04 Limited Sazabysが毎年4月に開催してきた『YON FES』。今年で4度目の開催となった本フェスを見て改めて感じたのは、街という遊び場で育まれてきたカルチャーやアートと音楽がどう紐づいて転がってきたのかを提示する姿勢だった。
04 Limited Sazabysの音楽は、メロディックパンクを背骨にしながらも、ラップミュージックやギターロック、モータウンポップスまでを飲み込んだミクスチャーなものだ。ソリッドで直情的なスタイルで走ってきたメロディックパンクに、言葉そのものをリズムとして機能させる歌を持ち込んだ感性。ジャンルを越境するというよりも、そもそもフラットに音楽全体を同じテーブルに乗せられる雑食性。そして、ポップネスと鋭い攻撃性が共存するバンドのキャラクター。そのバンドスタイルを育んだカルチャー、背景はどんなものなのか。その答えを知るためのヒントに満ちていた『YON FES』を総括しながら、改めて04 Limited Sazabysの根幹を探る。
『YON FES』は可愛らしい場所。だけど根っこの部分には、好きで憧れてきたカルチャーが一本通ってるんだと感じてほしいんです。
—『YON FES』、今年も楽しませていただきました。4年目を終えてみて、どんな実感がありますか。
GEN:楽しかったですねえ。これはバンドマンというより主催者としての話ですけど……たとえばクロークの袋を企業さんに作っていただいて持ち帰れるお土産にしたり、僕が仲よくさせてもらってる「A BATHING APE」にスタッフTシャツを作ってもらったり、YON FESオリジナルパッケージの水も作れたり。やってみたいと思ってたことがたくさん実現しましたね。
特によかったのは……毎年、ゲートの近くでグラフィックアーティストにライブペイントをやってもらってるんですけど、「どんなサイズが描きやすいか」「どんなサイズで見せたいか」って聞いた上でトラスロッドを組んだんです。そしたら装飾としても、フェスとして見せたいものとしても、インパクトのあるものになって。今年はESPY(エスパイ)さんっていう、名古屋のレジェンド的なグラフィックアーティストに描いてもらえて。
—名古屋で20年以上やられている方ですよね。ポップで可愛らしい装飾に彩られた『YON FES』の中で、ブルータルなパワーを放つあの空間の異物感とインパクトはすごかったです。
GEN:そうですねえ(笑)。元々、ESPYさんの絵を僕が知ってて、ファンだったんですよ。『YON FES』で名古屋のストリートカルチャーを伝えていくならESPYさんに描いてもらうのがいいなってずっとイメージしてたんです。だから、念願叶ったという感じですね。
—あのライブペイントと『YON FES』全体を見ていて、オーバーグラウンドとアンダーグラウンド、ポップネスと鋭さ、音楽とストリートっていうものを丸ごと飲み込んでいる04 Limited Sazabys(以下、フォーリミ)そのものだなと思って。ESPYさんのようにアンダーグラウンドのカルチャーを守り続けてきた方が作品性をそのままぶつける場所を作れていること自体が、フォーリミの面白い立ち位置を表している気がしたんです。
GEN:言われた通り、『YON FES』は過ごしやすくて可愛らしい場所だし、フォーリミのキャラクターもそういう見え方だと思うんです。だけど根っこの部分には、好きで憧れてきたカルチャーが一本通ってるんだなって感じてもらいたいんです。
昔、僕らがパンクバンドに憧れた頃のシーンには、いわゆる「悪くて怖い人」が多かったんですよ。尖ればいいってわけじゃないけど、怖さも僕にとっては憧れと魅力だった。でも今は不良から成り上がる人もいないですし、喧嘩が強くて伝説のバンド的な人もそんなにいない(笑)。だからこそ、エッセンスとして毒っぽい部分や、それこそアンダーグラウンド――普段の生活では触れることのない異物を混ぜたくて。
