新作『ビューティービューティービューティフルグッバイ』収録の“93年の唄”が、90年代のクラブカルチャーを歌ったアンセムとの呼び声高いワンダフルボーイズのSundayカミデは、2000年からライブイベント『Lovesofa』を開催し続ける、大阪の顔役の1人である。一方、京都出身で現在は東京在住の飯田仁一郎はLimited Express(has gone?)でのバンド活動と並行して、京都時代の2002年に『ボロフェスタ』を立ち上げると、東京でも数々のイベント制作に携わり、今年は新宿で『PACKaaaN!!!』をスタートさせるなど、ますます精力的な活動を続けている。大阪・京都・東京と、それぞれの場所でバンド活動とイベントのオーガナイズを行う30代前半の2人は、今の音楽シーンに対して何を思うのか? ワンダフルボーイズのリリース元であるWAIKIKI RECORDの主宰であり、ELEKIBASSでも活動するサカモトヨウイチの提案により実現し、サカモト本人も交えて行われたこの鼎談は、シーンの過去・現在・未来を横断する、非常に中身の濃い対談となった。
京都は大阪に比べても小っちゃい街なので、心のどこかで「東京を利用しないと自分たちが勝ち上がれない」っていう気持ちがあるかもしれない。(飯田)
―お2人の最初の接点っていうのは何だったのでしょう?
Sunday:京都で『ボロフェスタ』をやってた飯田くんたちが、今度は『SAL CULTURE』っていうイベントを大阪でやるっていう話になって。その当時、僕もすでに『Lovesofa』っていうイベントを大阪でやっていたから、誰かから「『SAL CULTURE』を手伝ってもらえませんか?」って相談をされたんですよ。それで、京都に打ち合わせをしに行ったら、飯田くんとかがおって。
Sundayカミデ
―それっていつ頃ですか?
飯田:たしか2007年ぐらいですよね(『SAL CULTURE』が開催されたのは2008年の3月)。その『SAL CULTURE』っていうイベントは、当時大阪にDICE(現para-dice)っていうライブハウスがあって、そこのオーナーから『ボロフェスタ』を作ってるチームに声がかかってやることになったんです。僕らはその頃『ボロフェスタ』が上手く行ってたから、何をやっても成功するぐらいの気持ちでいたんですけど、とはいえ大阪でやるのはそんな簡単じゃないと思ったから、Sundayさんたち『Lovesofa』チームに参加してもらおうと思って。
―やってみてどうでしたか?
飯田:結局収支的には上手いこと行かなくて、悔しかったイベントだったんです。京都チームが京都のやり方で大阪に行っても上手いこといかない。電車でたった30〜40分の距離なんですけど、こんなに違うんかっていうのはあのとき意識しましたね。
―その違いっていうのはどんな部分が大きいのでしょうか?
Sunday:根本的に全然違うってことはないんですけど、大阪のバンドとかイベントってなあなあな関係から始まることが多いんです。その中から抜け出せたら勝ちで、『Lovesofa』もそこから抜け出したくてやってるんですけど、抜け出そうと意識したら集客が減ったりとか、なかなか難しくて。
―それってブッキングの難しさとかっていうことですか?
Sunday:例えば東京からイルリメくんに出てもらったら、イルリメくんは大阪にも京都にもおったことがあるから、何となく盛り上がる。だけど、同じヒップホップでも呼ぶのが環ROYくんとかだったら、「今見といた方がいいで」っていうタイミングで出てもらっても、フワッとフロアから人がおらんくなったりして、「アホちゃうか?」って思ったりして。
―音楽が良い悪いとかではなくて、大阪のコミュニティーに絡んでいるかどうかが重要になっちゃうんですね。
飯田:その話を聞くと、僕がいた頃の京都は大阪よりローカルコンプレックスが強かったです。東京のバンドを京都に呼んで、それに対して自分たちをどうアピールするか、みたいなところは結構強いかも。打ち上げの席だと東京の悪口も言うんですけど、京都は大阪に比べても小っちゃい街なので、心のどこかで「東京を利用しないと自分たちが勝ち上がれない」っていう気持ちがあるかもしれない。まあ、それは京都以外の都市でもきっと同じですよね。
飯田仁一郎
―どちらかというとそれが一般的で、大阪が特殊かもしれませんね。
飯田:Sundayくんの周りが特にそうなのかもしれないけど(笑)、大阪ってそういう外に対する意識が相当強いですよね。
Sunday:でも、「このままなあなあでやってたら全員沈む」っていう危機感もみんなうっすら思ってて、それなのに「このフワフワ感がたまらん」みたいな感じもあって。それで「結局誰も努力せずっていうのをいつまでやんねん?」ってずっと言ってるまま変わっていかない。奇妙(礼太郎)くんはそこに見切りをつけて、「今まで楽しかったけど、1回本気でやります」って出ていった。ただ、その決断とか覚悟って、1アーティストであればできても、イベントとか大阪のシーンを作る上ではなかなかできなかったりする。例えば『Lovesofa』が「1回マジで全国展開して、間違いないイベントにします」って言ったら、もう東京でやるしかない。それを言ったら、大阪ではもうできないんですよね。
cutman-boocheが出てきて、40人ぐらいしか入らんとこから始めて、また300人ぐらいになったら、「cutman-boocheありがとう」って、出なくなる。なあなあの部分もあるけど、一抜けするタイミングは大事やから、それは僕が決めてて。(Sunday)
―そもそも『Lovesofa』はどうやって始まってるんですか?
