新プロジェクト『I'm a Lover, not a Fighter.』が始動した。
『I'm a Lover, not a Fighter.』は、AV女優、文筆家として活動する戸田真琴と、「少女写真家」飯田エリカによる「グラビア」を見つめ直すプロジェクト。「男性の目線を意識して作られる『グラビア写真』」のあり方を再定義すること、「誰にも見つけられないあなたを愛する」をテーマにnoteとInstagramを中心に写真作品を掲載する。第1弾には中尾有伽が登場し、400枚以上の写真を公開。
『I'm a Lover, not a Fighter.』では、「オールフィルム撮影:予め決められた本数で、1枚1枚を大事に撮影する」「全カット公開:“選ばれない写真”を作らない」という条件のもと撮影。撮影されたフィルム写真はセレクト、レタッチすることなく掲載される。noteには1記事あたりフィルム0.5本分の写真を掲載。Instagramではnoteに掲載する写真のうち一部を掲載予定。
またウェブマガジンと、2種類の月額制noteマガジンを展開予定。月額3,000円の「I'm a Lover」コースでは、撮影した全ての写真に加えて、戸田真琴の書き下ろしコラムや、寄稿エッセイ、インタビューを閲覧できるほか、毎月月末にL版プリント5枚、戸田真琴、飯田エリカと文通できる「お手紙セット」、プチギフトが届けられる。月額800円の「Not a Fighter」コースでは、撮影した写真や記事コンテンツの一部を閲覧可能。記事コンテンツは単品で購入することができる。
プロジェクトステートメント
「グラビア写真」は、いつまで男性の顔色を窺い続けるのだろう。
肌をあらわにして肉感を強調された写真を見たときの興奮と、あの子が隠れて流した涙を見てしまったときの気まずい温もりは、ほんとうに共存することは出来ないのだろうか。
“少女写真家”として女の子の魂を取り続けてきた飯田エリカと、“「かっこよくなんか生きなくていいよ」って言う権利が欲しくて”AV女優になった戸田真琴。
撮って、撮られてきたふたりが改めて、グラビア表現を考える。
私たちは、魂のエロティシズムを写したい。戸田真琴のコメント
撮られ、撮られ、撮られ、撮られ、例えば〇時間、〇カットくらい撮れば「使えるもの」が有るだろう、というていで撮られ、選ばれ、選ばれ、選ばれ、選ばれた写真たちがほくろや肌荒れを綺麗に抹消されて掲載される。過度にセンシティヴな心はその様子に捨てられ、捨てられ、捨てられ、捨てられ、使いようがあると思われたものだけが存在することを許されていくような痛みを味わってしまう。当たり前だ、この肉体は私のもので、選ばれなかった私もまたこの私のある一瞬の確かに象られた姿なのだから。
生きているからだには感情が、過去と未来が、悩みや苦しみが確かに流れている。
それらを全てPhotoshopで消してから愛してるなんて言うなんてちゃんちゃらおかしい話だって。
見たいものしか見ようとしない人には見たいものの本当の姿さえ見えないのよ、とノーレタッチの私が写真の中から語りかける。感情や痛みがあることを、知らないままで好きになったつもりでいるなんて可哀想。
もう一層深いレイヤーに潜るようにと祈りながら、私たちは彼女らを選ばない。
君が選ばなかったものが、美しくまたたくその瞬間の敗北に、君の本当の願いが宿る。戸田真琴
飯田エリカのコメント
週刊誌、グラビア誌はたくさんある。そこでのグラビアの正義やプロセス、ルールがある程度決まっているなかで、女性がグラビアを見ていることや、「女性が見たい女性の姿」を意識した写真はどの程度あるのだろうか?
女性のアイドル、モデル、タレント、俳優を応援する女性ファンの数が多いことは認知されているのに、グラビアに関しては男性目線、男性原理の発想、異性愛主義のもと撮られ続けている。
だからこそ撮れる写真のよさも理解しながら、グラビアというものの可能性、もっと見たいものがあるように感じてしまう。
その可能性に挑戦したい。
写真は女性の身体を利用して消費するだけのものではないはずだと、その美しさを残すことができるはずだと信じたい。
肌が露出された写真を撮るのはポートレート写真のなかでも特に緊張する。グラビア写真を見るときは私が見ていいのだろうか、という気まずささえ感じることもある。
それでも、その緊張があるからこそもっと違うものが撮れるのではないか、写真のジャンルとして根強くあり続ける「グラビア」に挑戦したい。
あなた自身の美しさは肌を露出するだけでない。感情の露出や暗いところまでも、もっと見たい、もっと写したい、もっと残したい。
あなたの魂ごと。
そんなこと出来るだろうか、出来ないだろうか。それはグラビアと言えるのだろうか。
グラビアってなんなのか? 女性が見たいもの、男性が見たいもの、そこにどんな隔たりがあるのか? やってみないとわからない。
一緒に挑戦してくれる方とグラビアという表現に挑戦したい。飯田エリカ