「かわいい」ってなんだろう?
いまや「Kawaii」としてワールドワイドにも広まっているこの言葉。どうやら、そこには単に「キュート」という英語とは置き換えられないような、不思議なニュアンスが加わってきているような気がする。特にここ最近では、その意味合いや指し示す対象も広まってきたと思う。いろんなタイプの「かわいい」が、ある。
2月14日から新宿シネマカリテにて劇場公開がスタートした映画『おんなのこきらい』は、そんな「かわいい」の表側と裏側を描いたような作品だ。主演をつとめた森川葵のルックス自体は、そりゃもう、文句なしにかわいい。でも彼女が演じる主人公・キリコは「自分が誰よりもかわいいと思っているOL」という役柄で、そうなると話はちょっと面倒になってくる。キリコのキャラクターを一言でいうと「かわいいけれど、性格は最悪」。職場の男たちにはチヤホヤされ、しかし「お前らと一緒にすんな、ブス!」と吐き捨てたりして女性からは嫌われまくる。女の子の価値はかわいいことが全てと信じ、でも家に帰るとお菓子をひたすら口に運んでしまう過食症の23歳。彼女が追い求める「かわいさ」の持つ毒が、徐々に周りと自分を侵食していくようなストーリーだ。
『おんなのこきらいナイト』が開催
2月12日には、この映画の公開と主題歌および劇中歌を手掛けたふぇのたすのメジャーデビューを記念して、渋谷2.5Dにてスペシャルイベント『おんなのこきらいナイト』が開催された。
『おんなのこきらい』は、『MOOSIC LAB 2014』に出品され、準グランプリ、観客賞、最優秀女優賞、男優賞という4冠に輝いた作品だ。そもそも音楽と映画の実験室「MOOSIC LAB」から生まれただけに、ふぇのたすの音楽は、この映画の世界観やストーリーにおいても大きなキーになっている。
というわけでこの日のイベントには、加藤綾佳監督、出演者の木口健太と加弥乃に加え、みこ(Vo)、ヤマモトショウ(Gt,Syn)、澤“sweets”ミキヒコ(デジタルパーカッション)というふぇのたすの三人が集合。メイキング映像をまじえたトークセッション、さらにはミニライブで映画の成り立ちを明かす貴重な機会となった。
トークセッションでは森川葵の可愛いさも話題に
トークセッションはゆるいムードで進行。加藤監督は、動画サイトで見たふぇのたすの“かわいいだけじゃダメみたい”からインスパイアされて今作の脚本作りが始まったと語る。一方、みこは「まずは飲み会の誘いだったんで」と、クランクイン以前の付き合いから今回のプロジェクトに参加していたことを明かす。
主題歌となった“女の子入門”は、ヤマモトショウによると「もともと持ち曲としてあったけれど、実はボツにしかけていた曲」なのだという。映画の台本を見てドンピシャだと感じ、途中まで書いていた曲を完成させたのだとか。歌詞の1番はもともとあったけれど、2番は映画にあわせて書いたという成り立ちを持つ曲なのだそうだ。
主演の森川葵については、ヤマモトショウが「あんな可愛い子には現実に出会ったことがない」と言ったり、みこが「葵ちゃんくらい可愛ければ自分のことが可愛いって思っても大丈夫」と言ったりと、皆が絶賛。その迫真の演技も話題となっていた。
また、ふぇのたすのメンバーはキャストとしても名を連ね、劇中にも登場している。みこが「もともと私カフェで働いてたんですよ」とカフェ店員としての演技について自信を語ったり、そこからミュージカル調に演奏シーンに突入する演出について「カフェでのふぇのたすは妖精なんです!」と加藤監督が熱弁したりと、様々なエピソードを明かしてくれた。
ふぇのたすによるミニライブでは5曲が披露
そして、ライブでは、映画に用いられた“かわいいだけじゃダメみたい”“たびたびアバンチュール”“おばけになっても”“女の子入門”の4曲に加えて、3月11日にリリースされるメジャー1stミニアルバム『PS2015』に収録される“夜更かしメトロ”を披露。振り付けや手拍子なども交えてキャッチーなエレクトロポップの曲調で集まったお客さんを沸かせていた。
この日のイベントについて、加藤監督は「この曲達がなかったら映画のセリフや台本がなかったのかもしれないと思い感慨深くなりました。ちなみに“女の子入門”の2番は、14日から公開されるディレクターズカット版でしか観れません! 皆様ぜひぜひ劇場へ遊びにきてください」と、ふぇのたすは「ずっと映画の主題歌を歌い舞台挨拶をすることに憧れていたので、今日は夢のなかにいるような気持ちでした。主題歌のみならずカフェの店員に扮した私達も映画で見ることが出来るのでぜひぜひ観に来てください」とコメントしている。