Sunday:僕は当時A.S.Pってバンドをやってて、BAGDAD CAFE THE trench town(現BAGDAD creations)ってレゲエのバンドと一緒に『Lovesofa』を始めたんですけど、人気が出たら『Lovesofa』に出るのはやめるっていうのがあって。例えば最初に韻シストとかマッカーサーアコンチとかに出てもらってて、2〜3年したら300〜400人くらいお客さんも入るようになったんですけど、そうなったら、今まで出てた人はもう出ませんと。その次はcutman-boocheが出てきて、40人ぐらいしか入らんとこから始めて、また300人ぐらいになったら、「cutman-boocheありがとう」って、出なくなる。なあなあの部分もあるけど、一抜けするタイミングは大事やから、それは僕が決めてて。
飯田:Sundayくんが決めるんだ?
Sunday:主催者が僕しかいないんで。
飯田:呼ばなくなるんですか? それとも、はっきり言うんですか?
Sunday:はっきり言います、「次で終わろう」みたいな。2ヶ月に1回『Lovesofa』っていう同じイベントに出続けるのって、出る側もすごいリスキーだと思うので。でも、そういういいサイクルを続けるには、無名のバンドをピックアップしてヒットを出し続けないといけなくて、それが最近はなかなか出てこなかった。今やっとワンダフルボーイズとトラベル(奇妙礼太郎トラベルスイング楽団)が看板みたいな感じでまたお客さんが入るようになったけど、12年経って結果的にまた自分のバンドでやってんのかって思ったら、ちょっとオエってなる部分も正直あって。
飯田:じゃあ、奇妙くんとワンダフルボーイズはそろそろ出ていくタイミングなんですか?
Sunday:トラベルは僕の頭の中ではもう今年でいいと思ってて、夏と年末一緒にやったら終わりかな。けど、「人が入らへんときは助けてや」って(笑)。
東京のこれから来そうなバンドが「出してくれ」っていうときにちゃんと説明するのは、リキッドルーム(東京)で1,000人埋まっても、多分『ボロ』(京都)だと50人も入らないですと。(飯田)
サカモト:『ボロフェスタ』はバンドを育てるって考え方じゃないよね?
Sunday:あれは勝手に育つというか、みんなが『ボロフェスタ』に出ることを目指してる時点で、バンドにひとつの道ができるやんか。
飯田:確かに目指してくれるバンドは多いけど、逆に「大事なときにボロに出してくれなかった!」って怒っちゃって、その後何度誘っても出てくれないアーティストもいたりまします。あと、今年出てくれるモーモールルギャバンとかは、もともと京都から出てきたバンドですけど、以前は「俺たちは『ボロ』には出ない」ぐらいのことを人づてに聞いたこともあって、そういう違う軸で行った人たちが大きくなってるっていうのもありますね。だから、実は『ボロ』に関わってない人たちの方が大きくなってます、残念ながら(笑)。
Sunday:でもそれは影響があるってことで、『Lovesofa』はゼロからやけど、『ボロフェスタ』は先に100を作ってあって、みんながゼロから向かう感じでしょ?
飯田:東京のこれから来そうなバンドが「出してくれ」っていうときにちゃんと説明するのは、リキッドルーム(東京)で1,000人埋まっても、多分『ボロ』(京都)だと50人も入らないですと。だから、「リキッド以上になってから言ってください」って言うんです。例えば、今年ボアズ(SuiseiNoboAz)が出ますけど、あのクラスのバンドを他にもいっぱい出してあげたい。けど、それを全部出してたらイベントが成立しないので、やっぱりリキッド以上のバンドを呼ぶしかないんです。
―京都のバンドに関してはどうですか?
