YOSHIROTTENがプロデュースを手掛けたショーウィンドウが街を彩ったルミネの春キャンペーン『FIND NEW FUTURE』。その一環として、ウィンドウの世界観を現実化したライブイベント『FIND NEW FUTURE NIGHT』が、4月5日、LUMINE 0を舞台に開催され、メインアクトのAwesome City Clubが新宿の街を大いに盛り上げた。
そんなライブを観ていたのが、雑誌『ViVi』などでお馴染みのモデルemma。親の影響でデヴィッド・ボウイやTHE ROLLING STONESを好み、昨年からはラジオ番組『SONAR MUSIC』でナビゲーターを務めるなど、音楽好きで知られるemmaは、この日のライブからなにを感じたのだろうか?
『FIND NEW FUTURE NIGHT』から数日後、Awesome City ClubからPORINを迎え、emmaと対談を実施。それぞれ「ライブに着ていきたいコーディネート」をテーマにした私服で取材現場に来てもらい、音楽、ファッション、そして二人の思う理想の女性像について、たっぷりと語り合ってもらった。なおApple Musicでは、二人が選ぶ「新生活に聴きたい10曲」のプレイリストを公開中。
最近は、いかにリラックスできるかを徹底してます。(PORIN)
―今日は「ライブへ遊びに行くときのファッション」をテーマに、それぞれ私服を選んできてもらいました。まずは、コーディネートのポイントを教えてください。
PORIN:私は、とにかく「今着たい服」というのと、あと楽チンなものをチョイスしました。着飾るのもいいけど、やっぱり楽が一番ですよね。
Tシャツは、前にAwesome City Club(以下、ACC)のアー写を撮ってくれたカメラマンの佐野方美さんが作ったもの。食パンに銃が刺さってるんですよ。このズボンは、まっつん(マツザカタクミ。Awesome City Clubのベース担当)のおさがりです(笑)。髪の毛、上着、adidasのSUPERSTAR、すべてピンクですね……最近ピンクに侵されてます(笑)。
emma:私もライブは動きやすい服がいいかなと思って、Tシャツ、ズボン、スニーカーっていう、楽チンな格好です。でも、そういうときこそ、きちんとメイクをしたりアクセをつけることが、カジュアルに見え過ぎないようにするためのポイント。
このTHE ROLLING STONES(以下、ストーンズ)のTシャツは叔母からもらったんですけど、叔母はストーンズの大ファンで、何年か前のジャパンツアーでプレミアムシートを取って、そのグッズとしてついてきたものみたいです。私もストーンズ好きなので、叔母から奪いました(笑)。オレンジのズボンは、日本ではまだあまり認知されてないんですけど、ALYXというニューヨークのブランドのものです。
―それぞれ、ライブはどうやって楽しむタイプですか?
emma:私は、後ろでジーッと観てます(笑)。初めてのライブが地元の北海道で観た木村カエラさんのライブだったんですけど、そのときはモッシュのこととか全然わからず前に行っちゃって、死にそうになりました(笑)。それからは大体後ろのほうで観ていますね。
PORIN:私も昔、銀杏BOYZのライブで死にそうになったことがあります(笑)。ホントに好きなアーティストは前のほうで観たいけど、私はお客さんの表情を見るのが好きなので、全体を見渡せるところで観るのが好きですね。
ACCのライブでいうと、疲れちゃった人は休めるように、逃げ場を必ず作るようにしているんです。あと、ちょっとした空間演出とか照明、BGMとかで、居心地のいい場所に変えたいって、いつも思ってますね。
―emmaさんは、先日LUMINE 0で行われた『FIND NEW FUTURE NIGHT』(ライブレポート:新カルチャー発信地・LUMINE 0の可能性。ACCら登場の夜を取材)のACCのライブを観て、どんな印象を持ちましたか?
