閉鎖的な山村に生きる平凡な少年少女たちに芽生える、仄暗いエロティシズムへの劣情とその爆発。押見修造原作の漫画『惡の華』はその禁忌を感じさせるテーマから熱心なファンに愛されている。しかも2013年4月より放映開始したテレビアニメは、いわゆる「萌え」のようなありがちな表現とは対極のものを作り上げ、同作はさらに話題を集めることになった。実写撮影を利用して生の淫靡さと不気味さを同居させた特異な映像、エンディングに流れるASA-CHANG&巡礼“花 -a last flower-”の禍々しい響き、そして組曲として全4曲が用意されたオープニング。どこまでもハードコアな表現は今どきのアニメには見られないものばかりだ。オープニング曲を手がけたのはバンド「宇宙人」のしのさきあさこ。神聖かまってちゃんのの子や後藤まり子、南波志帆らがゲストボーカルとして参加し、奇矯なアレンジワークの冴える楽曲はどのように作られたのか。前人未踏の映像美に踏み出す監督・長濱博史(濱の字は正しくは旧字体)と共に、アニメ『惡の華』の世界を語り合ってもらった。
1週間で、AメロとBメロの塊を50パターン作って。そこから4パターンだけ選んでもらって、残りは捨てました。(しのさき)
―しのさきさんがアニメ『惡の華』のオープニング曲を担当することになった経緯を教えていただけますか?
長濱:キングレコードの宮本純乃介さんという方がいるんですけど、最初に会ったときから「絶対に曲を書かせたい人がいるんですよ!」って言ってたんですよ。それがしのさきさんだったんです。宮本さんは『惡の華』の「テーマソングプロデューサー」という形でクレジットされているのですが、僕たちがやろうとしていることをすごくよくわかってくれていて。「普通のアニメが、表打ちのリズムを刻んでるとしたら、こっちは裏打ちのリズムになる」っていう話をずっとしていたんです。
―今回使われているロトスコープという映像表現の手法も、アニメ黎明期に発達した技術ですよね。最先端のアニメシーンに逆行しているというか。
しのさき:えー! 最新かと思って観てました。
長濱:違うんですよ。ディズニーの『白雪姫』(1937年)や『ふしぎの国のアリス』(1951年)で用いられてたんです。実写で撮ったフィルムを透過しながら絵を鉛筆でなぞるという手法ですね。人間の動きをアニメに落とし込めないか? っていう苦肉の策だったんです。
画像左から:長濱博史、しのさきあさこ(宇宙人)
―今のアニメーションの作り方とは全く違う作り方なんですね。
長濱:そうです。今のアニメーションって、デザインも動きも記号化にすごく特化したものなので、パターン化してきてるというか、上手い表現が絞られてきちゃってる。たとえばキャラクターの驚き方が、どのアニメを観ても一緒だったりするんですよ。だけどロトスコープっていう原始的な技術にまで戻しちゃえば、そのノウハウが通用しないからイチから構築できる。今の一般的なアニメからは逆行してるけど、持ち味が出るんじゃないかって話を、宮本さんとは共有していました。そこで宮本さんが考えた結果、しのさきさんの楽曲を思いついたんだと思います。
しのさき:そんな話、全くされなかったです……。「決まったよー」みたいな(笑)。でも決まってからは、まずアニメ、マンガを読んで、実際に舞台になっている桐生にも行きました。桐生の空気を知りたくて。
長濱:え!? すごい、僕たちのやり方とおんなじです。桐生にロケハンすることで見えてくるものが大事だと思ってたので。
―しのさきさんは桐生にどういうイメージを持ちましたか?