飯田:その分京都は若いバンドを推してあげたいんですけど、Sundayさんが言ってくれたように『ボロ』は100のものなので、無名な人を出すわけにもいかない。そういう意味でどうしても普通のフェスっぽくはなっちゃって、そこは悩みどころであり、『ボロ』が育てたバンドっていうのが出にくい原因なのかもしれません。でも、今年はTurntable FilmsとかYeYeとかtricotとかは一番最初に声をかけました。集客もあるし、名前もあるし、京都からやっと頭1つ抜けてきたバンドたちなんで、超嬉しいですね。
今一番集客があるのは、官邸前のデモですよ。センセーショナルなものに飛びつく瞬発力は、東京が確実に日本一ですね。(飯田)
―では、今度は東京の話もしたいなと思うのですが。
サカモト:東京の悪いとこって、注目してくれないところじゃないかと思ってて。例えば、クリープハイプが赤坂BLITZを即完しましたと。この勢いはすごいことなんだけど、ギターロックシーン以外の人はそんなこと誰も知らないですよね。ひとつのバンドが1,200人即完しても、ニュースにはならない。でも『Lovesofa』が1,200人集めたら、ひとつのカルチャーとしてニュースになると思う。ちょっとジャンルが変わると一気に興味を持たなくなるのか、人が多過ぎて伝わらないのか、その距離感はずっと感じてて。
サカモトヨウイチ
―確かに、それはあるかもしれないですね。
サカモト:だから初めて『ボロフェスタ』を見たときは、単純に「羨ましい」って思いましたね。スタッフがみんなちゃんと出演バンドを知ってるっていう、もちろん規模の問題もありますけど、こういうのって可能なんだなって。
飯田:数の話で言うと、東京は5,000人を超えないと厳しいかもしれないですね。僕も東京ではその数まで辿り着いてないですけど、300〜400人でも、その全員が熱狂すれば伝わるかもって思ってて、そこから1,000人、2,000人、5,000人っていう道筋は、絶対に東京の方がやりやすいから、そこは目指してみたいと思ってるんです。
―『ボロフェスタ』では目指さないんですか?
飯田:『ボロフェスタ』は、去年10年目でそれをやめたんです。JOJO(広重)さんに占ってもらったんですよ(笑)、「『ボロフェスタ』は10年目で今5,000人なんですけど、1万人目指すべきですか?」って。そしたら「1万人目指すんだったら、友達なくすよ。どっち取る?」って言われて、「友達を取ります」って。結局さっきサカモトくんが言ってたノリが『ボロフェスタ』なんです。イベンターを入れずに自分たちでやれる限界が、5,000人とかなんですよね。
―なるほど。
飯田:ただ、僕は欲のある人間ではあるので、1万人とか2万人の世界も見てみたい。そういう意味で、東京で何かのイベントをでかくしたいと思ってて、『オトトイフェス』だったり、『メテオナイト』だったり、『ぐるぐる回る』だったりに関わらせてもらいながら、『PACKaaaN!!!』でひとつ見えたかなっていう段階ですね。
サカモト:でも、東京って成功した次の年に大失敗したり、全然読めないですよね。ただ言えるのは、ここ10年で良くも悪くも個人発信のイベントが増えてて、それが大きくなったなっていうのはありますけど。
飯田:今一番集客があるのは、官邸前のデモですよ。15万人集まったっていうあのスピード感っていうのは、東京ならではですよね。一瞬で流行ってドーンと来る感じ。ムーブメントに対して敏感な人が多い。センセーショナルなものに飛びつく瞬発力は、東京が確実に日本一ですね。
橋下市長みたいな人がたまに出てきて、大阪がなあなあでやってた部分を壊すのはいいことだと思うし、壊れた後にまた新しい何かが出来上がるっていう意味で、今はピンチやけどチャンスなんですよね。(Sunday)
―飯田さんがイベントをやろうと思った最初の動機はなんだったんですか?
飯田:僕は自分が見たいアーティストが京都になかなか来ないから、自分でやるしかなかった。まあ、今もOTOTOYとか『ボロ』とか『脱出ゲーム』とかやってるように、基本的にやりたがりだっていうのもあると思うんですけどね。あとは結局自分のバンドを売っていく方法が、自分が呼びたいバンドと繋がるしかなかったっていういやらしい部分もあったかな。最初にライブハウスにデモを持って行ったときに、ほとんどのところで「対バンにFLUID(京都のバンド)はどうですか?」って言われたんですけど、それくらい当時の京都の箱ブッキングには駒がなかったんです。箱が東京のバンドを呼んでくれなかった。
―そういうかつての状況から変化はあるんでしょうか?
