石橋英子×前野健太 素晴らしいポップミュージックとはなにか?

2012年に発表した『Imitation of life』が昨年アメリカの名門インディーレーベルDRAG CITYからリリースされ、一方では、ジム・オルーク(名盤『Eureka』はDRAG CITYからのリリース)をはじめとした様々なアーティストとのコラボレーションも盛んに行うなど、極めて個性的な活動を続ける近年の石橋英子。今年の1月には、ジムと山本達久とのインプロビゼーションユニット「カフカ鼾」としてもアルバム『okite』を発表したばかりだが、間髪入れずに自身のソロ作『car and freezer』が完成した。『Imitation of life』同様、おなじみとなった凄腕バンド「もう死んだ人たち」のメンバーが全面的に参加した本作は、間違いなく2014年を代表するであろう、実に素晴らしいポップスの傑作である。

そして、そんな作品に大きな貢献を果たしたのが、前野健太だ。『car and freezer』は、同じ楽曲に全く異なる日本語詞と英語詞がついた2枚組となっていて、その日本語詞を担当したのが、前野なのである(英語詞は石橋が担当)。近年は前野の作品に石橋がプレイヤーとして参加するなど、共演の機会が増え、親交を深めていたこの二人。共にどこか映画的というか、ストーリー性を感じさせる歌詞を書くが、これまで常に自らが暮らす街について歌い、ドキュメンタリー的な色合いの強い前野の作風と、SFチックな石橋の作風では大きく異なる。もちろん、そのテイストの違いが作品に広がりを与えているわけだが、面白いのは二人が偶然にも同じ海の風景を歌詞の中に描いたということ。信頼を寄せ合う二人のコラボレーションだからこそ生まれた音楽の魔法を、ここに見たような気がする。

やっぱり曲に対する愛情がなければ、演奏はできないんです。いろんな楽器を弾いたり、いろんなアーティストと共演するから、器用に見えるかもしれないけど、ホントは不器用。(石橋)

―お二人が初めて作品で共演されたのは、前野さんの『トーキョドリフター』に収録されている“ファックミー”のデュエットですよね?

石橋:そうですね。その前にライブで一緒に歌わせていただいたことがあって、その流れで参加させてもらいました。セルジュ・ケンタブールとジェーン・イシバーキンのイメージで(笑)。

―そういうコンセプトだったんですか(笑)。それをきっかけに石橋さんが前野さんの作品にプレイヤーとして参加したり、今回は前野さんが石橋さんの作品に作詞家として参加するなど、ホントにいろいろな形で共演されていますよね。

前野:石橋さんのピアノは強いんです。例えば、僕の“オレらは肉の歩く朝”の冒頭のピアノを聴くと、そのときのレコーディング風景や、夏の景色がよみがえってくるんです。だからといって、「食うか食われるか」という感じにはならず、ただ記憶を呼び覚ましてくれる独特の力がある。ドラムを演奏してくれるときも、僕の欲しいところに全部入ってくるから、めちゃめちゃ気持ちよくて……なんでなんでもできちゃうんだろう?

手前:前野健太
手前:前野健太

石橋:愛ですよ、愛。

前野:愛、いただきました! 今日はもう終わってもいいですね(笑)。

石橋:(笑)。今ちょっと冗談っぽく言いましたけど、あんまり冗談でもなくて、やっぱり曲に対する愛情がなければ、演奏はできないんです。いろんな楽器を弾いたり、いろんなアーティストと共演するから、器用に見えるかもしれないけど、ホントは不器用ですよ。

前野:ライブ映像を見返すと、石橋さんの表情がすごくいいんですよ。なんかね……確かに、サラッとこなしてる感じじゃなくて、子どもが好奇心を持って、なにかに集中してるときの顔っていうかね。でもその一方で、すごく上品でもあるんですよ。


前野健太のライブに、石橋英子が「ソープランダーズ」のメンバーとして参加

石橋:そうかなあ?