しのさき:「閉鎖された感がすごいぞ」って聞いてはいたんですけど、実際に行ってみたら本当に怖かったです。行ったのが年末で、すごく寒くて人が全然いませんでした。
長濱:山に囲まれているし、人があんまり歩いてないんですよね。そのせいか、オープンな感じというのがない。そこから生まれたのがあの曲なんですね。
しのさき:はい。今年の元旦から作り始めました。メインのキャラクターが3人いるので、最初は3種類作ろうと思って相談したら、「じゃあ桐生という土地を俯瞰で見たのも加えて、組曲にすると面白いんじゃないか」って言われたので、全部で4種類作りました。元旦から1週間で、AメロとBメロの塊を50パターン作って。そこから4パターンだけ選んでもらって、残りは捨てました。
長濱:そんなに作ってたんですね……!
しのさき:そのあとにサビもいっぱい作って、厳選したのがあの4パターンです(笑)。“惡の華 -春日高男-”(歌:の子)と“惡の華 -仲村佐和-”(歌:後藤まりこ)のサビは、二人が一緒の方向へ進む感じにして、“惡の華 -佐伯奈々子-”(歌:南波志帆)と“惡の華 -群馬県桐生市-”(歌:しのさきあさこ)は、場所になじんでいく感じ。そういう風に分けてます。
長濱:うわあ、確かにそうなってますね。仲村は「咲け」って言ってるけど……。
しのさき:佐伯さんは「咲かないで」って言ってます。
長濱:桐生は「惡の華」って、ハッキリ言っちゃってるんですね。
しのさき:はい。もう咲き乱れる感じにしてます。
最近のアニメの主題歌って、タイアップが付いて「これ、あの話の主題歌としてふさわしいのかな?」って思うやつもいっぱいある。(長濱)
―オープニングが4曲あるというのは珍しいことだと思いますが、アニメ制作に影響しているところなどありますか?
長濱:役者が、自分たちの曲があるというので本当に喜んでますね。それに、たとえばオープニング曲が仲村バージョンに変わると、映像も一番最初に仲村を出すようにしてるんです。
しのさき:いやあ、嬉しいです。
長濱:はじめは、この四曲を話の内容に併せて使い分けていこうかなと考えてたんです。でも上がってきた楽曲を聴いたら、小手先の技はいらないなということになりました。あの楽曲自体が、まさしく自分たちのやっている裏打ちのリズムの1つになっているというか、しっかりと主題歌になってるんです。
―今どきのテレビアニメの主題歌とは違う曲調ですけど、それが結果的にこの作品の「主題歌」として似つかわしいものになっているわけですね。
長濱:たとえば最近のアニメの主題歌って、タイアップが付いて「これ、あの話の主題歌としてふさわしいのかな?」って思うやつもいっぱいあるじゃないですか。だけど今回は本当に作品のために作られた曲になっている。昔のアニメの曲って、その作品だけのために作られてたじゃないですか。
しのさき:『鉄腕アトム』とか『魔法使いサリー』とか?
長濱:そうそう。そういう曲って、アニメ作品と切り離せないんです。そういう意味で、しのさきさんの曲は『惡の華』の主題歌として成立しているんですよね。だから小細工なしに、シンプルに第1話から順番に4曲を当てはめていったら、見事にうまくいったんです。ネタバレになってしまうので言えないんですけど、自分たちの作っているフィルムと照らし合わせたら、すごくうまい流れで4曲を使うことができたんです。全然計算してなかったんですけどね。
アメリカのコミックに出会って、「俺たちの顔は変じゃない、人間は醜くない」って衝撃を受けて。(長濱)
―監督が最初に曲を聴かれたときの印象はどうでしたか?
長濱:「うわ! なんだろうこれ」って、本当にビックリしました。でも、それがたぶんこの作品の全てに共通してる感覚だと思うんですよね。ロトスコープを見た人も、たぶんビックリして「うわ、なんだこれ! 気持ち悪!」って絶対言うはずで。
―監督としてはそういう「気持ち悪い」と言われるような表現をいつ思いついたのでしょうか?
