜介監督のコメントが到着した。
2015年に公開された同作は、30代後半の女性4人を主人公に、それぞれの家庭や仕事、人間関係を描きながら、どこにでもいる「普通」の女性たちが抱える不安や悩みを3部構成のドラマとしてつくりあげた作品。上映時間は317分となる。12月26日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほかでリバイバル上映。
濱口竜介監督のコメント
『ハッピーアワー』公開5周年に寄せて
2015年12月に劇場公開された『ハッピーアワー』が、それから5周年という機会にまた劇場で多くの観客と出会う機会をいただきました。上映の機会をくださった東京のシアター・イメージフォーラム、神戸の元町映画館、大阪のシネ・ヌーヴォ、京都の出町座にこの場を借りて御礼を申し上げます。
劇場でご鑑賞いただくことは、この映画にとって本質的なことです。この映画は既にソフトも発売されているし、格別派手なことが起こる映画でもありません。それでも映画館という場所が、この映画と観客が深く交わることを助けてくれると確信しています。そこでは、この映画が写し撮っている、演者たちの魅力を体ごと感じることができると思います。そして、それはどんなスペクタクルに勝るとも劣らないものと私自身は感じています。
5時間17分で3部構成という特異な映画が、公開から5年を経てもまだこのような機会をいただけること自体、一つの奇跡のように感じますが、それは撮影で起きていたことの続きのようでもあります。『ハッピーアワー』の撮影中、カメラの後ろからいつも、カメラの前に立つ演者たちが起こすとても繊細な、でもとても力強い「何か」に驚き続けてきました。その繊細さを、確かに捉える上で、映画館は最高の環境です。そこで『ハッピーアワー』と出会っていただくことができたら、やはりとても幸せなことだと思います。
改めて、この映画を一緒に作った演者とスタッフに感謝します。あなたたちと過ごした時間が、今の私の基盤です。
- 作品情報
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『ハッピーアワー』
2020年12月26日(土)からシアター・イメージフォーラムほかでリバイバル上映監督:濱口竜介 脚本:はたのこうぼう(濱口竜介、野原位、高橋知由) 出演: 田中幸恵 菊池葉月 三原麻衣子 川村りら 申芳夫 三浦博之 謝花喜天 柴田修兵 出村弘美 坂庄基 久貝亜美 田辺泰信 渋谷采郁 福永祥子 伊藤勇一郎 殿井歩 椎橋怜奈 上映時間:317分 配給:神戸ワークショップシネマプロジェクト(NEOPA,fictive)
Special Feature
Crossing??
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