前野:まあ下ネタはすごいですけど(笑)、上品ですよ。というか、気品高いですね。作品の話に入っちゃいますけど、例えば“私のリトルプリンセス”は、曲から気品を感じたので、歌詞では「プリンセス」というテーマに切り込んでみたくなったんです。石橋さんは、普通にしてると気品が出ちゃうから、下ネタでバランスを取ってるんでしょうね。

石橋:よく言っていただいて……。それ、今度から使います(笑)。

石橋英子
石橋英子

―(笑)。では、石橋さんから見た、前野さんの魅力は?

石橋:レコーディングをするときに、いつもデモと一緒に歌詞をいただくんですけど、必ず驚きがありますね。前野さんと歌詞と曲の関係性というのは、私には絶対に持つことのできない関係性なんですよ。言葉にするのは難しいけれど、強いて言うなら、日常に対する目線が決して高いところにあるわけじゃなく、低空飛行してるのに、ある時点で次元がグニャッと曲がって、別の空気が立ち上ってくるんです。それは前野さんじゃないと書けない歌詞だと思うし、そういう「歌の佇まい」には、一人のファンとして惹かれますね。

曲のキャラクターを演じる楽しさはありました。普通に歌ったら、全然生きてこないんですよ。言葉もメロディーも、両方死ぬんです。(石橋)

―今回のアルバムは、同じ楽曲に対して前野さんが日本語詞をつけたバージョンと、石橋さんが英語詞をつけたバージョンの2枚組になっているわけですが、そもそもなぜこういった形態になったのでしょうか?

石橋:『Imitation of life』の発表後ぐらいに、次の歌のアルバムはシンプルだけどゴージャスなものを作りたいと思ったんです。聴いたときに膨らむようなものというか、例えば、ビニールの風船を渡されて、膨らませてみたら形が変わっていく感じというか、そういう作品にしたいなって。いろんな聴き方ができるものを作ろうと思ったときに、「日本語と英語」というのが浮かびました。それに、前からなんとなく英語の歌詞を書きたいとは思っていたんです。でも、両方私が作っても面白くないから、日本語の歌詞をお願いするとしたら、前野さんしかいないなって。

―石橋さんはいつも「自分にシンガーとしての意識はない」ということをおっしゃっていますが、今回の歌は非常に表情豊かで、これまで以上に「歌のアルバム」という印象も受けました。実際、意識の変化はありましたか?

石橋:結果的に今回、歌はすごく意識しましたね。最初はいつも通り「歌かあ……」と思ってたんですけど(笑)、前野さんからいただいた歌詞はやっぱり大事に歌いたいと思ったから、すごく丁寧に作業しました。

前野:今回、石橋さんは僕が書いた歌詞の台詞や立ち振る舞いといった、かなり細かいニュアンスまで歌ってくれて、それにすごくびっくりしました。あんまり口にしたくない歌詞もあったと思うんですけど(笑)、思い切ってチャレンジしてくれたんじゃないかと。そもそも、前に石橋さんが舞台(『ファスビンダーの「ゴミ、都市そして死」』)で音楽をやられたときに少し歌っていて、その歌い方が僕は好きだったんですね。

石橋:あの曲は歌詞がファスビンダーが書いた詞で、主人公の歴史を歌う大事な歌でした。一人称は主人公だったのですが、私はもちろん主人公ではないので、ナレーション的な立場をとりつつ主人公の心を歌うといった、微妙なバランスが必要だったのです。

前野:すごく石橋さんに似合ってたから、飲んでるときに、「ああいう感じで歌ったらいいんじゃないですか?」ってちょこっと言ったんです。だから今回のアルバムは、演じ手としての石橋英子も楽しめる作品になっていると思うんですよね。

石橋:確かに、私でも前野さんでもなく、曲のキャラクターを演じる楽しさはありました。普通に歌ったら、全然生きてこないんですよ。言葉もメロディーも、両方死ぬんです。でも、そのキャラクターの中に入り込んで、言葉に押されるように演じていったら、メロディーも立ち上がってきた。それはホントに不思議で、貴重な経験でした。

左から:前野健太、石橋英子

喫茶店をいろいろ梯子して、「ここだったら(歌詞を)書ける」っていう場所を探して、1曲ずつ違うところで書きました。(前野)

―それぞれの歌詞に関して、世界観のすり合わせはあったんですか?