筆者が印象に残ったのは、トークセッションの中でみこがふと漏らした「私、この映画観て泣いちゃったんです。女の子だったら泣いちゃいますよね?」という言葉。終始楽しげで和やかなムードだったイベントとライブの中で、この言葉だけがふわっと宙に浮いていた感触だった。
「かわいい」には、いろいろある。女の子には、いろいろある。だから大変だし、難しいし、だからこそ楽しい。この映画は、そういうことを鮮やかに浮かび上がらせているようだ。
- イベント情報
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- 『映画『おんなのこきらい』公開&ふぇのたすメジャーデビュー記念『おんなのこきらいナイト』
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2015年2月12日(木)19:00~21:30
会場:東京都 渋谷 2.5D
- 作品情報
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- 『おんなのこきらい』
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2015年2月14日(土)からシネマカリテで公開中
監督・脚本:加藤綾佳
主題歌・劇中歌:ふぇのたす
出演:
森川葵
木口健太
谷啓吾
井上早紀
加弥乃
松澤匠
巴山祐樹
緑茶麻悠
ふぇのたす
配給:SPOTTED PRODCTIONS
- リリース情報
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- ふぇのたす
『PS2015』(CD) -
2015年3月11日(水)発売
価格:2,160円(税込)
UMCK-15071. 今夜がおわらない
2. ふふふ
3. 女の子入門
4. ファッション戦争
5. サラダになあれ
6. 夜更かしメトロ
- ふぇのたす
- イベント情報
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- ふぇのたす
『PS2015』発売記念 東京・大阪リリースパーティー -
2015年4月1日(水)
会場:大阪府 Pangea2015年4月3日(金)
会場:東京都 Super Deluxe
- ふぇのたす
- プロフィール
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- ふぇのたす
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2012年、なつに結成された、みこ(Vo.)、ヤマモトショウ(Gt.,Syn.)、澤“Sweets”ミキヒコ(Digital Per.)からなる3人組音楽グループ。東京で、別のバンドで活躍していたヤマモトショウと澤“Sweets”ミキヒコに、シンガーソングライターとして活躍していたみこがヴォーカリストとして加わる。2013年、なつに1st Mini Album「2013 ねん、なつ」をインディーズでリリース。吉田豪氏の絶賛を受ける。2014年、5月にリリースした2nd Mini Album「胸キュン’14」では、タワーレコード新宿店ウィークリーチャート3位、ヴィレッジヴァンガード日刊商品ランキングで第3位を記録!2014年6月に行った渋谷WWWワンマンライブはSOLD OUT!、12月には渋谷CLUB QUATRROのワンマンライブを大成功に終わらせた。ふぇのたすの世界観を元にして作られた映画「おんなのこきらい」(監督:加藤綾佳、主演:森川葵)が2015年2月より全国放映決定。メンバーも出演し、スクリーンデビューも果たす。80’sエレクトロポップなサウンドに、一度聴いたら忘れられない親しみやすいメロディ、みこのキュートなボーカルが特徴。そのゆるかわいさは、中毒性10000%!あなたもふぇのたすにやみつきになること間違いなし!
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