渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

昨年の11月に「『いま、ここにしかない』表現の場」としてオープンしたライブハウス=渋谷WWWが1周年を迎えた。渋谷のど真ん中という立地、映画館を改装したフロアといった特色を生かした独自のブッキングや企画によって、すでに「常に何か面白いことが起こっている場所」としての認知を受けていると言っていいだろう。特に音響設備へのこだわりは強く、世界的に評価の高いイギリス製のスピーカー「FUNKTION-ONE」を導入し、さらにはその性能を最大限に引き出すため、本国と同じ240Vの電源が引かれ、そのこだわりから生まれた音の良さは高い評価を獲得している。

そこで今回は、この11月より始まった全19公演の『WWW 1st Anniversary』企画に出演するなどWWWとも縁の深い渋谷慶一郎とagraphにご登場いただき、ダンスミュージックやサウンドアートの良き受け皿になり始めたWWWについて語っていただいた。シーンや現場の在り方について、様々な問題点を浮かび上がらせつつも、非常に発展性のある内容となった2人の対話をお楽しみください。

一時期は本当にネガティブなものだったけど、今は「エレクトロニカ」っていう単語を素直に言える(agraph)

―「電子音楽」や「エレクトロニカ」のシーンを積極的に取り上げてきたCINRAとしては、オープンしてこの1年で、見事にそうしたシーンの受け皿になったWWWの価値を改めて考えてみようということで、二人にお時間いただきました。

agraph:渋谷さんくらいのアイコンになると、「シーンの為にどう運動するのか」みたいな質問をよくされるんでしょうけど、きっとそんなこと考えてないですよね?(笑)

渋谷:うん、考えてない。「考えなきゃいけない人」みたいな立ち位置からは上手く逃げてるわけ。

―(笑)。エレクトロニカの代表、みたいな立ち位置は嫌なんですね。

渋谷:とはいえ「エレクトロニカ」ってちょっと前まではすごいネガティブワードだったけど、最近そうでもないなっていう気がしてきている。

agraph:うん、それは僕もちょうど肌で感じていました。一時期は本当にネガティブなものだったけど、今は「エレクトロニカ」っていう単語を素直に言える。

渋谷:『ATAK Dance Hall』(ATAKによる最先端のダンスミュージック・イベント)はエレクトロに寄せているんだけど、そこに自分で作ったエレクトロニカ、サウンドアート的なキックを入れたりすると、って自分で言うのもおかしいけど(笑)、みんな一番興奮するのね。

渋谷慶一郎渋谷慶一郎

―それはどういう理由なんでしょうか?

渋谷:音色的、リズム的なコントラストが新鮮なんだと思うんですよ。あとよく言われる90年代取りとか、00年代取りっていうのはファッションもまだ成功と言われるようなものは出来てないでしょ。だから極めてゼロ年代、2010年代的と言っていい「エレクトロニカ」を今取り入れたら久しぶりに音楽がファッションよりも先に行けるという読みがあって。それで、『ATAK Dance Hall』では敢えてエレクトロニカを混ぜてるところもある。 

agraph:そういう話をライターさんが聞いたら、それは「エレクトロニカ・シーンのことを考える渋谷慶一郎」って書きたくなりますよね。

―はい(笑) 。

渋谷:いや、そんなつもりはないんですけど。僕がやったことは僕にしかできないからあまり汎用性ないし。とはいえ、エレクトロニカは可能性があると思っている。この間発表になった伊勢谷(友介)くんの映画の音楽監督もやらせてもらったんだけど、全曲作るのは無理だから、全編エレクトロニカ系のアーティストを揃えて制作させてもらえるんだったらやりますよって話をして引き受けたのね。伊勢谷くんの映画って、若い女性もたくさん観に来ると思うんだけど、そういうところでエレクトロニカとかピアノが混ざったものが流れてくるっていうのは、リテラシーの流布にもなると思うんだよね。実際、内容もいいし…って、結構シーンのこと考えてんじゃん(笑)。

agraph:ホントですよ!

―(笑)。ちなみにagraphさんはどうなんですか?

agraph:僕なんかはシーンのことなんて全然考えてない。付いていくのが必死ですよ(笑)。僕がエレクトロニカについてネガティブになっていた時って、クリック・テクノが隆盛になった時期で。それで、そこを通過しつつテクノやダンスミュージックが好きなアーティストたちに共感を覚えていて。だから僕は、テクノでもエレクトロニカでも、シーンというものからは少しずつ疎外感を覚えているんです。

―なるほど。渋谷さんはどうしてエレクトロニカがネガティブになったんでしょう?