飯田:僕と同じような経験をした人が今ライブハウスのブッキングマネージャーになって、だいぶレベルが上がってるみたいです。
Sunday:そう言われれば、京都でライブすること自体はめっちゃやりやすくなった。そういうことやねんな。
―大阪の現場はどうでしょう?
Sunday:風営法の件もあるんですけど、大阪は今大ピンチな感じ。でも、こういう危険性は前からずっとあったはずなのに、「検挙しまっせ」みたいな感じでアナウンスされたら、みんな「どうしよう、どうしよう」ってなっちゃってて。
―風営法の取締りが厳しくなって、オールナイトイベントが減っているんですね。
Sunday:でもね、そもそもお客さんがあまり来ないイベントは規制なんかかからへんから、変に風営法を気にしたりする小さいイベントは、これを機に淘汰されるのもアリかもって思ったりもして。
―なあなあな文化はいらない、ということですか?
Sunday:その中で生み出されるものもありますけど、いつまでもそれは続かへんから、10年に1回は楔みたいなもん入れてもらわんと、多分大阪は何ともならへんというか。橋下市長みたいな人がたまに出てきて、大阪がなあなあでやってた部分を壊すのはいいことだと思うし、壊れた後にまた新しい何かが出来上がるっていう意味で、今はピンチやけどチャンスなんですよね。
僕も実はチャンスやと思ってるんですよ。1回アイドルになったってことは、その次が絶対あるじゃないですか?(飯田)
サカモト:そう考えると、東京はしばらく何も起きてないんじゃないですか? ライブハウスでもクラブでも「1回ぶち壊されちゃったね」みたいなことありました?
飯田:今まさにぶち壊されてますよ、アイドルに。ライブハウスでバンドのライブを観ていたようなお客さんがどんどんアイドルに行ってますから。
サカモト:アイドルの予備軍みたいのがライブハウスにも出るようになったしね。
飯田:京都や大阪はまだそこまでじゃないかもしれないですけど、新宿のタワーもアイドルを売りやすいように改装したし、渋谷O-nestとか新宿LOFTみたいなバンドから人気のあるライブハウスでもアイドルのイベントが増えていたりして。
―バンド側からアイドルにアプローチして活性化させようって動きも見えますよね。
Sunday:うわー、東京変わってるなー! 小っちゃい頃は東京って、何かかっこいいものが集まってて、かっこいい人たちが遊んでる街ってイメージやったのに…。そういうのどうなってんの?
飯田:今はメインストリームがアキバとアイドルですからね。昔だったらかっこ悪いっていうイメージがあったオタクとかアイドル好きが、今こそ大きな顔をできる街が東京ですよ。
Sunday:全然違うわ! 不思議やわー。
飯田:だから、僕からするとワンダフルボーイズも奇妙くんもそうだし、tofubeatsくんとか、ちゃんと音楽してる人は関西の方が勢いある気がしますね。でも、tofubeatsくんとかもアイドルっぽいところと結びついて、東京で火が点いてる感じもします。メインストリームが変わったって、言い過ぎじゃないですよね?
―うん、間違いではないと思いますね。
飯田:ただ、僕も実はチャンスやと思ってるんですよ。1回アイドルになったってことは、その次が絶対あるじゃないですか? で、アイドルの次にボーカロイドが来る気がしてて、ボーカロイドってまだ一発も当ってないじゃないですか? いわゆるPerfumeとかももクロまでは行ってないっていう。一発それを書けた人がいれば、ボーカロイドが取って代わる気がして。僕としてはその次にまた、バンドの波が来たら嬉しいんですけどね。
「こんな人たちありなんか」とか「仕事ないって言ってるけど、バーではお金使うんや」とか、見たことない人たちがいる場所を自分が作りたいと考えてるから、自分がそれを体験したときのことを曲にしておきたいと思って。(Sunday)
―いろいろと面白い話を聞かせていただきましたが、最後にそれぞれのバンドのことについても聞かせてください。ワンダフルボーイズの新作『ビューティービューティービューティフルグッバイ!』は、リードトラックの“93年の唄”をはじめ、様々な過去の年代やクラブの名前が出てきますが、どのような想いで作られたのですか?
