企画展『ルール?展』が7月2日から東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2で開催される。
法律家の水野祐、コグニティブデザイナーの菅俊一、キュレーターの田中みゆきがディレクターチームを組んだ同展は、それぞれの視点を融合させて新たなルールの見方、作り方、使い方、今後の展覧会のあり方を共に考えるというもの。憲法や法律、社会基盤となる公共インフラや公的サービス、文化的背景に基づいた規則やマナー、家族や個人に無意識に根づく習慣など人々の思考や行動様式を形成している様々なルールを、デザインでどのようにかたちづくることができるのか、多角的な視点から探る。
参加作家は、石川将也+nomena+中路景暁、ダニエル・ヴェッツェル(リミニ・プロトコル)+田中みゆき+小林恵吾(K2LAB)×植村遥+萩原俊矢×N Sketch Inc.、遠藤麻衣、葛宇路、高野ユリカ+山川陸、一般社団法人コード・フォー・ジャパン、コンタクト・ゴンゾ、佐々木隼(オインクゲームズ)、NPO法人スウィング、田中功起、丹羽良徳、野村律子、早稲田大学吉村靖孝研究室、Whatever Inc.。
7月8日20:00からは、水野祐、菅俊一、田中みゆき出演のオープニングトークイベントをZoomで実施。
水野祐のコメント
わたしたちの社会はさまざまなルールによって成立しています。その代表的なものが法律ですが、「もしこの世界から法律がなくなったら」と想像してみると、わたしたちの社会にとってルールが不可欠であることは自明です。それにもかかわらず、わたしたちは、なぜこんなにもルールに不自由さを感じるのでしょうか?わたしは、その原因が、わたしたちがルールづくりに参加できていないから、あるいはルールづくりに参加している感覚がないから、だと考えています。
わたしは、一人の法律家として、法を含むルールがわたしたちを自由にするものであってほしいと願っています。わたしたちの社会をより豊かにしていくための「補助線」としてルールを活用できないか。デザインできないか。そのまなざしは必然的に「だれかが作ったルール」から「わたしたちが作るルール」への転換につながっていくはずです。本展示を通して、ルールの堅苦しさではなく、おもしろさ、深さ、そして自由さを感じ取ってもらえたらうれしいです。
菅俊一のコメント
かつてわたしはルールは誰かが作ったものであり、最初からあるものでもあり、存在に疑問を持たずに守るべきものであると思っていました。ですからルールというものに対しては当然、自分を縛るネがティブなイメージを持っていました。
一方で、現在デザイナー・教育者であるわたしがルールに抱いているイメージは全く逆で、ルールが創造性を促す踏み台として機能することや、ルールを上手く設計することで、心地よく行動を促す導線として機能することを知っています。ルールは、行動や思考をデザインするためのツールとしても使うことができるのです。
本展では、さまざまなアプロチでルールへのイメージを更新するための手がかりを提供します。作品体験を通じて、みなさんもルールとの新しい付き合い方を始めてみませんか。田中みゆきのコメント
何のためにあるのかわからない、誰のためにもなっていないように見えるルールを体裁のために守る、というのはわたしが人生において最も苦手としていることのひとつです。わたしが多数派でできた社会のルールで捉えることができない障害のある人やマイノリティに関する活動を続けているのは、少なからずそんな自分の性格が関係しています。
ルールを苦手に感じるのは、それをつくった見えない存在を信頼できないこと、そして自分も信頼されていないことを感じる時です。ルールという共通言語があるからそこに収まらないものも尊重できるという実感が持てるとき、ルールが自分の味方に思えてくるのかもしれません。この展覧会では、来場者の力を借りて、他人や社会とのさまざまな信頼の結び方を想像する体験をつくれたらと思います。
- イベント情報
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『ルール?展』
2021年7月2日(金)〜11月28日(日) 会場:東京都 六本木 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2時間:平日11:00〜17:00、土日祝11:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで) 休館日:火曜(11月23日は開館) 料金:一般1,200円 大学生800円 高校生500円 ※中学生以下無料
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