emma:初めてACCのライブを観させていただいたんですけど、出てきた瞬間に会場の空気が変わったなって思いました。あと、atagiさんがフロアに降りて歌われてたり、MCもすごく面白くて。もちろん、演奏とか歌も素敵だったんですけど、お客さんを楽しませるパワーがすごいなと思いました。
『FIND NEW FUTURE NIGHT』の様子(撮影:Tetsuya Yamakawa)
―PORINさんのパフォーマンスについてはいかがですか?
emma:私はアーティストではないので、詳しいことはわからないんですけど、ただただ「かっけえ!」と思って観てました。バンドにはずっと憧れがあって、高校生のときは軽音部に入ろうか悩んだこともあったので、ステージに立ってる姿を観ると、「かっこいいなあ」って、ホントに思うんです。
PORIN:私がemmaさんのことを知ったのは、The fin.のミュージックビデオ(“Night Time”)だったんですよ。「めっちゃかわいいな、この人」って、思わずThe fin.のメンバーに「あの人誰?」って聞いたのが最初でした。
―emmaさんもモデルとしてファッションショーに出演される機会が多いと思いますし、「ステージに立つ」ということはお二人の共通点だと思うんですね。そのときの心構えとして、それぞれなにか意識していることはありますか?
PORIN:最近は、いかにリラックスできるかを徹底してます。バンドの雰囲気も、そんなにスイッチ入れ過ぎないで、かっこつけ過ぎず、普段通りの感じでやれたらいいなって。
「バンドセットよりアコースティックのほうがいいね」って言われることが多くて、それはなんでなんだろうと思ったときに、メンバーの雰囲気、温度感みたいな部分が、演奏、歌、パフォーマンスに直結してるんだろうなって思ったんです。
emma:私もリラックスすることはすごく大事だと思うし、あと普段の仕事でもそうですけど、どれだけ自分が楽しんでやれてるかだなって。イベント系のファッションショーって、何万人もの前を歩くから、最初はホントに緊張してたんです。でも、私はショーのお仕事が一番好きで、最近は楽しんでやれるようになりました。
ファッションショーって、「今誰の人気があるのか」とか、歓声の大きさでリアルにわかるんですよ。なので、怖い部分もありつつ、自分への歓声が大きくなったな、って感じたときはすごく嬉しいんです。
いい意味で媚びてない、自分が好きなように、自分のスタイルでやってる人が憧れられるのかな。(emma)
―モデルという職業は、周りから求められる部分と、自分が表現したい部分と、そのバランスのとり方が難しい仕事ではないかと思うのですが、いかがですか?
emma:私は、もともとファッションの学校に行ってたから、自分でスタイリングもできるし、個性が強いタイプのモデルだと自分でも思うんです。なので、求められるものと自分の違いというのは、すごく難しいなって感じます。
今『ViVi』の専属モデルをやらせていただいていて、いろんなジャンルの服を着るので、たとえば、普段はワンピースって着ないんですけど、撮影だとそれを着こなして、そのキャラにならないといけない。あんまり自我を出し過ぎるのはモデルとしてダメだし、でも出さな過ぎてもただのマネキンになっちゃうし。そこは今でも模索中なんですけど、そういう想いも今度出す本にぶつけたっていう感じですね。
―5月に発売される、ビジュアルスタイルブック『emma』ですね。
emma:そうです。私はもともともの作りが好きなので、本を作りたいってずっと思ってたんです。でも最初に、「全部自分でやらせてくれないんだったら、やりたくないです」って言いました。リアルな話をすると、モデル本とかっていっぱい出てますけど、いろんな意見が入ってできあがっているものも多くて。でも私はそれだったらやる意味がないと思ったから、「やりたいようにやらせてください」って初めから言っておいたんです。
これまでいろんな撮影をしてきたなかで、「ここがこうだったらもっとかわいくなるのにな」って思うことも多くて、そういう自分のなかの葛藤も全部ぶつけた一冊になってますね。周りのスタッフさんから「ここまでやるモデルいないよ」って言われるぐらい、全面的に携わらせてもらって、満足してます。
―アーティストとモデルだと違う部分もあると思いますが、PORINさんは求められる部分と自分の表現とのバランスについてはどうお考えですか?