たとえばアンダーグラウンドのシーンの人ほど怖いイメージがありますけど、それは簡単に心を開かないから怖く見えるわけですよね。でも逆に言えば、ちゃんと自分の生き方に筋が通っているから簡単に心を開かないわけで。だったら、自分から心をこじ開けるように頑張るしかないし、自分も筋の通った人間でいなくちゃいけない。僕は、そういう心の開き合いで人と仲よくなってきたし、そうして関係を作りながら吸収してきた音楽やカルチャーだから、自分の中では全部に筋が通ってると思うんです。
—フォーリミのキャラクターという話もあったけど、ポップなものと尖ったものを混ぜたいのは、ご自身ではフォーリミをどう位置付けているからなんですか。
GEN:僕らはパンクのシーンから出てきながら、アートの分野とか、音楽に限らないサブカルチャーを飲み込むことで活動範囲を広げてきたバンドだと思うんです。たとえば……ヤンキーと遊ぶほうが楽しいけど、カルチャーに対する審美眼はオタクのほうがセンスよかったりするじゃないですか。で、僕はその両方と関わるのが好きだったんですよ。
小さい頃から好奇心旺盛だったし、逆に言うと、自分から知らない世界に飛び込まないと何も面白いことは見つからないって思ってきて。そうやっていろんなカルチャーや知識を手に入れてきた自分からすると、「センスのあるヤンキー」がちょうどいいっていう感覚があるんです。芸術的なものや文学的なものも、アンダーグラウンドなものも、それぞれ真逆のタイプの人達にこそ面白がってほしい。それが絶妙に自分達の音楽にも反映されているし、自分が通ってきたストリートやアンダーグラウンドの文化もそのまま『YON FES』に落とし込んでいて。
—ただ、ストリートから生まれてきたカルチャーとひと言で言っても、世代や時代で意味もリアリティも変わってくる。そういう意味で言うと、GENくんがそういうカルチャーに触れたり、元々ストリートから生まれてきたアートが好きだったりするのは、ご自身のどういう部分が共鳴したからなんだと思いますか。
GEN:ああー……ひとつ、名古屋のシーンに育まれたものは間違いなくありますね。名古屋は大阪ほど東京にへり下ってはいないけど、「東京と大阪の中間にある」っていう独特の劣等感と負けん気が爆発してて、「自分達でなんとかしなくちゃいけない」「自分達で楽しいことを作りたい」っていう意識が強烈にある場所だと思うんですよ。
「自分がやりたいから」「楽しいから」っていうのが人生と生活になっていく。それが自分の思う「ストリートカルチャー」なんです。
—精神性としても音楽の在り方としても、名古屋でパンクやヒップホップのシーンがまったく途切れない背景がよくわかる話ですね。
GEN:そうですよね。だから、僕にとっての「ストリートカルチャー」は、誰にやらされることなく、「自分でやり続けるからこそずっと現役」っていう部分がリアルなんです。たとえばESPYさんは、名古屋のレジェンドなわけですよ。だけどレジェンドで終わらず、誰にもやらされず、自分がやりたいからやり続けて、作品を生み続けていく。そのバリューで企業の案件をポコポコやることもなく、自分達の意志で自発的にやり続けるところが、生きていく上で一番リアルだなあと感じて。
誰かと何かをしたいがために自分を大きく見せて何かに辿り着くっていう形じゃなくて、自分の生活の中に自然とアートや仲間があって、「自分がやりたいから」「楽しいから」っていうのが人生と生活になっていく。それが自分の思う「ストリートカルチャー」だし、そこがカッコいいんですよね。
—それは、ありのままの自分で生きていくこと、とも言い換えられますか。
GEN:そうですね。好きなことをして、それが友達を喜ばせたり楽しくさせたりできるのが、一番いいなって。
—それはそのまま、ご自身の音楽の指針としても大事な感覚ですか。たとえばフォーリミが消化してきたパンクだったり、ラップミュージックだったり、バンドが持つ遊び場感はまさに今おっしゃったような環境と精神性と繋がるなあと思ったんですけど。
GEN:確かにそうかもしれない。もちろん前衛的なものやオーケストラ音楽も好きですけど、自分が身につけるものとしては合わない。自分達がやりたいからやっている、自分達が好きだからやっている――それって、ありのままの自分でいるっていうことだと思うんですよ。自分はそういうものが好きなんでしょうね。