長濱:昔から考えていたことなんですよね。子供のころに、友達の絵を描く授業があるじゃないですか。そこでみんな、ほうれい線とか人中とか描きますよね。
しのさき:すごく描きました(笑)。
長濱:だけどそれを描いてしまうと、すごく変な絵になるんです。それで、「その通りに描いて変になるってことは、俺たちの顔は変なんだ」って、小学校のときに思ったんですよ。でも小4のときに『スパイダーマン』っていうアメリカのコミックに出会って。そしたら、人中も唇も鼻の穴まで描いてあるのに、かっこよかったんです。そこで「俺たちの顔は変じゃない、人間は醜くない」って衝撃を受けて。
―その体験が、ターニングポイントだったんですね。
長濱:だけど友達にそのコミックを見せるとやっぱり「気持ち悪い」って言うんですよね。だから今回のロトスコープも「みんなは気持ち悪いって言うだろうな」と思っていたら、やっぱり言われた(笑)。
―監督はそういう「気持ち悪い」と言われるようなものをあえてやりたいということですか?
長濱:僕は、かっこいいな、きれいだなあと思って作ってるんですけどね。しのさきさんの曲も、いまだに絵とオープニング曲が合わさって始まるとビックリするけど、そこから僕は「おお、かっこいい」って思う。
しのさき:やったー! でも私はロトスコープが何かも知らないで作ったんですよ。
長濱:絶対そうだと思いました(笑)。
しのさき:アニメは、『サザエさん』しか見たことがなくて。『惡の華』も4月の放送開始時に、TOKYO-MXの放送を録画して初めて観ました。だけど『惡の華』がアニメというよりもドラマみたいだったので、アニメに興味が湧き始めたんですよ。それで『キテレツ大百科』を見るようになりました。
長濱:『サザエさん』→『惡の華』→『キテレツ大百科』っていう流れは、かなり忙しい振れ幅になってますね(笑)。
『惡の華』のPVは、寺山修司の映画みたいになってる。(長濱)
―しのさきさんはアニメの放映を実際にごらんになってどういう感想を抱かれましたか?
しのさき:エンディングで自分の名前が流れるのが嬉しかった。本当に尊敬するASA-CHANG&巡礼と同じ画面にクレジットされているのに感動して、一時停止して、写真撮りました(笑)。
長濱:ASA-CHANG&巡礼がエンディング曲になったのは、押見先生の強い思い入れがあったからで。「こんな感じの曲になるといいな」って“花”の入ったCDを貸してくれたので、そのまま使いませんかって提案したんです。それで、とりあえず当たるだけ当たってみたら、ASA-CHANGさんが自分でリアレンジしてくれることになって。まさか作ってくれるとは思わなかったので、先生がめちゃめちゃ感動してました。
しのさき:ファンなので、早くあれのフルが聴きたいです。
長濱:というか、しのさきさんの『惡の華』と一緒に入ったCDが出ますよね。
―オープニング4曲と、“花 -a last flower-”のフルバージョンをコンパイルしたコンセプトCD『惡の花譜』が出ますね。あと、オープニング曲のPVもロトスコープを使って撮影されていますね。
長濱:これめちゃくちゃかっこいいじゃないですか。寺山修司の映画みたいになってる。僕はフリーになって初めての仕事が『少女革命ウテナ』っていうアニメのコンセプトデザインだったんですけど、それを作るときに、寺山修司の映画を見まくったんですよ。
4曲ともアレンジのイメージがそれぞれバラバラでした。(しのさき)
―しのさきさんはどういうイメージで楽曲を作っていったんですか?
しのさき:4曲ともアレンジのイメージがそれぞれバラバラでした。“惡の華 -仲村佐和-”(歌:後藤まりこ)は、「怪物がやってくるぞ」といった感じをイメージしたメロディーです。
長濱:怪獣ものですね。ミニチュアの街をバーンって壊す感じ。
しのさき:そうですね。大きいものが小さい国をバーンって全部踏みつけていく感じを、思い浮かべて作りました。“惡の華 -春日高男-”(歌:の子)は、自分をかっこよく見せようとしてるけど、ちょっと気持ち悪いと思ったので、光GENJIの<こわれそうなものばかり〜>って曲をイメージしました。
長濱:“ガラスの十代”ですね。なるほどなあ。ローラースケートを履いてますしねえ。
しのさき:真剣にかっこよく見せようとしている感じがすごくおかしくて、春日くんはこれしかないと思って作りました。“惡の華 -佐伯奈々子-”(歌:南波志帆)は現代のカワイイ感じ。Perfumeののっちとか、ああいう人形的な感じをイメージしてします。でも、わーっと急に曲が盛り上がるところで、不安定さを出しました。
長濱:じゃあ“惡の華 -群馬県桐生市-”(歌:しのさきあさこ)にも、何かイメージがあるんですか?