渋谷:僕はagraphくんとは逆で、エレクトロニカやサウンドアートがテクノに吸収された時に、このシーンは終わったと思った。というのは、エレクトロニカの面白いところって、一応ループはあるからビートはあるんだけど、それが4/4拍子である必要がなかったところなんだよね。テクノはほぼ4/4でしょ。

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agraph

agraph:それわかります。僕もクリック・テクノに傾倒していたというよりは、それ以降のアーティストがすごく好きなんです。クリック・テクノは、エレクトロニカなりが持っていた魅力を、短い小節のループにして快楽性に持ち込んでいくじゃないですか。それって僕はちょっと違和感があったんですよね。

渋谷:そうそう、別に4/4拍子じゃなくてもビートやリズムの快楽性は生まれるわけなんだよね。拍子とは関係なく、たとえば10秒のループと、7秒のループと5秒のループが混ざって物質が層になって積んであるだけ、みたいになっている方が面白かったんだけど、それが劣勢になった時に、ネガティブになっちゃったんだよね。

2/4:音楽を作るっていうのは、空間と時間を作ることでしかないから、それをトータルで考えることがすごく大事。(渋谷)

音楽を作るっていうのは、空間と時間を作ることでしかないから、それをトータルで考えることがすごく大事。(渋谷)

―では、そうしたエレクトロニカやサウンドアートの魅力でもある「音響」という面にスポットを当てた時に、それを体感させる為の現場の音響システムがとても重要だと思うのですが、実際のところWWWはいかがですか?

agraph:ヨーロッパを見渡してもそうなんですけど、音量がでかけりゃいいって感じがあるんですよ。で、僕はFUNKTION-ONEってそんなに音量を必要としないスピーカーだと思ってて。っていうのも、ベルグハイン(ベルリンの有名クラブ)で遊んだときに、FUNKTION-ONEの音量をDJがちょっと下げた瞬間があって、そのとき「このスピーカー、めちゃめちゃ音いいじゃん!」って思ったんです。ずっとパッツンパッツンで鳴ってたのが、ちゃんとダイナミクスが聴こえるようになって。そういう意味ではWWWももっとエイジングが進んで、そうなって欲しいと思ってるんですけど。

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渋谷:FUNKTION-ONEはテクノのスピーカーみたいに思われ過ぎなところがあるよね。

三條亜也子(渋谷WWW):この前ジェームス・ブレイクを聴きにリキッドルームに行って、ハコ全体が鳴ってる気持ちよさを感じたときに、WWWはFUNKTION-ONEの音が前に出てる感じが押しつけがましい印象になっているのかなって思ったりもしました。

agraph:リキッドは2年ぐらい前に床を張り替えていて、ダブステップとかをやるとものすごい床が揺れるんですよ。だから、それ用にミッスクし直したりすると、すごくライブで映えたりするんです。WWWはフロアが階段状で床の底面積が低いから、共鳴する量が小っちゃいですよね。

渋谷:とはいえサブウーハーの位置や数とか、会場後方に今よりも強力なスピーカーを入れるとか、より良くなる方法は色々あるよね。

agraph:渋谷さん、ピアノでライブをしたときはアンプリファイしたんですよね?

渋谷:アンプリファイしないと無理だった。スピーカーの「シーッ」ていうノイズが嫌で最初は生音でやろうとしたんだけど、やっぱり聴こえなくてギリギリの音量でやったな。

agraph:そうですよね。WWWはああいう形だから、普通のハコよりは鳴るのかなって妄想してたんですけど、やっぱり難しいですよね。

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渋谷:ピアノは絶対に生音が一番いいから、ある程度のサイズのピアノで、響きがちゃんとあるところだったら絶対それでやる。そういえば以前、名古屋のクラシック用のコンサートホールでピアノ・ソロのコンサートをやったことがあったのね。その時は会場を真っ暗にして、ピアノと譜面だけ譜面灯っていう自分用の照明をつけて、自分にもほとんどスポットを当てないで演奏したら、終わった後のアンケートに「今日はマルチ何チャンネルだったんですか?」っていうのが結構あった(笑)。ピアノはモノラル、点音源じゃない? それに視覚的要素も極限まで無くしてガーッと集中したときっていうのは、マルチ・チャンネル的な効果が生まれることがあるんだなって。だから11月22日の『分解☆渋谷慶一郎』でもピアノソロのパートは客席は完全暗転にしてほんとに最小限の光だけでやろうと思ってる。

agraph:渋谷さんってライブの演出的な部分もすごく考えてやられてますよね?

