西川美和監督の映画『すばらしき世界』のスポット映像「ドラマ編」「問題作編」が1月30日からテレビCMとして放送される。
2月11日から公開される同作は、佐木隆三が実在の人物をモデルに執筆した小説『身分帳』を原案とする作品。13年の刑期を終えた元殺人犯の三上正夫のもとに、三上の姿を面白おかしく番組にしようするテレビマンの津乃田と吉澤が現れるが、いつしか三上が彼らの人生を変えていくというあらすじだ。真っ直ぐな性格と憎めない魅力で周囲の人々と繋がっていく三上役を役所広司、三上がテレビ局へ送った刑務所内の個人台帳「身分帳」を手にする津乃田役を仲野太賀、三上が更生していく様子をテレビ番組にしようと近づく吉澤役を長澤まさみが演じる。
両スポット映像のナレーターは長澤まさみが担当。吉澤が「今ほど生きづらい世の中は無いと思うんです」と語る姿から始まる「ドラマ編」には、津乃田が三上の背中を洗うシーンや、三上が笑顔で走る様子などが映し出されている。「問題作編」では、三上の「俺はとうに足を洗うてる」という怒号や、三上が子供を抱き上げる場面などが確認できる。
「この役には長澤まさみしかいないと思った」という西川監督は「(長澤さんは)年齢と共にどんどん幅が広くなっている。もちろん、画面的にもナンバー1の美しさだと思います。きれいな女優さんであればあるほど、なかなかヒール(悪役)役を受け入れることに時間がかかると思うんです。でも今の長澤さんなら、これくらいの悪役は、跳ね返してやってくれるだろうなと思ってお願いしました」とコメント。
長澤は、西川組、役所の芝居に対する姿勢に触れ、「常に緊張感があり、コツコツと積み重ねる仕事だと改めて思った」「求められているものが、どんどん明確になっていくのが楽しかった」と述懐し、「台本はのめりこむようにあっという間に読んでしまいました、時代の流れと共に変わっていく人間の感覚について考えさせられましたね。(出所したばかりの三上は)時代錯誤な人に感じられるけど、そういう時が経ったことに気付いていない人はじつは世の中にはたくさんいると思います。最後はふしぎと心が温かい気持ちになる作品です」と語った。また、役所演じる三上、西川作品の男性像について「三上はどこか愛らしくて可愛らしい一面があるので、(観客は)感情移入していけると思います。過激なシーンもあるんですけど、それがクスクス笑えるシーンになるんです。お芝居を重ねるうちに三上の別の顔をもっともっと観たいと思っていました。西川監督の作品に出てくる男性たちは、どこか欠点があって、完璧でない部分が人間らしさにつながっていると思います」と述べている。
- 作品情報
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『すばらしき世界』
2021年2月11日(木・祝)から全国公開監督・脚本:西川美和 原案:佐木隆三『身分帳』(講談社文庫) 出演: 役所広司 仲野太賀 六角精児 北村有起哉 白竜 キムラ緑子 長澤まさみ 安田成美 梶芽衣子 橋爪功 配給:ワーナー・ブラザース映画
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Crossing??
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