結成30周年を迎えてキャリアのピークを更新しているTHE COLLECTORS。バンドの人気が今になって高まっている理由は、どこにあるのか? 彼らをこよなく愛する銀杏BOYZ・峯田和伸とダイノジ・大谷ノブ彦の二人に、その秘密を聞いた。
UKのモッズカルチャーの影響を色濃く反映させた音楽性と、加藤ひさし(Vo)と古市コータロー(Gt)というフロントマン二人の存在感によって、長くファンに愛されてきた彼ら。今年4月に行われた日比谷野外音楽堂のワンマンライブはチケットが即日完売した。2017年3月1日には、バンド史上初の武道館単独公演が行われる。
THE COLLECTORSの唯一無二の魅力はなにか? 30年間続けてきたことの価値はどんなところにあるのか? キーワードは「憧れ」と「ロマン」。二人にたっぷり語り合ってもらった。
THE COLLECTORSの好きな部分は、ポップなところもあるけど、その後ろにすごく暗い少年が見えるところ。(峯田)
―お二人がTHE COLLECTORSを知ったのはいつ頃のことでした?
峯田:高校のときです。“世界を止めて”(1993年、3rdシングル)を聴いてから、どんどん好きになった。
大谷:俺も一緒です。大学生のときにテレビで“世界を止めて”のミュージックビデオを見て、めっちゃいい曲だと思って、CDを買いに行って。そこからさかのぼって初期の曲も聴くようになりました。
―“世界を止めて”を最初に聴いたときのインパクトってどんな感じだったんですか?
峯田:その頃から加藤さんはユニオンジャックのジャケットを着ていたし、コータローさんとか他のメンバーも花柄の服装で、最初は「なにこの変なバンド」って思ってたんです。それに、洋楽を好きな人たちがやってる感じがあって。
大谷:ハードルが高い、間口が狭い感じはしましたね。
峯田:そこがスピッツとか他のバンドとは違う印象でした。
大谷:THE COLLECTORSはモッズだから、浅はかな感じで好きになったら怒られるタイプのバンドなのかなって思ってたんですよ。「なんか怖いな」って。でも、“世界を止めて”は全然違った。「誰が聴いてもこれはいい曲って言うだろ!」という曲だった。
峯田:そう。モッズって、高校生の当時の自分からすると、怖そうな不良の人みたいな感じもあったんです。憧れはあるけど、友達の輪に入ろうとすると「勝手に入ってくるな」みたいな、ハードルの高いところもある。でも、THE COLLECTORSは優しいんですよね。「おいで、おいでよ」って言ってくれて、手触りがよくて、聴きやすくて、一発で覚えられるメロディーで。だから好きになったんです。
―峯田さんは、音楽的なところで、THE COLLECTORSに憧れたり、影響を受けたりしているところはありますか?
峯田:曲の主人公が憂鬱なところですね。THE COLLECTORSの好きな部分は、ポップなところもあるし、ハッピーな曲もあるけど、その後ろにすごく暗い少年が見えるところで。曲でいえば、“チョークでしるされた手紙”(1990年、4thアルバム『PICTURESQUE COLLECTORS' LAND ~幻想王国のコレクターズ~』収録)とかがそうなんです。
大谷:わかる。すごくわかる。
峯田:スタイリッシュの陰に憂鬱さみたいなものがある。だから、ただ様式美としてのロックじゃないんですよね。映画の『さらば青春の光』(1979年、THE WHOによる同タイトルのロックオペラを原作とした映画)は、主人公がだんだん病んでいって、好きな人にもフラれて、イギリスの曇り空の下で「俺、もうどうしたらいいかわかんねえ」って言って、最後は崖から飛び込んじゃうんですけど、それに通じる暗さがある。THE COLLECTORSもそういうところがあって、そこが好きなんですよね。
大谷:特に初期のTHE COLLECTORSには、狂気と人の美しさみたいなものが共存していて、僕もそこが好きですね。
―今お二人が言ったような感覚って、ある種の青春性と結び付けられる感覚だと思うんです。でも、THE COLLECTORSは今年30周年を迎えた。
大谷:すごいですよね!