渋谷:だって音の発表会ではないじゃない? 僕が「fimachine」(渋谷と、複雑系科学研究者の池上高志が作り出したサウンドインスタレーション。音楽の持つ時間/空間/運動構造を生成する人工的な音響空間であり、マシン)を作るようになってすごく変わったのは、やっぱり音楽を作るっていうのは、空間と時間を作ることでしかないっていうことで、それをトータルで考えることがすごく大事だと思うようになった。ATAK Dance Hallもサウンドチェックと同じくらい照明のチェックに時間かけるし。今回会場打ち合わせも入念にしてADHの部分はストロボと照明を組み合わせてやることにしたから新鮮な感じになると思う。

3/4ページ:音楽が好きな人と仕事をするってことが僕には重要で、それはすごく信じられる。(渋谷)

音楽が好きな人と仕事をするってことが僕には重要で、それはすごく信じられる。(渋谷)

―「空間」ということでいうと、WWWのあの段差も非常に特徴的ですよね。

agraph:あのハコの形って特殊な見せ方ができそうだなって思うんですけど、何かやりたいとかってないですか?

渋谷:突き落としゲームとかじゃなくて?

agraph:殺傷を含まない形で(笑)。何かできそうだなっていうのは、9月に黒川(良一)さんがWWWでやったのを見てすごく思ったんですよ。大きな吊りものをつってて、階段だからすごく見やすいっていうのを含めて、あれが実現できるのはWWWしかないんじゃないかなって。

―他にできるとしたら、もっと大きな規模のハコになっちゃいますよね。

agraph:それこそ劇場になっちゃって、そういうところは音響にそこまでこだわってないじゃないですか? 電源も240Vで引いてないし、FUNKTION-ONEも入ってないから、WWWがそういう環境になってるのはすごく強みなのかなって。

渋谷WWW
渋谷WWW

―渋谷さんはADH(ATAK Dance Hall Set)でもライブをされていますが、単純にあの段差のある会場でフロア対応の音楽をプレイするのっていかがでしたか?

渋谷:それは僕にはあまり問題じゃないかな。僕は結構危険フェチなところがあって(笑)。ある種の極限状態に人を置いたとき、その人がどう音楽を聴くのか、という部分に興味がある。だからWWWのように崖っぷちみたいなところで踊り狂うっていうのはいいなと思っていて。昔見たパレスチナの革命運動とか、ベルリンの壁が崩壊してみんなが騒いでたのとか思い出して(笑)。ストロボが反射してるから、みんなすごい顔に見えるわけ。笑顔が固まった状態で崖のとこで踊ってるから、すごくいい光景で(笑)。

―そういう楽しみ方もあると(笑)。

渋谷:みんなスタティックにフロアってものを考えすぎる。音の反響がどうとかって言うけど、音がいいと言われているクラブに行っても、大体チェックすると左右のスピーカーの音量は違うし、箱鳴りの共鳴とかも含めるとスタティックなホワイトキューブなんてあり得ないわけ。だから、スクウェアな会場じゃないとちゃんと音が鳴らないって言っているのは僕から見ると滑稽。そんなこと言ったらどこのクラブより僕の仕事場のほうが音はいいし(笑)でも、クラブのスピーカーはそういう厳密さを求めて設計されていない。段差があってもそれを楽しめればそれでいいし、結局リテラシーの問題で、そこでの楽しみ方を提案できるかどうかでしょう。

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―スペックも重要ですけど、現場を作り上げる上では、気持ちや姿勢も重要ですもんね。

渋谷: WWWとは結構初期から付き合ってるんだけど、そういうハコのスタッフの人が、エレクトロニカとかを好きだって話は聞いてたわけ。実際に、電源にこだわって240Vで引いてたりして、そういう音楽が好きな人と仕事をするってことが僕には重要で、それはすごく信じられる。

―なるほど。

渋谷:あと、WWWはクラブではないでしょ? クラブってやっぱり営業なんですよ。そうすると、絶対にお客が入るものに流れていって、少し前だとトランスばっかりになっちゃったりとかさ、クラブ自体が荒れていくっていう傾向が強くて。そういう意味では、ライブハウスとクラブと両方できっちりやっていくのと同時にustのインフラと集客の仕組みみたいなのを解決できたらいいんじゃないかなとは思う。これはすごく親切な提案だけどね(笑)。

