名古屋在住のオルタナボーイズとしてシーンの注目を集めているsoulkids。5月20日にリリースする最新アルバム『COSMIC HERO』は、確かに「オルタナ」でありながら、持ち前のポジティヴなオーラを振りまいて、恋愛についても堂々と歌う、素直に気持ちいい快作だ。別に禁止されているわけでもないのに、誰も踏み込まなかった領域へ笑顔で入り込んだ彼らは、どのようにしていまの音楽性に辿り着いたのだろうか。
―soulkidsって「名古屋のオルタナボーイズ」ってプロフィールにも書いてますけど、実際聴くと歌ものだし、僕はものすごくJ-POPだと思うんですよね。歌と演奏のバランスは、どういうふうに考えてるんですか?
柴山(Gt&Vo):オルタナって言うと、グランジとか、あの辺の流れを想像されがちなんですけど、僕らはそこにそんなに影響を受けてるわけではなくて。歌があって、一聴したらすごくわかりやすいんだけど、その後ろでちゃんと演奏がせめぎあってる感じにしたいんですよね。ジャンルとしてのオルタナじゃなくて、捉え方としてのオルタナっていう感じで。
―どういう要素を出したいのかって、4人で一致したものはあるんですか?
柴山:みんなで照準を決めてるわけじゃないんですけど、歌心はちゃんと持ってたいなって。邪悪なアプローチにしても、すごくキラキラしたアプローチにしても。
西田(Gt):歌が第一っていうのは、みんなの共通意識だと思う。おおげさに言えば、soulkidsっていうジャンルができるくらい唯一なバンドになっていけたら究極かなと。
角谷(Ba):そのなかで僕らリズム隊はグルーヴで遊ぶなり、いろんなリズムの捉え方をするなり。それでいて全体がうまくいけたらいいなっていう感じですね。
―例えば7曲目の“サイダー”とか、よく聴くとすごく難しいリズムを刻んでるじゃないですか。でも、それを強調してるわけじゃなくて、やっぱり真ん中には歌がある。
深谷(Dr):去年の10月にベースが翔平(角谷)に変わったんですけど(正確には2年ぶりに復帰)、すごい遊ばしてくれるんですよ。そういう影響も大きいかもしれないですね。歌が一番っていうのもあるんですけど、テンションっていうか、まずはバンドのパッションを出していきたいです。
ちょっと前までは、「20代半ばでsoulkidsっていうバンド名はどうなんだろう!?」みたいなことを思ってたんです(笑)。
―わかりやすい歌もあって、実は難しい演奏もある。だけどsoulkidsで一番大事なのは、そのパッションというか。極端な話をすると、「永遠の中学生」みたいな感じというか。それが一番真ん中にあるバンドなんじゃないかなと。
柴山:そうだと思います。ほんと、ちょっと前までは、「20代半ばでsoulkidsっていうバンド名はどうなんだろう!?」みたいなことを思ってたんです(笑)。最近はこういう感じの(勢いのある)バンドの状態とか、みんなの音楽に対する気持ちとか、なるほどなバンド名だなと思って。結成して10年くらい経って、ようやく思うっていう(笑)。
―いまは「キッズ」っていう言葉がすごく似合ってますよね。soulkidsって、すごくポジティヴなオーラが出てるんですよ。ポストロックとかエモっぽい人たちとライヴをやることも多いですけど、気難しそうなバンドたちのなかにsoulkidsが混じっていると、ちょっとホッとするんですよね(笑)。
柴山:昔は淡々としてるように見えてたときもあったと思うんですよ。別にそういうつもりじゃなかったけど。そういう時期を経てのいまなんですよね。別に何してもいいわけじゃないですか、ルールなんてないし。いまは僕が歌ってるということが中心にあって、そのフィールドのなかだったら何をしてもいいと思えるようになったんです。
西田:昔は変に真面目だったよね。優等生な感じでやってきちゃった気がしてて。でも、メンバーが変わったりとかもあって、いい意味で崩れていったというか。若いときは見た目を気にしてたもんね。
―そういう気持ちがだんだん薄れてきた?