PORIN:アーティストはわりと自我が出せる立場だと思うので、最近は周りの意見をあんまり聞かないようにしようと思っていて(笑)。バンドを始めた当初は、自我がなくて、リーダー(マツザカタクミ)の作ったPORIN像に合わせてカメレオンみたいにやってたんです。でも、それだとつまらなくなってきて、今はもっとわがままになってる気がします。人の意見よりも、自分の感性とか直感を信じたいなって時期ですね。
―お二人とも「女性から憧れられる立場」というのも共通点かと思うのですが、「女性が憧れる女性」って、どういう人だと思いますか?
emma:今はちょっと個性的な子が女性から受けてるような気がします。その人自身のスタイルがある子とか、自己プロデュースができる人。そういう人は女性ファンが多い気がしますね。
―『emma』も自己プロデュースのひとつの表れですよね。
emma:私、今回の本を作るにあたって、本屋にあるモデルブックを買い占めたんですよ。ほとんど全員分見たんじゃないかってくらい見ました(笑)。そうすると、やっぱり本人がファッション好きだったり、個性がある人の本が面白くて、憧れられる理由がわかったというか。いい意味で媚びてない、自分が好きなように、自分のスタイルでやってる人が憧れられるのかなって思いました。
PORIN:男女問わず言えることかもしれないですけど、自分に似合うものとか言動とかをわかってる人が強いなって思いますね。でも、それを見つけるのってすごく難しくて、だから一握りの人間だけがみんなから憧れられる位置にいけてるんだと思うんです。そのためには、信頼できる人が言ってくれる一言とかが、すごくヒントになるのかなって思いますね。
―emmaさんはスタイルブックのなかで、憧れの女性としてオードリー・ヘップバーンを挙げていますね。
emma:やっぱり、唯一無二じゃないですか? オードリー・ヘップバーンを真似できる人ってなかなかいないし、今後も出ないんじゃないかな。彼女は言動とか生き方もすごく素敵で、一人の女性としても憧れるし、人に見られる仕事をしている人としても憧れます。私もああいう女性になりたいなって。
―emmaさんのなかで、「私はここに関しては唯一無二」と思える部分はありますか?
emma:まだまだ探し中ではあるんですけど……『ViVi』の専属モデルをやらせていただいていると、周りの子はみんな細くてかわいいし、私の武器はなんだろうってすごく考えるんです。そうすると、やっぱり私は昔からずっとファッションが好きだったから、他のモデルが知らない知識も持っているので、とにかく「ファッションが好きだ」っていう、そこは大事にしていきたいなと思ってます。
―PORINさんは、憧れの女性っていますか?
PORIN:誰か挙げるとしたら、母親かな。ミュージシャンって、みんなルーツとか憧れがあって、「こうなりたい」って思って音楽を始める人が多いけど、私はそれがないんです。でも人として憧れるのは、母親なのかなって。
―『FIND NEW FUTURE NIGHT』にもいらしてたんですよね。
PORIN:ライブにしょっちゅう来るんですよ。お父さんとペアルックで、デートで来たり(笑)。
emma:素敵! すっごい親孝行ですね!
PORIN:それくらいの親孝行しかできてないので(笑)。
―では、PORINさんにとっての「唯一無二」と思える部分は?
PORIN:声じゃないかなと思います。自分の個性が一番出せるのは、やっぱり声。技術を上げるのか、表現方法を磨くのか、どういう方法が一番いいのかはまだ模索中ですけど、そこを突き詰めていくだけかなって思っています。
新生活って緊張することも多いと思うんですけど、そういうときに気分が上がる曲を聴いて、頑張ろうって思ってもらえたらいいですね。(emma)
―今日は、「新生活に聴きたいプレイリスト」ということで、お二人に5曲ずつを選んでいただきました。それぞれの個性がばっちり反映された選曲になっていますね。
―まずemmaさんに関しては、Tシャツもストーンズなように、昔の曲が多くて、これはイギリス人のお父さんの影響が大きいそうですね。
emma:父がすごい音楽好きで、ミック・ジャガー(THE ROLLING STONESのボーカリスト)と同い歳なんですけど、若いときに実際ストーンズとかデヴィッド・ボウイとかTHE BEATLESを生で観てる人なんです。その頃の話を聞いたり、昔から車のなかで曲が流れていたりして、私の音楽の原点というか、好きだし、自分にとって落ち着く音楽なんですよね。
―なかでも一番オススメな曲を選ぶとすると?