―ただ30年続けるというだけでなく、そういうなんらかのロマンティシズムみたいなものを持ち続けるというのは、かなりすごいことじゃないかと思うんです。
大谷:やっぱり異なるタイプの二人がいるのは、デカいんじゃないですかね。
峯田:僕、今年の4月に初めてTHE COLLECTORSとツーマンでライブをやる機会があったんですけど、THE COLLECTORSのリハを見ていたら、二人が敬語でしゃべるんですよ。「ここ、もう少しこうした方がいいですかね?」とか、それがいちいちオシャレで。
大谷:いいね!
峯田:あの人たち、楽屋では絶対にしゃべらないんですよ。でも、そのステージ上でのやり取りが、すっごくかっこよかったんですよね。俺もバンドのメンバーとステージ上では敬語でしゃべろうかと思ったくらいです。
―THE COLLECTORSの30年にまでは至ってないですけれども、ダイノジも結成から22年になります。
大谷:やってますね。はい。
―峯田さんも、2013年に他のメンバーが全員脱退しても、銀杏BOYZを続けている。
峯田:そうですね。
(相方に)マジ説教されますから。今はもう、自分がクズだと気付いて、いい感じになったんですよね。(大谷)
―それぞれ、自分たちが続けてきたことの紆余曲折ってどういうものだと思いますか?
大谷:最近、水道橋博士にTwitterで叱られて炎上したことがあって。そのとき、大地(洋輔 / ダイノジの相方)に説教されたんですよ。「そういうときは手紙を書けばいいんだよ。今まで俺が相手を怒らせたときは、それをずっとやってきた」って。「飛行機に乗って、営業先からすぐ謝りに行ったこともあったよ」とか。それですぐ謝りに行ったんです。マキタ(スポーツ)くんがそれをセッティングしてくれたりして。
峯田:熱いですね。
大谷:だから、今は「すげえな大地」って思ってますね、本当に。俺、知らなかったんだな、大地がそういう修羅場を何回もくぐってきたって。
峯田:そうなんですよね。実はメンバーがそういうことをやってたりするんですよね。自分自身はあとから聞いたりするんですよ。
大谷:峯田さんもありました?
峯田:ありましたよ! しかもあとになって、他の現場でそれを知ったりするんです。「あのとき、実はチン(中村 / 銀杏BOYZの元メンバー)くんが謝りに来てくれたんだよ」みたいな。俺は全然知らないんです。スタッフの人も、周りの人も、「峯田には教えなくていいから」って言ってくれてたんだと思うんです。ストレスを与えなくていいからって。すごい気を遣われてたんだろうなと思って。
大谷:さっき加藤さんとコータローさんがステージの上では敬語で話すって言ってたじゃないですか。ダイノジも中学校の幼馴染なのに、お互い「大地さん」「大谷さん」なんです。
峯田:そうなんですか!
大谷:「さん」付けを続けてると、関係性がフラットになるんですよね。最初は主従関係みたいだったんですよ。お笑いをやりたい僕が大地にいろいろ教えて、大地はなんにも自己主張しなかった。でも今はマジ説教されますから(笑)。今はもう、自分がクズだと気付いて、いい感じになったんですよね。
本当に迷惑ばっかりかけてきただけですよ。自分だけがのうのうと生き長らえてきたような感じです。(峯田)
―峯田さんはどうですか?
峯田:僕はGOING STEADYから数えると、音楽をやるようになってちょうど20年なんですけど……本当に周りの人に迷惑をかけながら、なんとか生き長らえている感じですね。
―GOING STEADYも銀杏BOYZもたくさんの紆余曲折を乗り越えてきたと思うんですけれども。
峯田:自分は全然かっこよくもないし、本当に迷惑ばっかりかけてきただけですよ。自分だけがのうのうと生き長らえてきたような感じです。
大谷:バンドの人はそう言いますよね。フラワーカンパニーズ(以下、フラカン)のメンバーとかも、「どうやったらそんなに続くんですか?」みたいな話を聞くと、「他にやることがなかったから」って言うんですよ。「バンドしかないから」みたいな。
峯田:他にやることがなんにもないんですよ。探すのもめんどくさい。音楽が好きなのかどうかもわからないし、そんなに好きでもない気もする。でも、しょうがないからやってるみたいな感じなんですよね。まあ、音楽は好きですけど、どっちかといったら、俺、音楽よりお笑いの方が好きですからね。
大谷:俺もお笑いより音楽の方が好きだな(笑)。
峯田:僕は「自分には音楽しかない」とか言いたくないんですよ。かっこ悪くて。
―峯田さんは、THE COLLECTORSみたいにバンドを続けていくということのロマンティシズムに対して、どんな風に思っていますか?