柴山:いままでは内側しか見てなかったのが、ちょっとずつ外向きになってきたんでしょうね。(ステージでの)みんなの立ち位置も、最初は完全に内向きだったんですけど、それもだんだん外向きになってるし。文字通り外向きになったのかなって。結局、自分たちがやりたくてやってることなんですけど、やっぱり応援してくれる人とか、そばにいてくれる人たちが楽しんでくれないと、広がるものも広がらないですしね。
―曲はどういう感じで作ってるんですか? 音楽性からは想像もつかないくらい歌ってる内容はストレートですよね。
柴山:歌詞は僕が全部書いてるんですけど、自分で書いて自分で歌うから、あんまりフィクションを書きすぎると、なかなか気持ちも入りにくいし。ただ、自分が感じたことを歌詞にするということは、自分の生活してる伸びしろが増えないと、レパートリーも増えないので、できるだけいろんな人としゃべったりは心がけてますね。昔は思ったことを素直に書かずに、抽象的に書くことがかっこいいと思ってたときもあったんですけど、最近はストレートなことを、ストレートにドバッと書いてますね。
恥ずかしいこともちゃんと出せるようになると、男としてスキルが上がるんじゃないかと思って (笑)。
―韻踏んだりするのも好きですよね。
柴山:そうですね。ダブルミーニング的なこととかも。日本語って奥が深いじゃないですか。いっぱい語彙もあるし。同じ発音でも全然違う意味がいっぱいあるし。それは英語もそうですけど、日本語は比にならないくらいたくさんあると思うので。そういう言葉のおもしろさみたいなものを、もっと追求できると思うんですよね。サザンの桑田さんみたいに、英語っぽく歌ってるんだけど、歌詞を見ると日本語なんだ!?みたいなのとか。ああいうものを僕はすごくパンクだと感じるし、オルタナだと思うし。
―昔ヒップホップを通ってたとか、そういうのは?
柴山:全然通ってないですね(笑)。
―ヒップホップよりも桑田佳祐の影響のほうがデカい?
柴山:桑田さんも好きですし、ミスチルの桜井さんとかもそういうの上手ですよね。きれいな言葉で、わかりやすく韻を踏むし、踏んでる内容もすごくわかりやすい。それを自分流にアウトプットするとどうなるのか。
―そのためにも、いろんな経験をしないといけないと。soulkidsの歌の場合、いっぱい恋もしないといけないですよね。
柴山:ハハハハ(笑)。その分、短命なんですよ。いっつも続かなくて(苦笑)。
―そういうのって、出したい人と、出したくない人といるじゃないですか。
柴山:昔は出したくなかったんですけどね。やっぱり恥ずかしいし。でも、恥ずかしいこともちゃんと出せるようになると、男としてスキルが上がるんじゃないかと思って (笑)。
角谷:昔は愛だの恋だの言うの嫌いだったし。それが恥ずかしいと思ってたもんね。
柴山:そこにちゃんと向かい合えるようになってきましたね。
―でも、愛だの恋だのとか、「ラヴ・アンド・ピース」みたいな言葉を高々と歌うのって、許される人と許されない人がいると思うんです。soulkidsはそれを言ってておかしくない。そこは重要なポイントだと思うんですよね。「メリーゴーランド」で歌ってる〈あぁ、この世に止まない雨はないから。あぁ、その後には晴れない空はないから。〉とかも、すごく似合うなと思って。
柴山:僕は「ラヴ・アンド・ピース」を「ラヴ・アンド・ピースだぜ!」って言うよりも、さりげなく「ラヴ・アンド・ピースだぜ」っていうほうがおもしろいなと思ってるんですよ。だから、そういう(“メリーゴーランド”のようなゆったりとした)曲だったら、そういう歌詞でもありかなって。対比っていうか。
―そういうのはバンド内で話したりするんですか?
西田:ちゃんと話したりはないですけど、各々無意識に感じ取って演奏に反映させてるんだと思うんですよね。
角谷:俺と慧(柴山)はそういう話もけっこうするんですけど、いま言ってたように切ない曲なのに明るい歌詞だったりとか、そういうのはいいなと思って。アレンジも逆に作りやすいですね。イメージしやすいというか。
もっと言うと、「めちゃくちゃいいから聴いてください」って自分たちで言えるいまの状態を伝えたいんですよね。
―今回は歌詞にしても、演奏にしても、すごく出し切ったものができたんじゃないですか?
