現在公開中のチェコ映画『SNS-少女たちの10日間-』の新たな本編映像とヴィート・クルサーク監督のコメントが到着した。
「児童への性的搾取の実態を捉えた映像」としてチェコ警察から刑事手続きのための映像が要求されたという同作は、「12歳・女子」という設定でSNSで友達を募集する18歳以上の3人の俳優に対し、2458人の成人男性が卑劣な誘いを仕掛ける姿を捉えたドキュメンタリー。スタジオに作られた子供部屋を舞台に、精神科医や性科学者、弁護士、警備員といった専門家のバックアップやアフターケアを用意した上で撮影された10日間を映し出す。
新たな本編映像は、少女に成りすました俳優に声をかけてきた男性が、スタッフの知り合いで、子供に関連する職業に就いていることが発覚する場面を切り取ったもの。俳優が「全体公開なのに信じられない」と困惑する様子、男性が自身の知り合いである可能性を告白するスタッフの姿、ビデオ通話中の男性が俳優に「服を脱いだら?」「君の全身を見たい」と要求するシーンなどが映し出されている。
ヴィート・クルサーク監督のコメント
わたしも4人の子を持つ親です。子どもたちには10歳くらいまではスマートフォンを持たせたくないと妻とも話していますが、友人関係や周囲の環境もあるので一概には言えません。ネットの利用について、時間制限を設けるとか、ポルノサイトをブロックするようにしておくなど色々と対策はありますが、時々びっくりするようなことが起こるものです。悪質な人や行為を完全に無くすことは難しいのです。インターネットを利用するわたしたちの意識の変化、そしてなにより家族間の信頼関係が最も大事だと思います。
社会全体での議論を開始し、ネット上での攻撃者からどう子どもたちを保護するのか、それだけでなく自分たちでどのように守っていくのか、その方法について前向きなアイデアが生み出されることを望みます。子どもたちが危険な状況に遭遇することを忘れないでください。また、この映画が報復を扇動するようなことや、何か子どもたちに危害を与えそうと思われるものを禁ずるような流れにはならないことを願います。
子供たちが身を屈めてタブレット端末をじっと見ているより、もっと楽しいことがあるということを伝えていくべきなのです。私たちから始めましょう。私も常にスマートフォンに目を細めながらメールを打ったりしています。そしてそれが良くないことだと分かっています。私のため、そして私の子供たちのためにも、そんな姿で彼らに記憶されるのは望ましくないのです。
- 作品情報
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『SNS-少女たちの10日間-』
2021年4月23日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館、池袋シネマロサほかで公開監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク 原案:ヴィート・クルサーク 出演: テレザ・チェジュカー アネジュカ・ピタルトヴァー サビナ・ドロウハー 上映時間:104分 配給:ハーク
Special Feature
Crossing??
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