新型コロナウイルス感染症で中止が決まったイベントを、急遽配信に切り替え。2日間に込めた思いをレポート
3月7日、8日の2日間にわたって、Instagram上でライブ配信された『ちょっと聞いてやスナック』。大阪の商業施設であるLUCUA osakaの5周年を祝し開催された『ルクア大阪の5周年祭』のイベントのひとつとして、期間限定で館内に設けた「スナック」を通じ、お買い物に訪れた人たちと友人のように打ち解けた関係を築きたいという思いからスタートしたこの企画。本来、3月6日から3日間、ルクア大阪9階ルクアホールで観客を招いて開催予定だったところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により中止されたことを受け、急遽東京都内のスタジオからライブ配信で実施することとなった。
多くの文化イベントが自粛を余儀なくされ、作り手たちがそれぞれにできることを模索するなかで行われたこの配信には、もともと参加予定だったすべての出演者が(関西在住のアーティストも含め)、出演した。2日間の模様を前後編に分けてレポートする。
チャラン・ポ・ランタンももの元に柴田紗希が登場。初めましての「ママ」対談
スナックをイメージしたセットから、『ちょっと聞いてやスナック』のママを務めるチャラン・ポ・ランタンもものほがらかな挨拶によって2日間限定のスナックは開店。オープンに寄せて、スナックのアルバイト店員こと、アシスタントのShe is編集長・野村由芽が、ルクア大阪から届いた手紙を代読した。
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『ちょっと聞いてやスナック』に応援の声を寄せてくれた人々や出演アーティストへの感謝、配信への意気込みなど熱い思いが届けられるなか、ドアベル風の「カランカラン」という音とともに、「ちょっと聞いてやスナック」最初のお客さんであるモデルの柴田紗希が登場。「友達」がテーマとなっているこのスナック。当日が初対面となったももと柴田は、お互いの名前の呼び方を「しばさき」「ももちゃん」とおずおずと確認しつつ、水割りに使われるようなカットグラスに入ったお水で乾杯。
『ルクア大阪の5周年祭』のメインビジュアルでは、イメージモデルとしてスナックのママ役をつとめた柴田。撮影にはプライベートな友人がモデルとして参加していたのだそう。
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しばさきの愛称で幅広い年齢層の女性から親しまれる愛知県出身のモデル。人気女性ファッション誌「mer」で12ヶ月連続表紙を飾り、自身がプロデュースする配信番組で自らセレクトした洋服とヴィンテージアイテムの販売も行う。
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そこからそれぞれの友人関係についての話題に発展し、同業のモデルの友達も多いと話す柴田に対し、「ボーカル同士で仲よくなるのが想像できない!」というもも。一方で、飛行機で偶然隣の席になったことをきっかけに、結婚式まで行くほどの関係になったことがあるという柴田と、気がつけば名前も知らないような人と飲んでいることがあるというももは、仲よくなるきっかけがインスピレーションであるという点や、友人とは銭湯に行くことが多いという共通点で盛り上がり、初対面ながら「このあと銭湯行こう!」と話すほど意気投合する様子を見せた。
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仲よしのこやまたくや×ピエール中野に、カツセマサヒコが加わる異色男子会
続いて来店したのは、「寿司くん」ことこやまたくや(ヤバイTシャツ屋さん)と、ピエール中野(凛として時雨)、フリーライター・編集者のカツセマサヒコ。ここでももと野村はいったん退場し、カツセがMCとして、男性3名で「男友達」をテーマにトークを始める。
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数年前に知り合ってから、年齢差がありながらもプライベートでテーマパークへ一緒に行く仲だという、こやまとピエール。「ヤバTをお茶の間で見かけるようになったのがめちゃくちゃ嬉しい」と話し、当日もヤバイTシャツ屋さんのパーカーを着用してきたピエールに対し、「共感できるところが多い」とこやまが話すように、普段の関係性がうかがえる打ち解けた会話が続く。
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映像作家としての活動を中心に数多くのアーティストのMUSIC VIDEOを手がけ、岡崎体育「MUSIC VIDEO」のMUSIC VIDEOでは『第20回文化庁メディア芸術祭』の「エンターテインメント部門 新人賞」を受賞した。自主制作アニメ「寿司くん」も制作している。また、「こやまたくや」名義でバンド「ヤバイTシャツ屋さん」でGt.Vo.を担当し、作詞作曲も担当。自身のバンド以外への楽曲提供も手がける。
ピエール中野(ぴえーる なかの)
凛として時雨のドラマーであり、手数、足数を駆使した高度なテクニックと表現力で、豪快かつ繊細な圧倒的プレイスタイルを確立。ドラマーの枠を超えた幅広い活動を展開しており、卓越したエゴサ能力、ピエール中野モデルのイヤホン・通称“ピヤホン”が爆発ヒットするなど、各所で話題を呼びまくる!