柴山:前作の『ALOHA!!!』から比べると、単純にアレンジの幅は広がりましたよね。それもただ広がるだけじゃなくて、さっき翔平も言ってたように、土台っていうか、バンドを形成しているポリシーみたいなのは同じで、そこから枝がいろんな方向に生えてるっていう。その一個一個の枝も、ぶっとくて、しかもいっぱい変な実がなる木にしたくて。そういう弾けてる感じというか、思いっきりやってる感じみたいなのは出したかったですね。
―バンド内で、これはNGとか、そういうのはあるんですか?
柴山:全然ないですね。おもしろくても、バカっぽくても、チープっぽくても、かっこよければいいと思うし。どういうふうにやっても、なんか自分たちっぽくはなるんだろうし。
角谷:それが楽しめるようにはなったかなと思います。昔は、いまある土台がまったくない状態でいろんなことをやろうとしてたから、結局何がしたいの? みたいな感じだったんですけど。
柴山:そういう道を通ってきて戻ってきた感じ。根元の部分は一緒みたいな。
―ちょうど1周したんですね。1周して、いまのsoulkidsの一番いい部分を切り取ったら、今回の作品になったと。
柴山:そうですね。音楽的にもそうだし、翔平も一回抜けて戻ってきたし。じゃあ、2周目行きましょうか、みたいなところだと思います。僕たちAIR JAM世代で、2ビート最高!みたいなところからバンド組んだんですけど、今回は“満天星”で2ビートをやってみたり、そういう2周目な感じもまた不思議なもので。
―いまのsoulkids世代のバンドって、基本みんなAIR JAMとヴィジュアル系は通ってますよね(笑)。でも、それが1周回って、結局ど真ん中に戻ってくる。音楽っておもしろいですよね。今回こういう1周回った作品を作って、この先はどうしていきたいですか?
柴山:今回のアルバム以上にかっこいいやつを作るのはもちろんなんですけど、もっと好き放題やれると思うし。例えば、ソフトな曲ももっとパンクなアプローチで作れると思うし。ジャンルとしてじゃなくて、オルタナなアプローチっていうか。
―soulkidsもそうだし、onsaみたいなバンドもそうだと思うんですけど、個人的にはもっとJ-POPど真ん中みたいなところを攻めていってほしいなと。
柴山:そういうところでちゃんと戦っていける状態にしなきゃいけないし、そうなっていきたいとは思ってますね。そのうえで僕らイズムみたいなのをちゃんと出せなきゃいけないと思うし。
―僕がsoulkidsのライヴを見て、一番いいなと思ったのは、曲うんぬんとか以前に、ポジティヴな空気感だったので、その空気をライヴに来てくれる人とか、CDを聴いてくれる人に感じてほしいなと。
柴山:ほんとシンプルなところというか、つまり、要するに、「めちゃくちゃいいので聴いてください」ってことなんです(笑)。もっと言うと、「めちゃくちゃいいから聴いてください」って自分たちで言えるいまの状態を伝えたいんですよね。
- リリース情報
-
- soulkids
『COSMIC HERO』 -
2009年5月20日発売
価格:2,520円(税込)
YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS XWCG-100011. ワールズエンド・ガールフレンド