しのさき:桐生は、全体的には昔の古い無声のフランス映画のエンディングの映像を想像して作りました。サビ前のところは、『ゼルダの伝説』のゲームの、ラスボスに向かう扉が開くようなイメージです。桐生がたぶん一番強いボスだと思うので。好きになるか離れるか、といったラスボス感を出してます(笑)。
オープニングは、昔の昼ドラのようなことをやりたかったんです。(長濱)
しのさき:でもアニメは『サザエさん』しか知らなかったので、『惡の華』はやっぱりビックリしましたね。第2話から、オープニング曲の途中でセリフが入り始めて、映画みたいだなと思いました。
長濱:嬉しいです。ちょうどあそこに間奏が入ってるんですけど、それを狙ったわけではないんですよね?
しのさき:そうではないです。偶然ですね。
長濱:あの間奏を聴いたときにもう「あっ、もうここにセリフを入れるしかない」と思ったんです。これでもう、絶対にかっこ良くなると。
しのさき:あの場面は、両親が大絶賛でした。電話がかかってきて「セリフが入ったよ」みたいなことを言われて。
長濱:よかったです。「あそこにセリフ入れないで! 曲が汚れちゃう!」って言われたらどうしようかと思ってました(笑)。間奏でセリフを入れる形にしたことで、結果的に全部の話数で違う曲になっちゃったんですね。同じ曲でも、あそこに入るシーンが違うので。だから毎回、あのサビの聞こえ方が違うんですよ。
―監督は、オープニングの映像については最初からイメージがあったのでしょうか。
長濱:最初からおぼろげに考えてはいましたけど、しのさきさんの曲が上がってきて、一層あれで間違いないって思えましたね。昔の昼ドラのようなことをやりたかったんです。
しのさき:昼ドラ大好きです!
長濱:僕も大好きなんですけど、最近少なくなってきたじゃないですか。
しのさき:ドロドロ系が。
長濱:そう、ドロドロ系。『花王愛の劇場』っていうのがTBSでやってたんですよね。あのオープニングのイメージにしたくて、「第一回(全十三回)」っていう文字を必ず入れています。昼ドラって平日は毎日やってたから、サブタイトルよりも、あの回数の印象が強いんですよね。そういう感じが、あの楽曲には絶対合うと思ったんです。そこにあの縦書きのタイトルが出る感じは、この楽曲だからこそのマッチングだなと思えますね。
しのさき:私も昼ドラ好きなんです。『牡丹と薔薇』の中島(丈博)さんの作品が一番好きです。
長濱:ああいう感じ、いいですよね。アニメのオープニングって、普通はキャラクターがわーっと出てきたりして、アニメで構成するんです。でも『惡の華』はロトスコープっていうこともあって、さっきしのさきさんがおっしゃっていたドラマっぽさみたいなものは、そういうところにも表れているのかなと思います。逆に言うと、普通のアニメのようなオープニングはロトスコープには向かないんですよね。やっぱり昼ドラのあの感じが、あの楽曲とマッチングした。先生もすごく喜んでくれてたんですよ。楽曲の感想もすぐにくださって、「ものすごくかっこいいです、めちゃくちゃ嬉しいです」って。
しのさき:ああ、嬉しい!