emma:デヴィッド・ボウイとミック・ジャガーの“Dancing In The Street”ですかね。私にとって最強の二人がタッグを組んだ曲だし、すごくノリがよくて、踊りたくなる曲。ミュージックビデオもすごくかわいいんです。新生活って緊張することも多いと思うんですけど、そういうときに気分が上がる曲を聴いて、頑張ろうって思ってもらえたらいいですね。
―一方、PORINさんの選曲は「今」を感じさせるものですね。
PORIN:流行りものが好きってわけではないんですけど、やっぱり私はいつの時代も最新の音楽が好きで、最新の洋楽が響くんですよね。新生活は疲れると思うので、リラックスするために、わりとBPMゆったりの、ミニマムな音楽を集めました。
―なかでも1曲オススメを挙げるとすると、どれを選びますか?
PORIN:Thundercatかな。今年出たアルバム(『Drunk』)が好き過ぎて、毎日聴いてて、今のところ今年一番です。古臭いR&Bは苦手なんですけど、この人のはファンタジー要素もちゃんとあって、ポップに昇華されていて好きですね。
Awesome City Clubは、2020年に、音楽だけじゃない、カルチャーフェスをやりたいと思ってます。(PORIN)
―では最後に、今回の『FIND NEW FUTURE』というキャンペーンテーマに合わせて、それぞれの未来への展望について話していただけますか?
emma:今は結構目の前のことで精一杯なんですけど、一つひとつ丁寧に頑張ってるつもりなので、それが未来につながっていけばいいなって思います。もちろんファッションに携わることは続けていきたくて、いずれは自分が服を作る側にもなりたいですし、ずっとファッションを発信し続ける存在でありたい。あとは、また本も出したいですね。今回初めてだったので、勉強になった部分もたくさんあって、またさらにアップグレードさせて作れればなって。
PORIN:ACCは、2020年にでっかいフェスをやりたいと思ってます。なので、そこに向けて、地道に頑張っていきたいです。音楽だけじゃない、カルチャーフェスにしたいと思ってるので、今回ルミネさんとご一緒できたのもいい機会だったし、ここからなにかつなげていけたらいいなって思いますね。
―PORINさん個人の展望はいかがですか?
PORIN:周りの人を幸せにする。今年はそういう年にしたいです。去年まで、いろんな人と出会わせてもらって、いろいろ経験できたので、ここからは恩返しできたらいいなと思っています。
- リリース情報
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- Awesome City Club
『Awesome City Tracks 4』(CD) -
2017年1月25日(水)発売
価格:2,160円(税込)
VICL-647071. 今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる
2. Girls Don't Cry
3. Sunriseまで
4. Cold & Dry
5. Movin'on
6. 青春の胸騒ぎ
7. Action!
- Awesome City Club
- 書籍情報
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- 『ビジュアルスタイルブック「emma」』
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2017年5月21日(日)発売
著者:emma
価格:2,000円(税込)
発行:SDP
- プロフィール
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- Awesome City Club (おーさむ してぃー くらぶ)
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2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi(Vo,Gt)、モリシー(Gt,Synth)、マツザカタクミ(Ba,Synth,Rap)、ユキエ(Dr)により結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORIN(Vo,Syn)が正式加入して現在のメンバーとなる。「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」をテーマに、テン年代のシティポップをRISOKYOからTOKYOに向けて発信する男女混成5人組。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル「CONNECTONE(コネクトーン)」の第一弾新人としてデビュー。2017年1月25日に、4thアルバム『Awesome City Tracks 4』をリリースし、4月より全国ワンマンツアーを開催。
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