10月8日から東京・有楽町スバル座ほか全国で公開される深田晃司監督の映画『淵に立つ』の主題歌が発表された。
『第69回カンヌ国際映画祭』ある視点部門の審査員賞に輝いた同作は、ある夫婦のもとに突然1人の男が現れ、奇妙な共同生活が始まったことから、夫婦それぞれが抱える秘密が明らかになっていく様を描いた作品。夫婦を翻弄する男役を浅野忠信、夫婦役を古舘寛治、筒井真理子が演じるほか、太賀、三浦貴大らが出演者に名を連ねている。
主題歌に起用されたのは、HARUHIの新曲“Lullaby”。佐藤健の主演映画『世界から猫が消えたなら』の主題歌“ひずみ”でデビューしたHARUHIは、アメリカ・ロサンゼルス出身の17歳だ。“Lullaby”は作詞作曲をHARUHIが手掛けた全英語詞の楽曲となり、編曲に小林武史が参加している。
深田監督は同曲について「出てきた曲を聴いて、驚きました。期待を軽々と越えていました。この映画は本当の意味で、映画と歌い手がコラボレーションできた稀有な例だと自負しています」と太鼓判を押している。
また今回の発表とあわせて映画のポスタービジュアルが公開。ポスターには「あの男が現れるまで、私たちは家族だった」というコピーと共に、シーツから顔を覗かせる浅野の姿と、切り離された家族写真が写し出されている。
HARUHIのコメント
人が人と生きることにはこんなにも痛みが伴うのか。この作品を観てからずっと考え続けています。
この曲は、生まれくるすべての人を思う子守唄です。
すべての生命を包みこむ、そういうぬくもりを感じてもらえたら嬉しいです。深田晃司監督のコメント
いざこの映画の主題歌をどうすべきかと考えたとき、それが大変な難題であることに気づきました。必要な言葉はもうすべて映画の中にあるよ、と生意気にも考えていたからです。それに余韻も壊したくない。だから、私はこんなお願いをしました。「絶望も希望も歌いあげないで下さい。この映画は崖の淵から下を見るように人の心の闇、生きることの闇をできるだけ理性的に覗き込もうと試みてます。音楽もまたその闇をじっと見つめそこから滲み出る畏れのようなものをHARUHIさんなりに書き留めたものであって欲しいです」と。率直に主題歌らしくない主題歌にして欲しいとも伝えました。
出てきた曲を聴いて、驚きました。期待を軽々と越えていました。この映画は本当の意味で、映画と歌い手がコラボレーションできた稀有な例だと自負しています。聴き終わったときには、私はすっかりHARUHIさんのファンになっていました。この映画が、彼女の伸びやかで繊細な歌声とともに多くの人の元に届き、ともに成長していくのを楽しみにしています。