峯田:僕以外のミュージシャンに対しては憧れしかないです。たとえば加藤さんとコータローさんの二人がいて、その関係性があればそれがTHE COLLECTORSになる。(甲本)ヒロトさんとマーシー(真島昌利)さんもそうですよね。THE BEATLESにはジョンとポールがいるし。それがすごくうらやましいんですよ。僕にはそういう人がいなかったので。メンバーは、友達だったんですけど、「こいつがいないと俺はダメなんだ」みたいな相棒はいなかった。
大谷:ああ、そうかあ。
峯田:全部を僕ひとりでやってたので。でも、きっと若い頃の自分の近くにそういう人がいたとしても、メンバーには選ばなかったと思います。
―それはなぜ?
峯田:たぶんそういう人とはぶつかり合っただろうから。もしかしたらお互いにないところを補い合ってやっていけた人がいたのかもしれないけれど、でも、それを選ばなかった。
大谷:今後もないですか?
峯田:ないと思います。この人と一緒にやりたいとか、そういうのはないです。
大谷:そっか……苦しいねえ。
峯田:どうなんですかね、苦しいんですかね? でも、もしかしたら自分は、ボブ・ディランとか、ニール・ヤングとか、そっちの方なのかなって思うようになりました。憧れるのは、「圧倒的な二人」がいるバンドなんですけどね。
憧れてるから、続けられると思うんですよ。(峯田)
大谷:そういえば、10年前くらいに、『ダイノジロックフェス』というオールナイトのイベントのトリに曽我部恵一BANDに出てもらったことがあって。ステージが終わって、大団円で、楽屋に挨拶しに行ったら、曽我部さんがいないんですよ。「あれっ?」って思ってたら、汗だくのまま物販のところでお客さんにサインしてグッズを売ってるんです。
フラワーカンパニーズも出てもらったんだけど、その横でグレートマエカワさんも同じことをやってて。「これから先の時代は絶対これが主流になる」と思って、「俺はそっち側に行ってもいいな」って思ったんです。でも、改めて思うんですけど、THE COLLECTORSは物販に立ってほしくないんですよね。
―それはなぜでしょう?
大谷:なんか違うんですよ。そこにいてもいい人、そこにいちゃいけない人っていうのがある気がして。俺の中では、加藤さんとコータローさんは汗だくのまま物販に立ってほしくない。
峯田:アメリカのロックをやってる人は物販にいてもいいですけど、イギリスのロックをやってる人はいてほしくないんですよね。
大谷:ああ、なるほどね! WEEZERのリヴァース・クオモは物販に立っていても違和感ないけど、OASISのリアム・ギャラガーにはいてほしくないもんね。
峯田:そう!(笑)
―なんでしょうね、この違い。
峯田:DIYで全部自分たちでやるっていうのは、たぶんアメリカの方から生まれたカルチャーで、やっぱり階級がはっきりしているイギリスとは違うんですよね。曽我部さんって、アメリカっぽいんですよ。大陸っぽいというか。でも、THE COLLECTORSはモッズだし、ヒロトさんもそう。ノーザンソウルな人は物販に立っていてほしくないんです。
大谷:なるほど、そういうことだ。僕も今わかりました(笑)。でも確かに、そういう意味でいうと、THE COLLECTORSって、フラカンとか怒髪天とかとちょっと違うんですよ。
―怒髪天もフラカンも、キャリアを経て武道館公演を実現したバンドということで、THE COLLECTORSと並べて語られることも多いと思いますけれども。
大谷:フラカンはメジャーを離れてインディーになったときに、メンバーで機材運んだり四人で運営したりしてたし、怒髪天も活動休止中に増子さんがいろんなバイトをやったり、そういう生き様が物語性になってきたんですよ。 だけど、THE COLLECTORSはそうじゃない。アンコールで感極まって泣くような感じがない。だからこそ、この世代の中でも特異なバンドだと思うんです。でも、そこがTHE COLLECTORSの面白さだし、いいなと思うところなんですよね。