 

ベルリンとかヨーロッパを知ってしまうと音の違いを感じざるを得ない(agraph)

 

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―ちなみに240Vだとそんなに違うものなんでしょうか?

agraph:やっぱりベルリンとかヨーロッパを知ってしまうと音の違いを感じざるを得ないんですけど、その大きな理由のひとつが「電源」なんですよね。あと湿度の差があって、同じワット数で鳴ったときに媒介が揺れるための力が多分、日本の方が必要なんですよ。

渋谷:ベルリンで「filmachine」を作ったときに、忙しくてライブの準備ができてなかったので、「filmachine」のディレクションをしながらバックヤードに仮設スタジオ作ってもらって。その時、安いスピーカーを2つ置いてもらったんだけど、それですらすごく音がよくて(笑)。あやうく、住みそうになった(笑)。

agraph:わかります(笑)。

渋谷:(ベルリンには)どのくらい行ってたの?

agraph:2ヶ月住んでました。

―4月にLAMAがWWWで初ライブをしたときは、ベルリンから中継で出演されてましたよね? あれってどういうやり方だったんですか?

agraph:僕はベルリンからずっとノイズのテクスチャーを流して、それを日本側でコントロールしてもらっていました。ベルリンとかヨーロッパはネットの回線品質が良くないので、音質がすごく下がっちゃうんですよ。その劣化を許容できるプレイをしなくちゃいけないから、基本的にはノイズ・テクスチャーでしか成り立たなかったんです。

―なるほどー。そうなってたんですね。

agraph:MCが一番つらかったですけどね(笑)。僕がベルリンから、会場の姿が見えないままお客さんに向けてギャグとかを言ってたんですけど、それがウケてるかどうかわかんなくて。

―三條さん、実際会場はどんな感じでしたか?

三條:なんか…不思議な雰囲気に…

agraph:言葉を濁された(笑)。

三條:少し間を置いて笑うみたいな。

渋谷:それ全然フォローになってないし(笑)。

4/4ページ:ストリーミングをリアルタイムで使おうとする時に、ネットの向こうからのアクションによって、やってる人の作家性に効果を及ぼす方が絶対面白い(agraph)

ストリーミングをリアルタイムで使おうとする時に、ネットの向こうからのアクションによって、やってる人の作家性に効果を及ぼす方が絶対面白い(agraph)

―(笑)。まあ、そういうライブができるのもWWWならではと言えるかもしれませんね。

agraph:ニコニコ動画だったりDOMMUNEだったり、二元中継とかやるじゃないですか? ああいう見え方みたいのは新しい場としていいなと思うんですけど、渋谷さんはどうですか? ストリーミングだったり、双方向みたいな。

渋谷:コメントの双方向はいいと思う。参加型ってことで言うと、一時期クリエイティブ・コモンズでの共作が流行ったじゃない? 僕はあれには興味なかったけど、コメントによってちょっとプレイが変わるとか、そういうのはいいと思う。

agraph:僕もそう思うんです。ネットの向こうからのアクションによって、やってる人の作家性に効果を及ぼす方が絶対面白いじゃないですか? それがシームレスにできるハコっていうのは、この時代のハコのあるべき姿なのかなって。WWWはちゃんとustができて、そういう周辺の事象も巻き込んでいける力を持ってるのもいいなって。アーティスト側は基本的にシーンのこととか考えないし、自分がやりたいこと、かっこいいことをやっていきたいっていう意思がある中で、WWWがその受け皿になってくれるんじゃないかと。それはこの一年のラインナップや活動を見ていて感じたことで、単純に現場だけにとどまらない、ある種の台風の目になっていくのかなって。

渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談 渋谷WWWってどうなのか? 渋谷慶一郎×agraph対談

渋谷:どこまでハコか、どこまでストリーミングかわかんないみたいな状態にして、できればライブの価格が下がるといいよね。今だとストリーミングがあるってわかった瞬間に「じゃあ、行くのやめた」ってなるじゃん? あれもあれで結構しんどい話で、問題だと思ってるのね。とはいえ、若い子がそうなるのは仕方ないから、それは「来てくださいよ」っていくら言っても無駄で。だからその「参加」っていうのが、今日はストリーミングで、今日はリアルでっていう選択ができて、しかもその違いがそんなになくなるとすごくいいなって。だからどこまで快適な環境を提示できるかというのはクラブなりライブハウスはもっと真剣に考えてほしい。音が悪かったら当然ust で見ておしまいでいいわけだから。