—だからこそ、自分が好きだと思えるものや自分が楽しいと思えるものを探しに、いろんなところに飛び込んでいくっていうことが大事になってくるわけですよね。『YON FES』を見ていても、フォーリミのフェスだから楽しいっていう以上に、来る人それぞれが自分の好きなように遊べる場所に育っている感じがしたんですよ。
GEN:そうなっていると本当に嬉しいですね。『YON FES』が、僕らだけがメッセージを発信する場所じゃなくて、出てくれる仲間にとっても自分達らしいメッセージを発信できる場所になってきた気がするんです。
もちろん『YON FES』を作った時は、僕ら世代がシーンを作るとか、名古屋のバンドをフックアップするとか、そういう大義名分と旗を掲げてた。でも、さっきのESPYさんの話はまさにそうですけど、それぞれが自分の好きなことを発信する場所を作れたんだなって。いわゆるフェスのライブとは全然違うというか、個々が、自分達の思う100点のライブや伝えたいことを追求した上で勝負にきてくれてるっていうのが、嬉しくて。
—そうなってきたのは何が要因だと分析します?
GEN:『YON FES』を始めてからの4年で、同世代のバンド達がアリーナやホールでできるところまで成長して。そうなると「フェスで勝つためのライブ」をする必要もなくなるし、自分達に向き合って、自分達だけの武器を追求するタームに入ったのが大きいと思うんですよ。
僕らは幸せになりすぎたのかなって思うことがある。だけど『YON FES』をやるたびに「こんなもんじゃない」って思うのは変わらないんです。
—フォーリミの世代には、フェスが台頭してからのシーンで勝ち上がってきたバンドが多いですけど、どのバンドも、その括りから自分達を解き放っていってる。それは『YON FES』でしか見られないライブがあるという意味での信頼感に直結していきますよね。
GEN:これは僕らのライブのMCでも言ったけど、やっぱり僕らは幸せになりすぎたのかなって思うことがあるんですよ。音楽でメシが食えるのも当たり前になってきて、フェスに出られることも当たり前になって。それでも、あんなにヒリヒリしたライブでぶつかり合えるんだなって。自分達を確立した上でも、昔のメンタリティでライブができるんだって再確認させてもらえる場所なんです。
—このフェスを始めた頃は、名古屋っていう自分の原点を確認する場所でもあったと思うし、そもそもGENくん自身が、まだまだ幸せになっている場合じゃないし未だに渇いてるし悔しいんだっていうエネルギーを歌にすることが多かった人ですよね。
GEN:うんうん、そうですね。
—だけど、この4年間で意志やカルチャーの発信の場所としても『YON FES』は幸福な成長をしてきて。『SOIL』でも、「あの頃思い描いたヒーローになれた」と真っ向から歌えた。そうなった時に、今の自分の衝動の源はどういうものなんですか。
GEN:ああ……きっと今も、『YON FES』をやるたびに「まだまだこんなもんじゃない」って思うのは変わらないですね。満たされつつある自分がまだまだ進むための場所というか……正直に言うと、出てくれる同世代のバンドも自分達も「フェスの熟練者」になってきたことで、「自分達の思ういいライブ」と、「お客さんが満足するライブ」が乖離していって、どこに核心があるのかわからなくなった時期もあったんですね。
でもそんな時に『YON FES』をやってきてよかったと思えたのは――自分達の思う100点のライブをしてくれるバンド達に勝つためには、ゴチャゴチャ考え込んだライブをしたってしょうがなかったんです。カッコいいロックバンドのカッコいいライブをやりたいんだって再確認させてもらえたし、裸になって思い切りやれば、ちゃんとお客さんにも伝わるって思えたんです。
Spotifyで04 Limited Sazabys『SOIL』を聴く(Apple Musicはこちら)
今ロックが好きだと言う人達は同調意識が強いじゃないですか。だけど僕は、ロックをもっと自由にしたいんです。
—ロックバンドのカッコよさ、ご自身の背景にあるカルチャーと仲間。それを伝えたいのは、何を変えたいからだと思います?