峯田:でも、僕は最近の新曲を聴いてると、泣けるようにもなってきた気がしますよ。僕が求めてた加藤さんの内面とかを、強めに出してきてる気がする。特に“深海魚”(2015年、21thアルバム『言いたいこと 言えないこと 言いそびれたこと』収録)とか、本当に好きです。バンドが30周年を迎えるこんな時期に、こんな曲を作れるんだって、すごく嬉しかったですね。
大谷:同じアルバムに入ってる“Tシャツレボリューション”だって、今やライブで一番盛り上がる曲だしね。
―新曲がどんどんよくなっているから、キャリアもピークを更新している。
大谷:そうなんですよ。
峯田:きっと加藤さんって、ロック少年が夢見るイギリスへの憧れとかロマンみたいなものがすごく強くあった人だと思うんですよね。自分が日本人であることの劣等感とかコンプレックスもあっただろうし。でも、そのロマンを突き詰めすぎて、それを超えちゃった人だと思うんですよね。イギリスよりもイギリスっぽくなってるんですよ。
大谷:そうそう。記号化されたイギリスを身にまとってる(笑)。
峯田:だって、こんなイギリス人いないですもん。そういう人って、俺から見るとすごいなと思うんです。ちょっと浮世離れしてるというか。
―憧れ続ける、ロマンを持ち続けるというのは、すごいピュアネスがあってこそのものなんですね。
峯田:そうですね。憧れてるから、続けられると思うんですよ。
オチありきの話をする関西の芸人さんと違って、オチがなくても面白い話がずっと続くのが東京の芸人さんのしゃべりなんですよ。(大谷)
―そもそも、お二人がTHE COLLECTORSのメンバーと交流を持つようになったのはいつ頃からなんですか?
峯田:最近です。1年半くらい前に、友達を集めて忘年会みたいなことやったんですよ。GOING UNDER GROUNDの松本素生くんとか庄司(信也 / YOUTH RECORDS)らが、サプライズでコータローさんを呼んできてくれて。
大谷:へー! いいなあ!
峯田:そのときに初めてお会いして、めっちゃ盛り上がって、一緒にラーメンを食いに行ったりするようになったんです。この間も会ったばっかりですね。
大谷:僕は『ダイノジロックフェス』に出てもらったのがきっかけですね。そこから音楽番組の司会をやるようになって、加藤さんとお話しするようになって。
トリビュートアルバム(『NO COLLECTORS NO LIFE』、2007年)が出たときも、ちょうどエアギターで大地が世界一になった頃だったから、ジャケットの写真を大地さんがやらせてもらって。で、そのあとにTHE COLLECTORSのポッドキャスト『池袋交差点24時』のオープニングをやるようになって。そしたら、ポッドキャストの人気がどんどん出てきたんですよね。
峯田:あれのオープニング、ダイノジだったんですか!?
大谷:実は初期は僕らなんですよ。でも、人気が出てきたらスピッツになった(笑)。
―『池袋交差点24時』はiTunesの年間ベストポッドキャストに選出されたりと、かなりバンドの人気を広げましたよね。当初からそれは予想してました?
大谷:正直、全然思わなかったです。でも、やってみたらコータローさんがすごく面白くて。コータローさんって、ちっちゃいところにすごくこだわるんですよ。吉野家の牛丼の食べ方とか、そういう話が全部面白い。
峯田:あの人の変なこだわりって、本当に面白いですよね。
大谷:昔は吉野家って、牛丼を作るのが上手い人は帽子に3本線が入っていたんですって。それが本社から表彰された印らしくて。だから、コータローさんと加藤さんは、吉野家に入る前に店を覗いて、帽子に3本線のある人がいなかったら、次の店に行くって言っていて。
峯田:そこまで!?(笑)
大谷:「これやんないとダメだよ、大谷くん」って。「そこまでこだわってなきゃ吉野家に行っちゃいけないからね」って(笑)。ほんと、ポッドキャストは超絶面白いんですよ。東京の芸人さんのしゃべりなんですよね。
―東京の芸人みたいなしゃべり、というと?