Sunday:僕のここ2〜3年の音楽活動が、「あのとき何であれ流行ってたんやろう」とか、「そのときの大阪の街どんなんやったろう」とか、全部思い出しながら曲を作ってて、記憶してるものを1回書き残しておきたいみたいな感じで作ったんです。回顧録というか、日記というか、思い出すことによって、今やるパワーが欲しいみたいな感じが自分の中にあって。「こんな人たちありなんか」とか「仕事ないって言ってるけど、バーではお金使うんや」とか、見たことない人たちがいる場所を自分が作りたいと考えてるから、自分がそれを体験したときのことを曲にしておきたいと思って。
―さっきの「今壊されつつある」っていう話とつなげると、更地になったところからもう1回始めるためのパワーを、過去の体験からもらおうとしたっていうことかもしれないですね。
Sunday:そうですね、自分のバックグラウンドを改めて求めてた感じはあります。音楽をしていく上でも、20代の頃はジャズとかブラジル音楽を時代に合わせて解釈して、それをどう世の中に見せていくかってことを考えていたけど、今は「これが合ってると思うし、合ってると思ってほしい」っていうことを、より明確にするために曲を作っていくっていう感じで。新しいかどうかとか、かっこいい音作りとかもあんまり考えてないから、すごく楽ちんだし、すっきりしてますね。
飯田:30歳超えてくると、時代とかじゃなくて、自分たちの戦いなんですよね。自分で言うのもあれなんですけど、今は「自分たち」っていうすごく大きな壁が立ちはだかってて、外的刺激に影響を受けてやってきた過去の「自分たち」をぶち破りたいと思ってて。今のリミテッドは必死にそこに向かってるから、ワンダフルボーイズみたいに自分に対して向かった作品にはグッと来るんです。
―そのあたりは、同世代ならではですね。
飯田:特にリミテッドは新しいことに重きを置いてきたバンドだったんですけど、今のアイドルとかって、新しい音楽ではないじゃないですか? その中で自分たちがやるのはなかなか大変だと思いながらも、頑張って次のアルバムを作りたいと思ってます。KIRIHITOが7年かかった意味が、今非常にわかるんです(笑)。
―長い目で見守ろうと思います(笑)。では最後に、今回の対談の企画者であるサカモトさんから、改めて一言いただけますか?
サカモト:結局ワンダフルもリミテッドも、エレキもそうですけど、当たり前に音楽を自分たちで作ってて、その自分たちで作った音楽を見せる場所も自分たちで作ろうとしてて、それをいろんな仲間を集めてやろうとしてるわけだから、一番筋が通ってる音楽だと思うんです。今30歳を超えた人たちが、いろんな経験を踏まえてこういう活動をしてる、そういうバックグラウンドも含めた聴き方って面白いなって思ってもらえたらいいなって。声がいいとか、曲がいいとか、それだけじゃない楽しみ方もいっぱいあると思うんですよね。
- リリース情報
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- ワンダフルボーイズ
『ビューティビューティビューティフルグッバイ』(CD) -
2012年7月18日発売
価格:2,100円(税込)
PCD-202021. firefly
2. ナイトコート(Feat.杉瀬陽子)
3. Star Light Future
4. 恋のマジック with 奇妙礼太郎
5. Back to the '95
6. 全然OK の世界 with KN-SUN. AZ CATALPA
7. ビューティフルグッバイ
8. サラリーマンnew song
9. 君と僕の初めてをさがそう
10. SE
11. Joy To The World!
12. 93年の唄
- ワンダフルボーイズ
- プロフィール
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- Sundayカミデ
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ワンダフルボーイズのボーカル、キーボードとしてそしてクラブイベント「Lovesofa」のオーガナイザーとして大阪を中心に活躍中。「マジであった事ポップミュージック」を日々爽作。2005年「楽しい事しかしたくない病」発覚と同時に、音楽活動以外に平和活動、署名活動など、さまザマな分野でファイヤ!2012年7月、アルバム「ビューティビューティビューティフルグッバイ」リリース。
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- 飯田仁一郎
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バンドLimited Express (has gone?)リーダー、OTOTOY編集長、10年続く音楽フェスBOROFESTA主催、東京リアル脱出ゲームの仕掛人、レーベルJUNK Lab Recordsの主催等、活動は多岐にわたる。またPACKaaaN!!!、ぐるぐるまわる、メテオナイト等、関わる多くのイベントを成功に導く。
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- サカモトヨウイチ
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サウンドはハッピー、ライブはパーティなバブルガムバンドELEKIBASSのボーカルであり自身のポップミュージックレーベル「WAIKIKI RECORD」のレーベルオーナーでもあり、最近は某レコード会社のA&Rやったりも。クラブイベントからパーティオーガナイズまで何足もわらじはいてる人。
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