2. blue spring
3. DRAMATIC!
4. 満天星
5. メロウイエロウ
6. Time After Time
7. サイダー
8. カタチアンセム
9. メーリーゴーランド
10. 聖者の行進
11. magnolia[again 2009 ver]
12. ボーナストラック
- soulkids
- イベント情報
-
-
CINRA presents 「exPoP!!!!! volume26」
2009年5月28日(木)
会場:渋谷O-nest
出演:soulkids、24 -two four-、OLDE WORLDE、ALOHA
詳しくはコチラへ - 『COSMIC HERO』release tour "GINGA"
-
『soulkids & serial TV dramaWレコ発』
2009年6月5日(金)
会場:札幌 SOUND LAB MOLE(北海道)
出演:soulkids、serial TV drama、raison d’etre、スモゥルフィッシュ、our favorite fab2009年6月7日(日)
会場:仙台MACANA(宮城)
出演:soulkids、タニザワトモフミ and more2009年6月12日(金)
会場:大分T.O.P.S(大分)
出演:soulkids、UFO BEAM、S.M.B、and more2009年6月13日(土)
会場:天神 graf(福岡)
出演:soulkids、24 -two four-、BLUE CAFÉ、Dookies、カルビルカルバン and more2009年6月17日(水)
会場:梅田 Shangri-La(大阪)
出演:soulkids、the ARROWS、 FOZZtone『soulkids & the chef cooks me Wレコ発』
2009年6月25日(木)
会場:浜松 FORCE(静岡)
出演:soulkids、the chef cooks me、asphalt frustration、note2009年6月26日(金)
『ワンマンSHOW!!!』
会場:代官山UNIT(東京)
出演:soulkids、 enie meenie、he
2009年7月4日(土)
会場:新栄 APOLLO THEATER(愛知)
出演:soulkids※未定箇所は随時オフィシャルサイトにて発表されます
-
- プロフィール
-
- soulkids
-
名古屋のオルタナボーイズこと、ソウルキッズ。泣けて歌える楽曲と、激しくも楽しいパフォーマンスに潜むパンクスプリッツに加え、数々の荒波をプロサーファー顔負けで乗り越えて来たピュアネス&タフネスは、愛も涙も汗も憂いもすべて含んだドラマチックなグルーブに進化ING。近年ジワジワと盛り上がりを見せる名古屋バンドシーンのパイオニアとしてシーンを牽引し続ける。
リリース情報
- soulkids
『COSMIC HERO』 -
2009年5月20日発売
価格:2,520円(税込)
YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS XWCG-100011. ワールズエンド・ガールフレンド
2. blue spring
3. DRAMATIC!
4. 満天星
5. メロウイエロウ
6. Time After Time
7. サイダー
8. カタチアンセム
9. メーリーゴーランド
10. 聖者の行進
11. magnolia[again 2009 ver]
12. ボーナストラック
イベント情報
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CINRA presents 「exPoP!!!!! volume26」
2009年5月28日(木)
会場:渋谷O-nest
出演:soulkids、24 -two four-、OLDE WORLDE、ALOHA
詳しくはコチラへ - 『COSMIC HERO』release tour "GINGA"
『soulkids & serial TV dramaWレコ発』
2009年6月5日(金)
会場:札幌 SOUND LAB MOLE(北海道)
出演:soulkids、serial TV drama、raison d’etre、スモゥルフィッシュ、our favorite fab
2009年6月7日(日)
会場:仙台MACANA(宮城)
出演:soulkids、タニザワトモフミ and more
2009年6月12日(金)
会場:大分T.O.P.S(大分)
出演:soulkids、UFO BEAM、S.M.B、and more
2009年6月13日(土)
会場:天神 graf(福岡)
出演:soulkids、24 -two four-、BLUE CAFÉ、Dookies、カルビルカルバン and more
2009年6月17日(水)
会場:梅田 Shangri-La(大阪)
出演:soulkids、the ARROWS、 FOZZtone
『soulkids & the chef cooks me Wレコ発』
2009年6月25日(木)
会場:浜松 FORCE(静岡)
出演:soulkids、the chef cooks me、asphalt frustration、note
2009年6月26日(金)
会場:代官山UNIT(東京)
出演:soulkids、 enie meenie、he
2009年7月4日(土)
会場:新栄 APOLLO THEATER(愛知)
出演:soulkids
※未定箇所は随時オフィシャルサイトにて発表されます
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- soulkids
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名古屋のオルタナボーイズこと、ソウルキッズ。泣けて歌える楽曲と、激しくも楽しいパフォーマンスに潜むパンクスプリッツに加え、数々の荒波をプロサーファー顔負けで乗り越えて来たピュアネス&タフネスは、愛も涙も汗も憂いもすべて含んだドラマチックなグルーブに進化ING。近年ジワジワと盛り上がりを見せる名古屋バンドシーンのパイオニアとしてシーンを牽引し続ける。
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