大谷:オチありきの話をする関西の芸人さんと違って、オチがなくても面白い話がずっと続くのが東京の芸人さんのしゃべりなんです。加藤さんが「ウケ」なんですよね。「コータロー、あの話してよ」って言って、「へー、そうなの」とか「うわあ」とか言って、手を叩いて。加藤さんが高田文夫、コータローさんがビートたけしみたいな感じ。そういう二人の絶妙な関係性も含めて、深く知れば知るほど味わい深い。なんというか、俺が思う東京の人のかっこよさがあるんですよね。
峯田:確かに、二人は「東京」って感じはしますね。話しても池袋の下町の話ばっかりだし、連れて行ってくれるラーメン屋さんもいちいち渋いところばっかりだし。
言い方悪いですけど、童貞っぽい。(峯田)
―今回リリースされるTHE COLLECTORSのベスト盤『Request Hits』はファン投票で決めた選曲なんですが、お二人が投票するとしたら、どの曲ですか?
大谷:まず“世界を止めて”は入れますよ。
峯田:そうだなあ、今の気分だったら“TOO MUCH ROMANTIC!”(1987年、1stアルバム『僕はコレクター』収録曲)かな。あとはやっぱり“深海魚”。
大谷:でもねえ、僕は今回のベスト盤の選曲、ちょっと納得いかないんですよ(笑)。僕の好きな曲が入ってない!
峯田:俺も好きな曲が入ってない!(笑) “チョークでしるされた手紙”が入ってない。
大谷:“POWER OF LOVE”(2002年、13thアルバム『GLITTER TUNE』収録)も入ってないし、あと“カラス”(1996年、9thアルバム『MIGHTY BLOW』収録)もめちゃくちゃいい曲なのに入ってない!
峯田:“カラス”はいい曲ですよねえ。
大谷:“カラス”って、ラブソングなんですよ。夜中のバイトをしている人が、帰り道に早朝の渋谷を歩いていて、声を聞きたいから寝てるだろうけど電話をかけちゃう男の子の歌。で、歌詞には一行もカラスが出てこないんだけど、タイトルが「カラス」なんですよね。あとは“PUNK OF HEARTS”(2001年、17thシングル)も好きだなあ。シンプルな曲が好きなんです。
峯田:本当にいい曲ばっかりですよね。こうやって(リストを)見たら。
大谷:ねー! でもベストに入ってない、いい曲が多すぎる!(笑)
峯田:僕も2枚目(『虹色サーカス団』)がいちばん好きなんだけど、そこからほとんど入ってないや。
大谷:俺も2枚目がいちばん好き。何回も聴いた。聴きながらバイト先に行ってたのとか思い出すなあ。
峯田:俺もそうですよ。これ聴きながらパン屋で働いてました。
―2枚目を一番好きな理由というのは?
峯田:曲が好きっていうのもあるんですけど、すごく青臭いんですよ。今「当時の曲をやってください」とか言うと、たぶんメンバーは恥ずかしがると思うんですよね。そういうダサさもあったところが好きなんです。
大谷:そうそう。
峯田:THE COLLECTORSは完成されたかっこいいところがある一方で、ダサいところがあるのがいいんですよ。言い方悪いですけど、童貞っぽい。ファンタジーというか、妄想の歌ばっかりですからね。
僕は、今年THE COLLECTORSと一緒にステージに立って、はっきり思ったことがあって。(峯田)
―では最後に。30周年にして初の単独武道館公演を開催するTHE COLLECTORSに、お二人が期待することは?