石橋:いや、同時進行だったので、前野さんは私の書いてる英語の歌詞はまったく知りませんでした。でも、不思議とリンクしてるところがあるんですよね。

―そうなんですよね。だから、まず英詞が先にあって、そのイメージをもとに前野さんなりに書いていったのかな? とも思って。

前野:そうではないですね。「ソング1」から「ソング8」っていうふうに、曲をもらっただけですから。ただ、曲によって作業の仕方を変えないとしっくりこなくて、ホントに時間がかかってしまったんですけど……。

石橋:どういう場所で書いたんでしたっけ? 1曲ずつ違うんですよね?

前野:例えば、普段だったらドトールとかに入って、曲を聴きながら書いていくんですけど、今回の場合は、石橋さんの音楽の強い世界観と、ドトールが全然合わなくて。それで喫茶店をいろいろ梯子して、「ここだったら書ける」っていう場所を探したんですね。結局一番しっくりきたのが、新宿にある小田急ホテルセンチュリーサザンタワーのラウンジ。コーヒー1杯で1000円近くするような格調高いところなんですけど、そこで書いたのが“塩を舐める”です。この曲はそこに行って聴くとホントにはまると思いますよ。

石橋:じゃあ、そこでライブもやろうかなあ(笑)。


かなり歌詞の世界に入り込んで、テンションを上げていかないと、歌詞に追いつけない感じがしたんです。(石橋)

―さっき前野さんが「チャレンジしてくれた部分もあると思う」とおっしゃってましたが、石橋さんにとってチャレンジだったのはどの曲ですか?

石橋:一番は“ゴリラの背”ですね。この歌はタイトルからして謎だったけど(笑)、「これどういう意味なの?」って聞いてもしょうがないと思ったんですよ。この歌詞を読んで私が感じたものや思い描く風景、この歌詞の世界の中でどうやって生きるか? どう自分のライフを投影するか? それがテーマでしたね。時間がかかった分、思い入れもあるし、一番演劇っぽくもあります。

―楽曲的にも一番プログレッシブで、場面転換も多いから、演じ甲斐がある曲だとも言えそうですよね。

石橋:まあでも、<チジョだから二センチ>とか、「どう歌えばいいの?」っていう。

前野:そうですよね(笑)。

石橋:考えれば考えるほどわからなくなっていって(笑)。

―(笑)。歌詞の説明をしてもらうのは無粋だと思いつつ、少し前野さんに解説してもらえればと思うのですが。

前野:ホントに一つひとつ書き方が違うのですが、“私のリトルプリンセス”はさっきも言ったように曲に呼ばれた歌詞で、最初は“プリンセスMの憂鬱”っていう小説っぽいタイトルでしたし、メッセージソングの意味が強いですね。“遠慮だね”は、石橋さんの仮歌を聴いたら<遠慮だね>って言ってるように聴こえて、「どういうことだろう?」と思って。

前野健太

石橋:こっちが聞きたいよ(笑)。

前野:でも、<遠慮だね>っていいフレーズだと思ったので、そこから膨らませて、<遠慮だね ライフ><面倒だね ライフ>って作っていって。

石橋:この歌詞、大好きです。

前野:ありがとうございます。この曲は、すごく音と言葉がはまったと思いますね。“ゴリラの背”に関しては、ホントに悩んでしまったので、とりあえず喫茶店に入って、外を見たら……これ、やっぱり言わない方がいいんじゃないかなあ?(笑)