GEN:「ダサい」と思われるイメージの部分を自分達の力で変えていけたらいいなと思ってますね。僕は、ハードコアの人も、テクノの人も、ヒップホップの人も知り合いで。そのシーンの人達に「日本のロックはダサい」と思われるのが悔しいんです。
—ロックがダサいと見る向きの根源には何があるんだと思います?
GEN:どうも、今ロックが好きだと言う人達は同調意識が強いじゃないですか。みんなディッキーズで一体感を出して、表層的な仲間意識だけを高める。でも、それぞれがそれぞれの感じ方でやればいいじゃないですか。だから思うのは、今日話したストリートカルチャーだったり、僕が好きになったロックとは真逆の状況なんですよ。もっとロックを自由にしたいなって思いますね。
—というか本来、ロックが一番、「人がバラバラであること」に寛容な音楽のはずですからね。
GEN:そうそう。僕らの前の世代くらいから「フェスシーン」って呼ばれるものが生まれて、お客さんをどれだけ気持ちよくさせたかの勝負になっていっちゃって。そうなると、自分達がやりたくてやっていたはずのものが一転、サービス業になる。
それはそれで優しさがあるのかもしれないですけど、でもそれはアーティスト目線じゃない。自分達がいいと思うものをぶつけるだけでいいのに、迎合するのが当たり前になってしまったなって。それが、結果的にロックシーン全体の同調意識に繋がっていったんだろうなって。
自分と向き合って、どこまでありのままでいられるか、どこまで剥き出しでいられるか。それがテーマになってきてる。
—フォーリミ自身も、その舞台に飛び込んで勝負してきたバンドだと自覚されてるとは思うんですけど。今おっしゃったことはどこかでハッと気づいたことなのか、最初からわかりきっていたことなのか、どうだったんですか。
GEN:途中で気づいた感じでしたね。僕らは自分達をどう転がすかで精一杯だったので、サービス精神をどこまで持つのかっていう時期もありましたし、気づいたら「どうすべきか」ばかりになっていたんですよ。でも、それは自分達に余裕がなかったからなんですよね。なんなら今やっと、「自分はどうしたいか」を最重要視できるようになってきて。
—それは、要素を増やしつつも正面突破のパンクアルバムになった『SOIL』にちゃんと表れていたと思います。
GEN:そうですね。で、それはやっぱり「フォーリミを10年やった」っていうのが一番大きいと思うんですよ。ずっと走り続けてきた自分達だけど、10年っていうタイミングでジョギングくらいにペースを落として、後ろを振り返ったりこれからを考えたりしながら、「自分達がどこから来たのか」っていうことを潔く出せたのが『SOIL』だったんです。
それを出せた瞬間に、いよいよ背伸びする必要がなくなって。だから、今はもっと自分に向き合えると思う。どこまでありのままでいられるか、どこまで剥き出しでいられるかっていうのが普段の生活からテーマになってきてると思います。もう……パンツを穿かないで最初から出してようかなってくらい。
—それはやめてください。初めてインタビューした時から、子供みたいに裸で無邪気でいたいから嘘をつきたくないし、嘘をつく必要がないからロックバンドをやっているんだと話してくれてますよね。そういう意味でいうと、自分が理想としていた姿にちゃんと近づけているってことですよね。
GEN:ああ、そういうことなのかもしれない。……だからこそ今は、人にも「俺に対してはパンツを穿かなくていいんだよ」って伝えたいんでしょうね。たとえば相手が後輩だったら、俺に対して後輩風を吹かせすぎて、キャラが見えてこない時がある。でも僕からしたら、敬語云々よりも、何が好きかとか、何を考えているのかとかを同じ目線で聞きたい。同調意識なんてどうでもいいから、その人とありのままで話したいんです。
そのためには、こっちもいきなり全裸でいく覚悟が必要なんですよ。「なんでズボンなんか穿いてんの?」って。僕自身が、音楽やいろんなカルチャーによって、ありのままの自分でいることを教えてもらってきたので。だから、僕らの音楽が人にとっても「ありのままでいられる場所」だったらいいなって思うんです。
いろんな人が、知覚を奪われてる。でも、すべては自分の好き嫌いだけでいいし、そこから面白いものがたくさん生まれてくる。
—そこを打破するために、どうしていこうと思ってます?
