映画『屋根の上に吹く風は』に寄せられた著名人コメントが到着した。
10月2日から公開される同作は、授業もクラスもテストもない鳥取・智頭町の新田サドベリースクールの1年を追いかけたドキュメンタリー。生活の中から「生きる」を学ぶ同校のスタッフたちの葛藤、保護者たちの不安、根気の必要な米作り、初めての喫茶店運営、私立中学受験への挑戦、それぞれの思いが交差するスタッフ選挙の様子などが映し出されている。監督、撮影、編集を浅田さかえが務め、ナレーターを玉川砂記子、音楽を原摩利彦が担当。
コメントを寄せたのは、安藤優子、UA、内山節、キニマンス塚本ニキ、五味太郎、佐藤忠男、汐見稔幸(多様な学び保障法を実現する会)、谷川俊太郎、西野博之(フリースペースたまりば)、ブレイディみかこ、養老孟司。
一般公開に先駆けて、9月25日10:00からオンライントークイベントを無印良品 銀座の公式Instagramアカウント、グループ現代の公式YouTubeチャンネルで配信。蓑田雅之、浅田さかえ、新田サドベリースクール出身者の鈴木日向が登壇する。
9月25日と26日にプレミアムオンライン試写を実施。同作のオフィシャルサイト、映画.com、ぴあ映画生活、シネマNAVIの各サイトで応募を受け付けている。
安藤優子のコメント
自由ってむずかしい。そう言ってこの学校からあらたな一歩を踏み出していった男の子の言葉に、このドキュメンタリーのすべてがギュッとつまっている。昭和のど真ん中の教育を受けた者として、最初はハラハラ、ひやひやでこの学びの場の日常を見ていました。でも、自分で考える、行動する、責任を引き受ける、そんな学びの場があることに、正直うらやましいとさえ、感じました。
UAのコメント
どちらかと言うとドキュメンタリーが好きなんですが、すぐにまた観てみたくなるなんて稀ですよね。
登場人物全員が知り合いみたいな気になって、子どもと一緒に「あ、この子、がじゅだよね」とか言っちゃって。内山節のコメント
近代以前の教育は、場とともに展開していた。家族という場、地域社会という場、子どもグループがつくる場、寺子屋という場。いま私たちが直面しているのはこのようなさまざまな重層的な場の喪失である。この映画は、子どもたちが成長していく場をつくりだそうとする人々を映し出している。
キニマンス塚本ニキのコメント
「素直」という言葉は、従順とか扱いやすいとか、大人にとって都合のいいふうに解釈されがちだけど、サドベリースクールのように自分の感情や欲求に素直でいることが許される環境や関係性って、今の世の中に足りないなって思う。子どもたちが自分に素直に生きられるためには、まず大人たちがもっと素直にならなきゃいけないなぁ。
五味太郎のコメント
「学歴で人を評価してはいけない」という法律が一発出来ればすべて解決なんだけれどね。「人を殺してはいけない」というレベルでさ。そうなれば、みんな優しく賢く楽しくなれるのにな。なんでそうならないのか、もうしばらく研究してみましょ、大人も子どもも。
佐藤忠男のコメント
学校教育のあり方については、こうあるべし、という主張を持つ人は非常に多い。主張だけでなく、自分の信じるやり方を、自分で実際にやっている、という人も少ない。さらにそれを映画にして世に問うている作品も、そう多くはないがときおりある。そういう作品を私は見る機会がときたまある。けっこうたいへんな仕事でそうしたことを誰でもやれるはずはないので、これは数としては多くはないが、教育する側、される側の実例として貴重なものだと思う。これは貴重なその実例のひとつである。
汐見稔幸(多様な学び保障法を実現する会)のコメント
学校が揺れている。いろいろな方向から風が吹いてきて。その子にあったところで、その子のペースと内容で学ぶこと。これがその子の人生を決めるという、考えてみれば当たり前のことに人々は気がつき始めた。学校や教育のあり方をめぐる議論が広範に巻き起こることが大事な今、この映画は私たちに風を吹き続けてくれるように思う。
谷川俊太郎のコメント
入学して卒業するものではなく、学校は大人と子どものあいだに日々「生まれる」ものだということを私も学びました。
西野博之(フリースペースたまりば)のコメント
暮らしの中で、子どもたちは遊びながら、たくさんのことを学んでいる。子どもとおとなが話し合ってつくる学校外の学びと育ちの場。そこに居るおとなの立ち位置と役割とは?答えのない問いが続き、モヤモヤも生まれる。
でも、ここが大事。隣にいる人といっぱい語り合いたくなるいい映画ができた。ブレイディみかこのコメント
面倒くさいこと(たとえば民主主義)はワクワクするんだ、ということを忘れてしまった大人たち、そして、学ぶことでワクワクなんかするわけがないと諦めている子どもたちにも見てほしい。
養老孟司のコメント
淡々と記録される学校の日常には、見ていて多少イライラする場面もあるが、それはこちらが効率性、合理性、経済性を重視する現代社会に毒された大人だから。教育は内容ではなく形式である。中身ではなく器だといってもいい。どれだけ本気で先生が話しているか、それを子どもは見ていて、話の中身は二の次である。背景に映される風景も美しく、子どもたちが成人したのちに、心のうちに帰るべき故郷が生じているだろうことを感じさせる。
- 作品情報
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『屋根の上に吹く風は』
2021年10月2日(土)からポレポレ東中野ほか全国で順次公開監督:浅田さかえ 音楽:原摩利彦 ナレーター:玉川砂記子 上映時間:108分 配給:グループ現代
Special Feature
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