長濱:ぜひ先生と一度話していただきたいですよ。本当に感動されてました。しのさきさんの曲もそうだし、声優さんもそうですし、BGMを作ってくださった深澤秀行さんもそうだし、みんなこの作品の方だけを向いているんですよね。みんなで同じ方向へ向きながら動いてて、別の場所から同じ方向にものを持ってきてくれる。そんな作品は、もうすごいものになるに決まってるじゃないですか。
今回のアニメでは、閉塞感を笑い飛ばして、救いを見せたい。(長濱)
―しのさきさんは、アニメについては他にどういう感想を抱きましたか?
しのさき:不穏な感じが大好きです。特に校舎を映すときが、一番不穏な感じがします。学校って、どう見ても絶対明るくは見えないですよね? 温度がない感じというか。
長濱:そうなんですよ。どうしてでしょうね? 映像にするときに、制服の子供たちも、頭から上を映さないように切っちゃうと、本当に不安になるんですよ。個性とか、その人が抱えている悩みとかも、一切なくなっちゃうというか。誰がいじめられていようが、誰が裏で犯罪やっていようが、誰が親から殴られていようが全然わからなくなってしまう。
―たしかに学校ならではの閉塞感というのは存在しますよね。
長濱:実は今回のアニメでは、それを笑い飛ばしたいっていうのがあるんです。押見先生の原作も、笑いに持っていってる部分があるんですよ。本当は、もっと深刻な話に仕立て上げることもできるんですよね。絶望的で、すべてが破滅に向かうようなストーリー。だけど、どこか少し救いがあるような感じにしているのは、やっぱり先生の温かさなんだなと思うんです。先生は、救いを見せたいのかなと思うんです。
しのさき:中二病みたいな人って周りにいなかったので、原作を読んだときはすごく新鮮な感じでした。ああ、こんな人もいるんだな、みたいな(笑)。
学生時代は、「携帯持ってない」って言いながら、でも目の前でメール打ったりしていました。(しのさき)
―ロトスコープで、あの原作の世界観をどこまで表現するかというのも難しそうですね。
長濱:今回のロトスコープだと、原作と全く同じシーンを撮るのは不可能なんですよね。そういう意味では実写映画に近いと思います。だから制約はあったのですが、実は世界観を表現するためのプロセスはちゃんと踏んでいるんです。まず第1話では何も起こらない。起こらないのには意味があって、春日が毎日学校に行って、毎日ちょっとヘラヘラ笑って帰っているというのを見せないと、仲村っていうキャラクターが彼にとってどういう意味を持つのか、視聴者にいまいちわかりづらいんですよね。だから第1話では、最初は仲村の髪の色もその他大勢と同じ茶色にしてるんですよ。最初から後ろの席に赤毛の女の子がいたら、こいつは何か起こしそうだなって分かっちゃうので。最初は後ろにいる子は、ただのメガネをかけた子にしてある。それで、担任の先生に仲村が「クソムシ」って言ったあとに、顔が写ったその瞬間だけ、仲村の髪が赤くなるんです。
しのさき:そうかあ! すごーい。
長濱:席に戻るとまた茶色の髪に戻るんですね。そして、春日が仲村という女の子を認識してからはずっと赤毛になって、視聴者にも仲村がずっと目に入るようになる。そしてこのまま観ていると、だんだんみんなロトスコープだってことを理解しながらみんな観るじゃないですか。要するに「これは人が演じたものを絵にしたんだな」って思う。そうなったら次は別の見せ方を用意していて、第3話で春日が服を脱がされて女の子の体操服を無理矢理に着させられるんですよ。「これ、人間が本当にやったの?」って思わせたいんですよね。
―なるほど、アニメだけど生身の人間が演技しているということが意識されていくわけですね。
長濱:そう思わせた後は、原作と同じ構図をどんどん多くしていくんですよ。「え? これわざわざ探して撮ったんだ」「同じポーズにしたんだ」って思ってもらいたい。原作にあるロケーションとか、原作にあるカット割りとかを、とにかく忠実にやって、「バカだこいつら、そこまでやることないのに」って笑えるくらいに(笑)。
しのさき:すごい! 私自身は『惡の華』に出てくるようなタイプではなかったし、学校とそれ以外で人間関係を分けていたので、こういう人たちが学校にいたかどうかよく覚えてないんですよね。でも、そういえば「私はみんなと違うよ」という風に見せたい、仲村さんみたいな人もいたなと思います。春日君みたいに、かっこよく見せようとするけど気持ち悪いみたいな人も、佐伯さんみたいに優等生でかわいいけど心の中はぐちゃぐちゃみたいな人も、そういえばいた気はするんだけど、関わったことはないです。
長濱:え? でも今の話を聞いてると、しのさきさんも仲村さん的な感じに聞こえるんですけど。学校の友達を切り捨ててたっていうことですよね……?