GEN:たとえば、僕が憧れていたロックシーンって、ひとつのバンドを好きになった瞬間に、CDのSpecial Thanksからバンドの繋がりを掘っていったり、好きなバンドの人が着ている服のブランドを知るのが楽しかったり、そのブランドの背景を知っていったり――そうやっていろんな分野が繋がっていくのが当たり前だったんですよ。
音楽が好きだからこそ、そこに紐づくものがたくさんあるほど音楽が楽しくなっていくと伝えることが必要なのかなって。その頃のシーンに戻したいって思い続けてるんです。だけど、今は音楽に限らず連帯意識が強すぎるがあまり、いろんなものが閉鎖的ですよね。これって、何なんですかね?
—不特定多数の人に誇示するための「作った自分」を本当にしなくちゃいけない仕組みと空気が蔓延しすぎて、本当の自分や「ひとり」に不安を抱くことが多くなって。その裏返しが、極端な同調意識に繋がってる感じがするんですけど。しかも、自分が安心したいがために人を簡単に攻撃しちゃう世の中ですよね。GENくんにとっては、どういう世界に見えてるんですか。
GEN:不安かあ……確かにいろんな人が、知覚を奪われてる感じがしますよね。考える力が減ってるというか。本来、すべては自分の好き嫌いだけでいいのに、他の意見を横目に見てから、「よし、好きって言っていいんだ」って人が多いじゃないですか。もちろん、自分の好き嫌いをはっきりするっていうのは、誰かを傷つけていいっていう意味じゃない。でも、思ったことを言わないのが一番得をするっていう世の中は気持ち悪いんです。
合ってようが合ってなかろうが、意見は言えばいい。考え方が違うなら、議論してみればいいじゃないですか。そこから面白いものがたくさん生まれてくるわけだし、そのためにも、僕はいろんな知識や栄養を溜めたいんです。
—いろんなカルチャーに対する好奇心や知識が、社会と人との接点になっていくという意味ですよね。
GEN:そうですね。……あ、それで今ひとつ思ったのは、今はYouTuberが人気ですよね。人気なのは、クラスの中で言ったら中心人物じゃない人が活躍しているっていうのが、ポイントだと思うんです。これはYouTuberの人を悪く言ってるんじゃないですよ?