ゆるやかな空気につられてか、「お母さんの手料理は何が好きですか?」「来世は何の職業に就きたいですか?」「好きな寿司ネタは?」などほのぼのした質問が視聴者から寄せられた。
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1986年東京生まれ。編集プロダクションでのライター・編集者経験を経て、2017年4月に独立。取材記事や小説、エッセイの執筆・編集を主な領域としつつ、PR企画やメディア出演など、活躍の場を広げる。
『ルクア大阪の5周年祭』では、「#これしたら友達」というハッシュタグで、友達について考える企画が実施されていたが、3人も同様にそれぞれの「これしたら友達」について発表。まずはこやまが、音偏に「中野」と書いて「ピヤホン」(ピエール中野が監修したイヤホンの通称)と読むと回答したあと、「小ボケかませたら友達」と、その真意をあらためて発表。
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ファンからSNSでフォローを依頼されたら、ほぼフォローバックするというピエールは「生きてたら友達」と回答。配信を見ている視聴者に向けて「みんなピエール中野の友達ってTwitterとかで言っていいです」と話した。
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3番目となったカツセの答えは「恥を話したら友達」。
学生時代、試験中のカンニングがバレてしまったことを友人に打ち明けたところ、笑い飛ばしてくれて安心したというエピソードを披露するなど、三者三様の回答となった。
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再び登場したももが、「男友達って、女友達とは違うテンポ感。どんどん話題が移り変わっていく感じがした」と感想を述べていたように、信頼関係があるからこその息がぴたりと合ったトークが展開された。
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春を感じさせるさわやかなYeYeの歌声から始まる、歌の時間
ここからは、4組のライブに突入。照明を少し落としてムードを増した空間に、当日京都からやってきたYeYeが登場。関西在住ということもあってルクア大阪には何度か訪れているというYeYeは、“うんざりですよ”から穏やかに弾き語りをはじめる。
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1989年生まれ。2011年に発売されたデビュー・アルバム『朝を開けだして、夜をとじるまで』は作詞作曲は勿論、全ての楽器の演奏までをセルフ・プロデュースで行い、翌年のCDショップ大賞ではニューブラッド賞を受賞。キューピー「アヲハタ ジャム」、ららぽーと、日本郵政、任天堂3DSソフト「ファンタジーライフ」、ワコールなど数々のCMへの楽曲提供や出演を行うなど、現在その活動の幅を広げている。
部屋の窓を開けて、空気を入れ替えるようなすがすがしい演奏に、配信視聴者からも「心地いい」「癒される」などのコメントが送られ、曲間のMCでは「褒めるコメントばかりで自分で声に出して読むのが恥ずかしい」と照れながらも、感想や質問を読みあげて視聴者と交流。最後に歌った“ゆらゆら”では、途中で一瞬歌詞が飛んでしまい、視聴者に「(Instagramの)コメントで歌詞をもらってもいいですか?」と請う微笑ましい一幕も。3月上旬とまだ寒さも感じる季節だったが、ライブ後は不思議と、春の香りすら感じるようだった。
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インスタライブらしく、ほがらかな会話の生まれた柴田聡子のライブ
次に登場したのは柴田聡子。ももが柴田のリップの色を褒めるなごやかなやりとりのあと、“結婚しました”からスタート。
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1986年札幌市生まれ。恩師の助言により2010年より音楽活動を開始。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のオリジナルアルバムをリリースしている。2016年に上梓した初の詩集『さばーく』では現代詩の新人賞を受賞。雑誌『文學界』でコラムを連載しており、歌詞にとどまらない独特な言葉の力が注目を集めている。
コメントで巻き起こるたくさんの「聡子」コールに曲の合間、少しおどけてみたり、近くで聴き入るももと視線を合わせて笑い合ったりしながら、“遊んで暮らして”“後悔”などを、時折体を揺らしながら言葉とメロディーを解き放つように歌う。“ワンコロメーター”ではコメントに愛らしい犬の絵文字が飛び交ったり、柴田が歌うタイミングに合わせて合唱するように歌詞がコメント投稿されたりと、配信ライブならではの盛り上がりを見せた。
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SHE IS SUMMERのプチトーク&ライブ。その場限りのコラボや新曲披露も
ライブ3組目となったMICO によるソロプロジェクト、SHE IS SUMMERは、イラストレーターのたなかみさきと共に登場。普段から親交がある3名だけあって、本当のスナックに訪れた常連のように和気あいあいとした雰囲気のなか、ライブはギターに伊藤翔磨を迎えたアコースティック編成で展開。