石橋:いいよ、言って言って。

前野:新宿のサブウェイに入ったんですけど、窓越しに外を見てたら、ゴーゴーカレーがあって、「ゴリラか……」と思って。

―あー……(笑)。

前野:でも、音の響き的にしっくりきたから、とにかく「ゴリラ」から書き始めて、その隣に石材屋があったから、「石材か……」って思って、どんどん入れていったんです。とにかく言葉をくっつけていった先に浮かび上がってくるものを僕も見てみたいと思って。

石橋:私は、富山で出会ったおばちゃんのことかなって思ってました。

前野:ああ、富山で入った……いわゆる、ピンク店のおばちゃんのことですね。もしかしたら、そういう記憶も刷り込まれていたかもしれません。でもどちらにせよ、これは曲を聴きながら書いていたからこそできた歌詞で、石橋さんの音楽を体に入れたときに、僕が選んだものっていう作り方なんです。でも、僕もよくわからない気持ちで書いたのに、石橋さんが細かいニュアンスを出してくれたので、ホントにすごいなと。

石橋:“ゴリラの背”も“私のリトルプリンセス”も、かなり歌詞の世界に入り込んで、テンションを上げていかないと、歌詞に追いつけない感じがしたんです。だからこそ、歌にニュアンスが出たんじゃないかと思いますね。

今は進化することを試みるとポップミュージックじゃなくなるという、すごくアンビバレントな状況だなって。(石橋)

―先日、石橋さんが参加するカフカ鼾のインタビューをさせていただいたときに、「今は昔に比べていいポップスが少ないんじゃないか?」という話題が出ましたよね。今回の作品は非常に優れたポップスだと思うので、このテーマを改めてお二人におうかがいしたいのですが。

前野:歌詞の面で言うと、今はわかりやすい言葉を使った、平坦な歌が多いですよね。ホントに素晴らしいポップミュージックって、わかりやすい言葉を使って、ちゃんと深みがあるというか。例えば、大江千里さんがそうですけど、軽く歌っていそうで、すごく広がりが感じられたりする。僕もそういうものが作りたいですね。

石橋:それに、スペースがないですよね。音の組み立て方のような物理的なこともそうですし、歌い手と受け取る側の距離も近くて、「近すぎて見えない」みたいな。ポップミュージックって、常に進化していくものだと思うんですけど、今は進化することを試みるとポップミュージックじゃなくなるという、すごくアンビバレントな状況だなって。

―その意見は非常によくわかります。

石橋:「アバンギャルドとポップと、どういう割合で作ってるんですか?」と聞かれたり、「もっとアバンギャルドな人だと思っていました」とか「もっとポップな人だと思ってました」と言われることがあるんですけど、「アバンギャルド」や「ポップ」というのは、単に音楽を飾る調味料みたいなものではないんです。どちらの音楽もなにを描くかが大事だと思いますし、そういった意味で、私の中ではあまり区別がありません。今の時代のポップミュージックを考えたときに、歌を伝えるための方法論や歌の世界を構築していくためのやり方を模索するプロセス自体を大事にしている音楽がなくなってきてる気はします。あとは単純に、専門家がいなくなっているのもあるかもしれない。

―専門家というと?

石橋:昔は一人ひとり鍛錬してるものがあって、分担作業で音楽を作っていたと思うんですね。作曲家や作詞家、歌手、演奏者……。みんなプロフェッショナルで、その人たちがそれぞれ分野で力を発揮して、1つの作品をじっくり作っていった。今はそういうものがなくなってきていて、合理化されちゃってますよね。作り方も、人間も。

―そういう意味では、今回はある意味作詞のプロというか……。

前野:僕は作詞のプロではないですよ(笑)。

石橋:でも、私の中ではそういう感覚はありました。

―プロデューサーのジムさんにしても、「もう死んだ人たち」のメンバーにしても、今回の作品はまさに専門家が集った作品だとも言えますよね。

前野:まあ、僕は作詞のプロではないですけど、確かにそういう心構えで臨んだというか。いわゆる作詞家の人たちはどういうことを考えているんだろうと、阿木燿子さんの本を買ってヒントを探ったり救いを求めたり(笑)。阿木さんは電車のつり革広告を見ても、「あ、5文字だ」って思ってしまったり、「常に文字数を考えてしまうのは作詞家の職業病だ」ということを言ってて、「今の自分もそれだ!」と思って突き進みました。