しのさき:切り捨ててました(笑)。でも、仲良くはしてましたよ。学校の外では会わなかったし、メールアドレスも絶対教えませんでしたけど。
長濱:うわー! それは『惡の華』にいてもおかしくない人ですよ。
しのさき:「携帯持ってない」って言いながら、でも目の前でメール打つ、みたいな。
長濱:それは『惡の華』でも、かなり中心人物の方だと思いますよ……!(笑)
しのさき:そうですか……? じゃあ、新キャラで(笑)。
- リリース情報
-
- 宇宙人
『惡の華』(CD) -
2013年5月22日発売
価格:1,200円(税込)
KICM-1453
- 宇宙人
-
- V.A.
『惡の花譜』(CD) -
2013年6月26日発売
価格:1,800円(税込)
KICS-1916・惡の華 -春日高男-(歌:の子)
・惡の華 -仲村佐和-(歌:後藤まりこ)
・惡の華 -佐伯奈々子-(歌:南波志帆)
・惡の華 -群馬県桐生市-(歌:しのさきあさこ)
・ASA-CHANG&巡礼“花 -a last flower-”
ほか収録曲未定
- V.A.
-
- 『惡の華』
-
2013年4月からTOKYO MXほかで放送開始
原作:押見修造『惡の華』(講談社)
監督:長濱博史
オープニングテーマ:
“惡の華 -春日高男-”(歌:の子)
“惡の華 -仲村佐和-”(歌:後藤まりこ)
“惡の華 -佐伯奈々子-”(歌:南波志帆)
“惡の華 -群馬県桐生市-”(歌:しのさきあさこ)
エンディングテーマ:ASA-CHANG&巡礼“花 -a last flower-”
音楽:深澤秀行
アニメーション制作:ZEXCS
声の出演:
植田慎一郎
伊瀬茉莉也
日笠陽子
-
- 『惡の華 第一巻 BD』(Blu-lay+CD)
-
2013年7月24日発売
価格:6,300円(税込)
-
- 『惡の華 第一巻 DVD』(DVD)
-
2013年7月24日発売
価格:5,775円(税込)[特典1]
映像特典:アニメ「惡の華」ができるまでの工程を詳細に解説した、キャストとスタッフによるメイキング映像を収録。第1巻には原作、キャラクター、ロトスコープ、脚本についてのメイキングが収められる。
[特典2]
「惡の蕾」原稿漫画:ドラマCD「惡の蕾」の原稿となった、原作者押見修造描き下ろしの漫画をブックレット内に収録。
[特典3]
オーディオコメンタリー:スタッフ、キャスト、原作者によるオーディオコメンタリー。各回裏話から雑談まで様々なコメンタリーを展開。
[特典4]
特典CD:Blu-rayのみに付く特典CD。毎巻特典CDにウェブラジオ「クソムシラジオ」の未配信回を1回分収録。
- プロフィール
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- 長濱博史
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1990年マッドハウスに入社。『YAWARA!』などさまざまな作品に参加した後、フリーランスになる。1996年『少女革命ウテナ』のコンセプトデザインを担当し、以降はプリプロダクションとしての作品参加も増えていく。2005年『蟲師』にて初監督を務め、高い評価を獲得。東京国際アニメフェアでは、第5回東京アニメアワードのテレビ部門にて優秀作品賞を受賞した。このほか代表作は、『デトロイト・メタル・シティ』など。
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