大谷:やっぱりすごいのは、30年経った今になってピークを更新してるところなんですよね。
峯田:そうですよね。
大谷:音楽好きな人には、昔からTHE COLLECTORSの魅力は届いてると思うんです。スタイリッシュでかっこいいし、センスもいいし。でも、ちょっとずっこけるじゃないですか。
90年代は今よりもっと売れようとしていて、でも売れなくて、「なんでこんなに評価されないんだ」って思ってたんですよ。そういうバンドが、まさかポッドキャストをきっかけにブレイクするとは(笑)。しかも、怒髪天やフラカンや、キャリアのあるバンドが武道館に挑戦して成功して、「さあ、次はTHE COLLECTORSだ」っていうときに、なんで平日なんだっていう(笑)。
峯田:あはは(笑)。
大谷:なんかね、ちょっと詰めが甘いというか、なんかボタン掛け間違えるところがあるんですよ。でも、そこがまたいいんですよね。そういう東京の年上の兄貴、って感じです。
―峯田さんはどうですか?
峯田:やっぱり加藤さんの声って、本当にすごいんですよ。ロックバンドでこんな声出す人、いないと思います。
大谷:いい声だよね。
峯田:僕は、今年THE COLLECTORSと一緒にステージに立って、はっきり思ったことがあって。僕、2曲一緒にやったんですよ。最初にコータローさんのアコギと僕のボーカルだけで銀杏BOYZの“BABY BABY”をやったんです。あのときにはっきり思ったし、最後のアンコールでTHE COLLECTORSと一緒に演奏したときも思ったんですけど、コータローさんがあのギターを弾いて、その脇でボーカルがマイク持って歌うとしたら、ああいう声になるんです。
大谷:へー!
峯田:だから加藤さんの声はコータローさんのギターがあってこそだと思います。はっきりわかりました。あのギターが隣で鳴ってたら、ああならざるを得ない。歌ってみてわかったんです。あのときは銀杏の“BABY BABY”じゃなかった。
―やっぱり二人の間にある種のマジックがあるわけですね。
峯田:今までいろんな人と共演しましたけど、あんなギターの音が隣から聴こえたのは初めてで、自分でもびっくりしました。これを加藤さんは30年間聴きながら歌ってたんだと思うと、涙が出そうになりましたよ。
大谷:いい話だなあ。最後、峯田くんが言ったやつ、僕が言ったことにできないかなあ?
―できません!(笑)
峯田:あはは(笑)。
- リリース情報
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- THE COLLECTORS
『MUCH TOO ROMANTIC! ~The Collectors 30th Anniversary CD/DVD Collection』(23CD+1DVD) -
2016年9月7日(水)発売
価格:38,880円(税込)
COZP-1190~1213
- THE COLLECTORS
-
- THE COLLECTORS
『Request Hits』(2CD) -
2016年9月7日(水)発売
価格:3,333円(税込)
COCP-39625/6
- THE COLLECTORS
- イベント情報
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- 『THE COLLECTORS “MARCH OF THE MODS” 30th Anniversary』
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2017年3月1日(水)
会場:東京都 九段下 日本武道館
- プロフィール
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- 銀杏BOYZ (ぎんなんぼーいず)
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2003年1月、GOING STEADYを解散。その後ボーカルの峯田和伸が銀杏BOYZを結成。2003年5月から本格的に活動を開始。峯田はバンド活動の傍ら、映画『アイデン&ティティ』に映画初出演。2013年11月、安孫子真哉、チン中村がバンドを脱退。同年12月、村井守がバンド脱退を発表。2014年1月15日、9年ぶりとなるアルバム『光のなかに立っていてね』と、ライブリミックスアルバム『BEACH』を2枚同時に発売。2016年3月16日、銀杏BOYZ初の公式ライブ映像作品『愛地獄』を発売。
- 大谷ノブ彦 (おおたに のぶひこ)
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1972年生まれ、大分県出身。1994年に、お笑いコンビ「ダイノジ」結成。お笑いだけに活動のフィールドを限定せず、サブカルチャーにまつわる知識を武器に、縦横無尽にジャンルを横断する。洋邦問わず音楽や映画に対して造詣の深く、これまでに数々の音楽雑誌・映画雑誌にて連載を執筆。2005年にDJとしての活動を開始し、ダイノジ自身が企画制作を務めるDJイベント『ジャイアンナイト』を設立。以降、エンタメ要素をたっぷり詰め込んだダイノジ大谷のDJと、エアギター世界大会で連覇を成し遂げたダイノジ大地のパフォーマンスが徐々に評判を呼ぶようになる。
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