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配信でのライブとなったことを受け、4月8日配信の新曲“綺麗にきみをあいしてたい”を披露。視聴者もいっそうの喜びを見せるなか、ももを呼び寄せ、SHE IS SUMMERの楽曲を一緒に歌うスナックらしい展開に。ももが好きだという“とびきりのおしゃれして別れ話を”を2人揃って楽しそうに歌い、コメント欄にも拍手のスタンプが踊った。
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吉澤嘉代子のトーク&ライブでは、友達のたなかみさきも登場
4組目には、引き続き店内に残ったたなかみさきとともに、吉澤嘉代子をお出迎え。吉澤のシングル『月曜日戦争』(2017年5月発売)のジャケットとMVにたなかがイラストを書き下ろしたことをきっかけに、友人関係になったというたなかと吉澤。2018年にリリースされた吉澤のアルバム『女優姉妹』収録の“洋梨”では歌詞を共作し、デュエットしている。
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当日のファッションについて吉澤が「若草物語」をイメージしたのに対し、黒のシースルーワンピースでセクシーにまとめたたなか。しかし、対照的なキャラクターながら、ももが「見ていて照れる」と話すほど距離感の近さが伺えた。
続く吉澤のライブでは、エモーショナルな“残ってる”から“ジャイアンみたい”へとシームレスに展開したところで、吉澤がたなかを呼び込み、吉澤もギターを置いて“洋梨”をコミカルでキュートな振り付けとともに披露した。
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1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場育ち。2014年メジャーデビュー。2017年にバカリズム作ドラマ『架空OL日記』の主題歌「月曜日戦争」を書き下ろす。2ndシングル「残ってる」がロングヒットする中、2018年11月7日に4thアルバム『女優姉妹』をリリース。
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ももとみさきの友達談義で1日目の終わりを飾る
1日目ラストの配信となったのは、ももとたなかみさきのトーク。このタイミングでももは、1980年代風の柄物ワンピースと大きなイヤリング、赤いエナメルのパンプスという衣装にチェンジ。このイベントに際してママとして着用した衣装は、スナックで働いている友人が現役で使用しているものを借り受けたのだそう。
衣装も変わって、よりスナック感が高まるなかスタートし、まず話題は2人の関係性について。SNSを通じてお互いに存在を知っていて、とある忘年会で実際に出会ったところ、やはり「ハモった」2人が仲よくなったのは最近のこと。それ以来、たなかの自宅にももが遊びに行く機会もあったのだそう。
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1993年生まれ。姉・小春との音楽ユニット「チャラン・ポ・ランタン」メンバー。ボーカルを担当。映画、舞台などユニット以外にソロで女優としても活動する。
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1992年11月14日生まれ。イラストレーター。お酒、歌謡、哀愁をこよなく愛し、それらは作品の中で色気を匂わせている、誰もが感じた事のある、あの青春を追い求めて。
視聴者から寄せられるコメントに答える形でトークは展開し、「男女の友情ってありですか?」という質問に対し、「全然ある。でもいったん男女の仲になった場合、また友達として会える人と、会えない人がいるよね」と切り出し、「未来についての話ができることが重要。過去のことしか話せない人との関係は長くないなって思う」というたなかの言葉を受けて、10代の頃に友情から恋愛に発展した際の経験を話す、もも。中学生からの付き合いだった相手の対応が、ももが歌をはじめたことをきっかけに変わってしまったのだそう。その彼から当時言われた辛辣な言葉を思い出すと今も辛いというももに、視聴者から励ましのコメントが届く暖かいやりとりも。
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波長が合う2人だけあって話も徐々に深まっていくなか、“蛍の光”が流れ、スナックは閉店の時間に。もももたなかも「思ってもみなかった話しをしたね」と話していたように、「スナック」という設定が形作る場の力を借りて、初日から親密な空気の漂う1日となった。
この日の出演者の「#これしたら友達」をチェキと共にお届け
柴田紗希
一緒にごはんたのしめたら友達
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こやまたくや
小ボケかませたら友達
ピエール中野
生きてたら友達
カツセマサヒコ
恥を話したら友達
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YeYe
友だちと確認すらない
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柴田聡子
お茶したら友達
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SHE IS SUMMER
連絡したくなったら友達
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たなかみさき
友達でも両思いになれたらいいな
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- イベント情報