―つまり、今回の作品に参加するにあたっては、ある種プロの作詞家としての意識もあったと。

前野:そうですね。自分の作品を作るときの熱量となんら変わらないというか、むしろ、慣れない作業なので、もっと力が入ったかもしれないです。

石橋:ありがとうございます。結構テイクも重ねたんですけど、毎回ちょっとニュアンスを変えて歌うだけで、世界の広がり方が変わるんですよ。いただいた歌詞から熱が伝わってきたから、いろいろ試してみたくなって、それは大変でもあったけど、すごく楽しかったですね。

石橋さんと僕って、人間はすごく違うんです。それなのに、音楽を作る、歌詞を書くっていうところで、同じように前を向いて走り出してる。「こんなことが起こるんだな」って思いましたね。(前野)

―「二人が別々に書いた歌詞が不思議とリンクしていた」という話がありましたが、そのキーワードになったのが「海」だと思うんですね。なぜ海のイメージが浮かんできたのか、それぞれ話していただけますか?

前野:今日、ここまで自転車に乗って来たんですけど、石橋さんの音楽を聴きながら走ってると、渋谷にいるのに、遠くに海があるということを、なんか認識するんですよ。それはすごく不思議な感覚で、渋谷にいても新宿にいても、海を感じるんです。理由はわからないけど、きっと石橋さんの音楽の中に、なにかそういうものがあるんだと思います。だから、どうしても海を使いたくなっちゃって、これでも減らしたぐらいなんですよ。なおかつ、石橋さんの英語の歌詞のほうも、1曲目と最後の曲がちょうど海にまつわる曲になっていて、僕はすごく嬉しかったです。「物語ができた」って思った。

石橋英子『car and freezer』ジャケット
石橋英子『car and freezer』ジャケット

―僕にはこのアルバム自体が1人の女性の一生のようにも受け取れたんですよね。それで最初と最後に海の曲があるから、流転するというか、最後まで来ると、また最初に戻っていくような感じもあったんです。

前野:石橋さんは、なんで「海」なんですか?

石橋:私の故郷の景色というか、家の周りに海があるわけではないんですけど、家の近くに自転車道路というのがあって、そこを川沿いにずーっと辿って行くと、海に出るんです。その道路を一人で走るのがすごく好きで、高校時代それしかやってなかったんじゃないかっていうぐらい(笑)。無気力な高校生で、自転車でただブラブラしていただけだから、特に海に希望を見出しているわけでもなんでもなかったんだけど、その自転車道路のレールに自分を乗せて、海に引っ張られているような感じが好きだったんです。それが曲の雰囲気にも反映されてるのかもしれないですね。

石橋英子

前野:最後の“幼い頃、遊んだ海は”という曲は、石橋さんの生まれ故郷の茂原市に一緒に行って、昔遊んでいたところとかを教えてもらって、作ったんです。というのは、石橋さんの歌心みたいなものを、僕なりに抽出したかったんですね。石橋さんは普段、自分語りみたいなことはしたがらないけど、この曲ではあえてそういうものをやってみようと。もちろん、これは僕が勝手に書いた「石橋英子物語」なんですけど、自分でもすごく気に入ってます。できあがったものを聴いて、すごく幸福感を味わえたんですよね。「一緒にできてよかったね」とか、そういうレベルじゃなく。

石橋:人に歌詞を書いたり、人のために演奏する作業も含めて、そもそも人間関係ってすっごい細い線でつながっていたりするものだと思うんです。前野さんがこの歌を書いてくださったときは、その糸がピンと、たるむことなく、ちゃんと張ってる感じがしたんですよね。

