ヒト・シュタイエルの著書『デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術 星を覆う内戦時代のアート』が9月25日に刊行される。
1966年にドイツ・ミュンヘンに生まれたヒト・シュタイエルは、アーティスト、映像作家、著述家。日本映画学校に学び、ミュンヘン映像単科大学でドキュメンタリー制作を専攻し、オーストリア・ウィーン美術アカデミーで哲学の博士号を取得した。単著に『真実の色』『スクリーンに呪われたる存在』『表象の向こう側』がある。2017年に『Art Review』誌「美術界で影響力のある人物トップ100」第1位を獲得。2019年に『ケーテ・コルヴィッツ賞』を受賞した。現在はベルリン芸術大学美術学部の教授。
ヒト・シュタイエルにとって初の邦訳書となる同書では、現代美術、資本主義、政治、戦争、破壊されたインターネットの交差点で、デジタルグローバリゼーション時代のアートと、その生産、流通、消費の変容を考察。スパム、ボット軍団、ウィキリークス・ファイル、電子メールのロマンス詐欺、通貨としてのアート、3Dプリンター技術、ビデオゲーム、政治的アクション、ファシズム、言語といった現代的なトピックを用いて、グローバリゼーションによる富と権力の格差、高度にコンピュータ化された時代の視覚文化やアート制作における矛盾を明らかにする。翻訳は大森俊克。
刊行に際して美術理論家、哲学者のボリス・グロイスの推薦コメントが寄せられている。
ボリス・グロイスのコメント
理論と芸術の最たる義務は、同時代性を認識しそれを明確に語ることである。今日、他の追随を許さぬほどにこの義務を果たすヒト・シュタイエルの思考は、グローバルに流通する今日のイメージと言語の行く末に投げかけられ、つねに透徹している。大胆で予想を裏切り、そして魅力的である。
- 書籍情報
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『デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術 星を覆う内戦時代のアート』
2021年9月25日(土)発売 著者:ヒト・シュタイエル 訳者:大森俊克 価格:2,600円(税抜) 発行:フィルムアート社