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- プロフィール
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- もも
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1993年生まれ。姉・小春との音楽ユニット「チャラン・ポ・ランタン」メンバー。ボーカルを担当。映画、舞台などユニット以外にソロで女優としても活動する。
- 柴田紗希 (しばた さき)
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しばさきの愛称で幅広い年齢層の女性から親しまれる愛知県出身のモデル。人気女性ファッション誌『mer』で12ヶ月連続表紙を飾り、自身がプロデュースする配信番組で自らセレクトした洋服とヴィンテージアイテムの販売も行う。
- こやまたくや
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映像作家としての活動を中心に数多くのアーティストのMUSIC VIDEOを手がけ、岡崎体育“MUSIC VIDEO”のMUSIC VIDEOでは『第20回文化庁メディア芸術祭』の「エンターテインメント部門 新人賞」を受賞した。自主制作アニメ「寿司くん」も制作している。また、「こやまたくや」名義でバンド「ヤバイTシャツ屋さん」でGt.Vo.を担当し、作詞作曲も担当。自身のバンド以外への楽曲提供も手がける。
- ピエール中野 (ぴえーるなかの)
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凛として時雨のドラマーであり、手数、足数を駆使した高度なテクニックと表現力で、豪快かつ繊細な圧倒的プレイスタイルを確立。ドラマーの枠を超えた幅広い活動を展開しており、卓越したエゴサ能力、ピエール中野モデルのイヤホン・通称“ピヤホン”が爆発ヒットするなど、各所で話題を呼びまくる!
- カツセマサヒコ
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1986年東京生まれ。編集プロダクションでのライター・編集者経験を経て、2017年4月に独立。取材記事や小説、エッセイの執筆・編集を主な領域としつつ、PR企画やメディア出演など、活躍の場を広げる。
- YeYe (ぃえぃえ)
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2011年デビュー。翌年のCDショップ大賞ではニューブラッド賞を受賞。2014年、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の全国ツアーにバンド・メンバーの一員としてフジロックやRSRといったフェスを含む全公演に参加。様々なアーティスト楽曲にゲストヴォーカルとして参加し、更に多くのCMへの楽曲提供や出演を行うなど、その活動の幅を広げている。現在までに5枚のアルバムをリリースし、京都を拠点に日々創作活動を続けている。彼女自身5枚目のアルバムとなる『30』が全国のレコード店にて発売中及び各ストリーミングサイトにて配信中。
- 柴田聡子 (しばた さとこ)
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1986年札幌市生まれ。恩師の助言により2010年より音楽活動を開始。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のオリジナルアルバムをリリースしている。去る10月にはバンド編成「柴田聡子inFIRE」による、初のバンドライブ盤『SATOKO SHIBATATOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。また、2016年に上梓した初の詩集『さばーく』では現代詩の新人賞を受賞。雑誌『文學界』でコラムを連載しており、歌詞にとどまらない独特な言葉の力が注目を集めている。2017年にはNHKのドラマ『許さないという暴力について考えろ』に主人公の姉役として出演するなど、その表現は形態を選ばない。
- SHE IS SUMMER (しー いず さまー)
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リアルなガールズマインドを歌う「MICO」のソロプロジェクト。2016年、1st E.P『LOVELY FRUSTRATION E.P.』でデビュー、リード曲“とびきりのおしゃれして別れ話を”は、YouTubeの再生回数が370万回を超える。昨年11月、初のドラマ主題歌“Bloom in the city”を含む、2nd Album『WAVE MOTION』をリリース。2月23日から、ワンマンライブ『WAVE MOTION TOUR』を東名阪にて開催。また、自身のアーティスト活動と並行し、WEB雑貨店「LIFE LETTER」を展開するなど幅広い活動を行いカルチャー、ファッションアイコンとしても注目を集める。
- 吉澤嘉代子 (よしざわ かよこ)
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1990年、埼玉県川口市生まれ。鋳物工場育ち。2014年メジャーデビュー。2017年にバカリズム作ドラマ『架空OL日記』の主題歌“月曜日戦争”を書き下ろす。2ndシングル『残ってる』がロングヒットする中、2018年11月7日に4thアルバム『女優姉妹』をリリース。
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