 

WWWのポジションは非常に東京的かなって気はするけどね。しかしこれサービスし過ぎてるな…(渋谷)

 

―では最後に、音の面ではなかなか海外に勝てないという話も途中にありましたが、そういう中で、日本のライブスペースが今後どのように進んでいけばいいとお考えですか?

agraph:ベルリンに行って思ったのは、ギャラリーで小難しいサウンドアートをやっていても、人がすごい来るんですよね。全身ピアスの男の子が「ちょっと面白そう」って、ピーとかガーとか音が鳴ってるだけのところに来るわけですよ。それすごいなと思って。それがすぐに日本でできるとは思わないけど、受け皿っていう話もしたように、WWWがそういう潮流の一端になってくれればなって思うんです。さっきも言った黒川さんのライブであれだけ人が入るのとかって、すごく象徴的だなって。

 

渋谷:あと日本ってやっぱりアイコン化された、シンボリックなものが必要な社会だから、「これが面白い」「こういう風になんなきゃダメだ」って言われれば言われるほど、人が離れるところがあって、単純な啓蒙が機能しにくい国だと思うのね。だからウチは良質な音楽を応援します! みたいなのは通じないと思うわけ。WWWが面白いのは、スペシャがやっててみたいなパブリックな部分と、スタッフが「FUNKTION-ONE入れたいから入れる」っていうプライベートな部分の両方があるってことだと思うわけ。啓蒙がしにくいって言ったのは、つまりは中間を狙わなきゃいけないってことで、そういう意味でWWWのポジションは非常に東京的かなって気はするけどね。だから、いろんな意味で上手くやってほしい。今のところ、プライベートな部分の良さっていうのを僕は知ってるから。

―今後はそのプライベートな部分も大事にしつつ、よりパブリックにも広めていく、そのバランス感が重要になってくるんでしょうね。今日はどうもありがとうございました。

渋谷:しかしさこれ、意味わからないくらいWWWにサービスしてるよね。どう挽回してもらおうかな…

agraph:それ、俺も絡めてください(笑)。

イベント情報
WWW 1st Anniversary 『分解☆渋谷慶一郎』

11月22日(火) OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
渋谷慶一郎
ATAK Dance Hall set:Keiichiro Shibuya+evala
PA:zAk
TALK SHOW GUEST:
松村正人
五所純子
料金:
前売(スタンディング)3,300円(税込 /ドリンク代別)
当日(スタンディング) 3,800円 (税込 /ドリンク代別)
座席 4,000円 ※限定50席(税込 /ドリンク代別)

WWW 1st Anniversary『PROGRESSIVE FOrM showcase 2011』

11月17日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
agraph
evala
RADIQ (半野喜弘)
MimiCof
DJ: DJ Kensei -Indopepsychics Set-
DJ : Ametsub
Fugenn & The White Elephants
lycoriscoris
TAISHIN
VJ: Yousuke Fuyama
VJ: Katsumaki
料金:前売3,000円 当日3,500円(共に税込 / ドリンク代別)

プロフィール
渋谷慶一郎

1973年生まれ、音楽家。東京芸術大学作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立。国内外の先鋭的な電子音響作品をCDリリースするだけではなく、デザイン、ネットワークテクノロジー、映像など多様なクリエーターを擁し、精力的な活動を展開する。2009年、初のピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』を発表。2010年には『アワーミュージック 相対性理論+渋谷慶一郎』を発表し、TBSドラマ『Spec』の音楽を担当。2011年は、モスクワでのイベント『LEXUS HYBRID ART』のオープニングアクトを担当するなど、多彩な活動を続ける。来年2月公開の映画『セイジ 陸の魚』では音楽監督を担当。

牛尾憲輔のソロユニット。2003年、石野卓球との出会いから、電気グルーヴ、石野卓球などの制作、ライブでのサポートでキャリアを積む。2008年12月にソロユニット「agraph」としてデビューアルバム『a day, phases』をリリース。2010年11月、セカンドアルバム『equal』をリリース。2011年は、ナカコー(iLL/ex.supercar)、フルカワミキ(ex.supercar)、田渕ひさ子(bloodthirsty butchers/toddle)との新バンド、LAMAのメンバーとしての活動もスタート。



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