—わかります。
GEN:身近にいそうなお兄ちゃんがいろんなことをやっているのが、人にとっては安心できるポイントのような気がしていて。日常に近いし、自分のコンプレックスを刺激されることもないから。だけど僕はやっぱり、イケてるものに触れてイケてるものを吸収したいんです。安心を求めて落ち着くのもいいけど、それは最終目的じゃないし、安心だけを求めていたら、ただのぬるま湯で。安心が必要なのは、そこからいろんなところへ行くためだと思うから。
人と人がぶつかり合って音を出す生々しさからしか、人の想像を超えるものは生まれない。だから僕はロックバンドをやり続けたいんです。
—間違いないですね。そういう意味で言うと、一旦の集大成だった『SOIL』のツアーも終えて、『YON FES』も終えた今、どういうところに飛び出していきたいですか。
GEN:やりたいことがどんどん増えてるんですよ、最近(笑)。具体的に言うと、まずギャラリーを作りたい。ギャラリーを作れば、服を作る友達がポップアップショップもやれるし、絵を描いたり写真を撮ったりしている友達が個展もやれる。そこが出会いの場所にもなるだろうし、いろんなアーティストが集まる基地になると思うんですよ。そうすれば、音楽に紐づくカルチャーや背景を全部一緒に伝えられるし、何より友達を喜ばすことができるから。
あとは……たとえば、僕達のCDのジャケットを描いている村本咲は天才だと思うんです。だけど天才って、自分のマネジメントや計算ができない。そういう部分を手伝えたらいいなって思ったり。いろんな人と繋がりを作ってこられた自分だからこそ、今まで出会ってきた人とのコミュニティが作りたいですね。もちろん、個人で音楽もやってみたいし。
—今のお話って、9割5分は音楽自体じゃなくて音楽周辺のことだと思うんですね。そこから音楽やロックに還元できるものって、言葉にするとどういうものなんですか。
GEN:還元されるというよりは……僕がどれだけいろんなものに興味を持っても、絶対にバンドマンが一番カッコいいと思うのは変わらないんですよ。だから何を吸収しても、全部音楽に反映されていくし、いろんなカルチャーに触れるのが大事なのは、音楽を社会に接続して仕掛けていくアイデアは音楽以外から学ぶことが多いからなんですよね。じゃあなぜ人や社会に届けたいかって、やっぱり人の知覚を目覚めさせたいって思うからなんですよ。
—それが、ロックバンドをやる上での夢や信念なんですね。
GEN:そうだと思います。確かに今はヒップホップの勢いがすごいし、盛り上がってるし、お洒落だし、僕も好きですよ。ただ、実際にライブを見ていると、ロックバンドに勝ち目がないなんて思わないんです。結局、人と人がぶつかり合って音を出す生々しさからしか、人の想像を超えたり、本当の意味でアガったりするものは生まれない。だから僕はロックバンドをやり続けたいんですよね。
- イベント情報
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- 『YON FES 2019』
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2019年4月6日(土)、4月7日(日)
会場:愛知県 モリコロパーク(愛・地球博記念公園)出演:
4月6日(土)
04 Limited Sazabys
10-FEET
BiSH
My Hair is Bad
ONIONRING
SHANK
teto
かりゆし58
四星球
ナードマグネット
ヤングオオハラ4月7日(日)
04 Limited Sazabys
BLUE ENCOUNT
ENTH
Hump Back
KEYTALK
SiM
SPECIAL OTHERS
SUPER BEAVER
Survive Said The Prophet
クリープハイプ
ハルカミライ
- リリース情報
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- 04 Limited Sazabys
『SOIL』通常盤(CD) -
2018年10月10日(水)発売
価格:2,916円(税込)
COCP-404941. message
2. My HERO
3. Brain sugar
4. Utopia
5. Milestone
6. Password
7. Alien
8. Kitchen
9. Galapagos
10. memory lane
11. Shine
12. Squall
- 04 Limited Sazabys
- プロフィール
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- 04 Limited Sazabys (ふぉー りみてっど さざびーず)
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GEN(Vo,Ba)、HIROKAZ(Gt)、RYU-TA(Gt,Cho)、KOUHEI(Dr,Cho)による4ピースロックバンド。2008年、名古屋にて結成。2015年4月に1st フルアルバム『CAVU』でメジャーデビューし、2016年にはバンド主催の野外フェス『YON FES 2016』を地元・愛知県で初開催。2018年には結成10周年を迎え、東名阪アリーナツアーを行なった。同年10月10日には3rd フルアルバム『SOIL』をリリース。
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