松居大悟監督、脚本の映画『ちょっと思い出しただけ』が2022年早春に全国公開される。
同作は、尾崎世界観(クリープハイプ)がジム・ジャームッシュ監督『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て制作した新曲“ナイトオンザプラネット”を受けて書き上げたオリジナルラブストーリー。怪我でダンサーの道を諦めた照生とタクシードライバーの恋人・葉を中心に、登場人物たちとの会話を通じて様々な人生の機微を描く。
主演は池松壮亮と伊藤沙莉。撮影は7月から8月にかけて行なわれた。主題歌はクリープハイプの“ナイトオンザプラネット”。
今回の発表とあわせて場面写真が公開された。
松居大悟監督のコメント
誰にも見つからないように、誰にも気づかれないように、離れてしまった手と手を無理やり引き合わせて、それを運命だとか必然だとか、都合のいい単語で括って知らないふりをしてる。単に時間が経っただけなのに、時間が関係性を引き離すなんて思い込んでるのは自分のエゴで。構ってほしかっただけなのかもなぁ。前より思い出す機会が増えたのは、年齢なのか、時代なのか、思い出そのものが大きすぎるのか。
オリジナルで、初めてのラブストーリーです。尾崎くんがきっとバンド人生を賭けて紡いだ曲を聴きながら、コロナ禍でうんうん悩んだ物語は、小さくて眩しいあの日を思い出す映画になりそうです。盟友の池松君と、鮮やかな伊藤沙莉さんと、素敵な役者スタッフたちと作りました。
きっと花束みたいとか色々言われるんだろうな。言われるよもう。言われる前に言うよ。でも当たってるしなぁ。そんな迷いにこの先何度も包まれる気がするけど、それ以上に、かけがえのない優しい想いに包まれる人に届いたらいいなと思います。
愛がすべてなんかじゃないけど、愛がすべてで。愛ってなんだよ。愛がなんだだよ。また別の映画のタイトルを言ってしまった。『ちょっと思い出しただけ』です、俺はまだ本気出してないだけ、みたいとか言うなよ。俺は本気出したよ。マスクの向こうでニコニコさせられますように。
楽しみにしてくれたら嬉しいです。池松壮亮のコメント
決定的に戻れないあの頃、コロナ以前からの6年間を描いたラブストーリーです。あの頃を成仏する映画や、あの頃を慈しむ映画は時代の変わり目には沢山作られるものですが、今と過去を同時にすくいとろうというこの作品の心意気にとても共感しました。
思い出せないことと、忘れられないこととが、人生そのものをかたどっているように思います。過去にしがみつくではなく、過去を無かったことにするではなく、全ての地続きに今があると信じています。あらゆる人の人生の過去が、その人の人生にあったことを感謝出来ますように。過去と今が、無かったことになりませんように。昔の気持ちを思い出して、色々あったけど今はもう大丈夫。でも、ちょっと思い出しただけ。そんな私たち自身についての映画になってくれることを願っています。伊藤沙莉のコメント
松居大悟×池松壮亮×クリープハイプという私にとってかなり熱いゴールデンタッグの作品に携われることが決まってからインまで、はやる気持ちでいっぱいでした。
綺麗事を言うつもりなんてさらさらないし、ポジティブ、ネガティブな出来事を全て肯定するべきなんて全く思いませんが、私は確かに過去に存在したそれがあっての今なんじゃないかな、と常々思っています。
そういう過ぎた思い出や記憶を、ちょっと思い出しただけな時間もまた、悪くない一瞬だと思います。
ああ、あったなこんな時。とか
ああ、あの人元気かな。とか
そんな悪くない一瞬を、2人の時間を通してふと感じていただけたらいいなぁと思います。
そしてやはり音楽の力ってすごいと思います。
私は音楽に常に支えられていますし、それがあるだけでそのシーンや作品の深みが増したり彩が増します。
そんな音楽の力も感じていただけるといいなと思います。
- 作品情報
-
『ちょっと思い出しただけ』
2022年早春全国公開監督・脚本:松居大悟 主題歌:クリープハイプ“ナイトオンザプラネット” 出演: 池松壮亮 伊藤沙莉 配給:東京テアトル
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?