前野:石橋さんと僕って、人間はすごく違うんです。真逆って言っていいぐらい違って、一番盛り上がるのはやっぱり下ネタ(笑)。それ以外は、育ってきた環境も、聴いてきた音楽も全然違う。それなのに、音楽を作る、歌詞を書くというところで、同じように前を向いて走り出してるというか、「こんなことが起こるんだな」って思いましたね。

石橋:音楽だからこそ、あることなのかもしれませんね。

前野:一切の妥協なく歌詞を書いて、こんなに素晴らしい音楽ができて、ホントに幸福ですよ。これは僕はヒット祈願します、ホントに(手を叩いて、一礼)。今のポップミュージックの中で、グググッとものすごい力を発揮するんじゃないかと思いますね。

左から:前野健太、石橋英子

イベント情報
『car and freezer』発売記念ツアー

2014年5月9日(金) OPEN 19:00 / START 20:00
会場:三重県 四日市 radi cafe apartment
出演:石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央)
料金:前売2,800円 当日3,300円(共にドリンク別)

2014年5月10日(土) OPEN 17:00 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 得三
出演:石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央)
料金:前売2,800円 当日3,300円(共にドリンク別)

2014年5月11日(土)
会場:京都府 元・立誠小学校
出演:石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央)
前野健太とソープランダーズ(ジム・オルーク、石橋英子、須藤俊明、山本達久)
キツネの嫁入り
料金:3,000円

2014年5月16日(金) OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央、vj:rokapenis)
七尾旅人
料金:前売2,800円 当日3,300円(共にドリンク別)

リリース情報
石橋英子
『car and freezer』(2CD)

2014年3月12日(水)発売
価格:2,730円(税込)
felicity cap-194 / PECF-1090/1

[DISC1]
1. たいくつなものがたり
2. 塩を舐める
3. 私のリトルプリンセス
4. 時を告げて
5. 遠慮だね
6. ゴリラの背
7. ラップ/ トップ・ブルース
8. 幼い頃、遊んだ海は
[DISC2]
1. there's a river
2. car and freezer
3. memory and dust
4. mr.cloud
5. a part of your life
6. borderline in shadow
7. waiting sign
8. tonigh

前野健太
『ハッピーランチ』(CD)

2013年12月11日(水)発売
価格:2,625円(税込)
felicity cap-185 / PECF-1082

1. ねえ、タクシー
2. 花と遊ぶ
3. カフェ・オレ
4. 冬の海
5. 雨も一緒に
6. 悩み、不安、最高!!
7. こどもの日
8. ひとみとひとみ
9. 愛はボっき
10. ばかみたい
11. ジャングルのともだち
12. TOKYO STATION HOTEL

プロフィール
石橋英子(いしばし えいこ)

茂原市出身の音楽家。いくつかのバンドで活動後、映画音楽の制作をきっかけとして数年前よりソロとしての作品を作り始める。その後、4枚のソロアルバムをリリース。ピアノをメインとしながらドラム、フルート、ヴィブラフォン等も演奏するマルチ・プレイヤー。シンガー・ソングライターであり、セッション・プレイヤー、プロデューサーと、石橋英子の肩書きでジャンルやフィールドを越え、漂いながら活動中。最近では長谷川健一、前野健太、トンチ、オウガ・ユー・アスホールの作品に参加。またソロライブと共に、バンド「石橋英子withもう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子)」としても活発にライブを行う。今秋、キャリア初となるピアノソロアルバムをリリース予定。

前野健太(まえの けんた)

1979年埼玉県入間市出身。シンガーソングライター。2007年に自ら立ち上げたレーベル“romance records”より『ロマンスカー』をリリースし、デビュー。2009年にライブドキュメント映画『ライブテープ』、2011年に『トーキョードリフター』(松江哲明監督)に主演として出演。2011年末第14回みうらじゅん賞を受賞。2013年にはプロデューサーにジム・オルークを迎え二枚のフルアルバム『オレらは肉の歩く朝』『ハッピーランチ』を発表。



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