映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』が、東京2020オリンピックの開催にあわせて、7月23日から29日まで東京・アップリンク吉祥寺、京都・アップリンク京都で先行上映される。
『東京ドキュメンタリー映画祭2020』特別賞を受賞した同作は、国立競技場に隣接する都営霞ヶ丘アパートから強制退去させられた住民の2014年から2017年にかけての記録を通して、「五輪ファースト」の陰で繰り返される排除の歴史を映し出すドキュメンタリー。住民の慎ましい生活、団地のコミュニティーの有り様、有志による東京都、五輪担当大臣への要望書提出や記者会見の様子などを捉えている。監督、撮影、編集は青山真也。8月13日から一般公開される。
今回の発表とあわせて予告編が到着したほか、武田砂鉄、稲葉剛(住まいの貧困に取り組むネットワーク)、睡蓮みどり、ヴィヴィアン佐藤のコメントも公開された。
武田砂鉄のコメント
「上が悪いのよ」、住民の言葉が耳に残る。大切な場所を潰した「上」は、これを観て何を思うのだろう。やっぱり、観ようともしないのだろうか。
稲葉剛(住まいの貧困に取り組むネットワーク)のコメント
ずっと、そうだったのだ。コロナ禍が到来する何年も前から、五輪は、東京は、いのちを軽んじ、犠牲を強いてきたのだ。壊された団地は戻ってこないが、かき消された声に耳を傾けることは今からでもできる、ということをこの映画は教えてくれる。
睡蓮みどりのコメント
“感動”や“絆”が何かの犠牲の上にしか成り立たないのなら、そんなものは成立させなくていいと、私は思う。霞ヶ丘アパートは人間らしく生きるための場所だ。家だけでなく人間の尊厳を奪った罪はあまりに重い。
ヴィヴィアン佐藤のコメント
ストイックなカメラは決して国家の社会事業を糾弾しているだけではない。
徐々に消えていこうとする存在の「不確かさ」を捉えていた。
- 作品情報
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『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』
2021年8月13日(金)からアップリンク吉祥寺ほかで公開監督:青山真也 音楽:大友良英 上映時間:80分 配給:アルミード
Special Feature
Crossing??
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