橘慶太の決意が、w-inds.の未来を大きく変えようとしている
橘慶太は、時代の流れを的確に読む嗅覚、審美眼、そして聴覚を持っている。通算40枚目となるニューシングル“Dirty Talk”を聴いてあらためて思い知らされた。
それは彼がw-inds.の楽曲をセルフプロデュースする前から発揮されていたものだが、自らの手でw-inds.の音楽的なイニシアティブを完全に握るようになってから、彼の特異なセンスはますます研ぎ澄まされている。
w-inds.“Dirty Talk”を聴く(Spotifyを開く)
37枚目のシングル『Backstage』(2016年)のカップリングとして収録されている“Treasure”で慶太が初めてw-inds.の詞曲を書き下ろしたとき、彼には「ファンに対してグループを私物化して申し訳ない」という遠慮がちな思いがあったという。しかし、そんな本人の思いとは裏腹に多くのファンは慶太によるw-inds.のセルフプロデュースを歓迎。慶太も、ストイックに学びながら向上している自身の音楽力をw-inds.に注ぐことがグループの発展に直結するのであれば、自らの役割を全面的に引き受けようと決意する。
2018年、w-inds.は満を持してニュージャックスウィングに着手する
w-inds.が辿ってきた音楽的な変遷は前回のレビュー(w-inds.橘慶太の人間力を語る 4年前の取材から現在に至るまで)を参照していただきたいが、慶太がセルフプロデュース楽曲第3弾となる“Dirty Talk”でニュージャックスウィングのテイストを、「w-inds.流のポップス」として昇華しているところに彼の矜持が窺える。
慶太がこの楽曲をクリエイトするにあたり、ブルーノ・マーズを意識しているのは間違いないだろう。セルフプロデュースの第1弾“We Don't Need To Talk Anymore”ではトロピカルハウスを、第2弾“Time Has Gone”ではさらにディープハウスやフューチャーベースのビート感を織り交ぜてきた。つまり、過去2作ではEDM~ベースミュージックから派生したダンスミュージックのメソッドに則ったトラックメイクを実践してきたわけだが、慶太はこのタイミングでまた大きく音楽性の舵を切ったのである。
w-inds.とニュージャックスウィングというポイントにおいて忘れてはならないのは、2016年5月にリリースされた36枚目のシングル“Boom Word Up”の存在である。時期的には慶太のセルフプロデュース前夜にあたるこの曲は、海外のトラックメイカーのビートを採用。2014年にリリースした『Timeless』以降、「レトロモダン」というキーワードを掲げ、コンテンポラリーなブラックミュージックの潮流を意識した楽曲を推し進めていた当時のw-inds.にとって、トロピカルハウス路線へモードチェンジする前の最後の一曲として放ったのが“Boom Word Up”だった。
『24K Magic』リリースの半年前に橘慶太がインタビューで語っていたこと
先般の『第60回グラミー賞』において主要3部門を独占し、計6冠に輝く偉業を成し遂げたブルーノ・マーズ。ブルーノは授賞式のライブパフォーマンスでCardi Bとコラボレーションした“Finesse (Remix)“を披露した。
今回のグラミーの顔だったと言えるブルーノのアルバム『24K Magic』に収録されている“Finesse”と“Chunky”は作品の主軸となっている楽曲であり、テディー・ライリーが1980年代後半に発明し、ボビー・ブラウンを筆頭に1990年代前半に隆盛を極めたニュージャックスウィングを完璧に現代最高峰のポップナンバーにアップデートしている。
当然、慶太も『24K Magic』のクオリティーに大きな刺激を受けただろう。それと同時に悔しさも覚えたはずだ。“Boom Word Up”が完成したタイミングのインタビューで「これからはニュージャックスウィングがトレンドになると思うし、今のうちにやっておきたい」ということを慶太は確かに言っていた。『24K Magic』の発表は2016年11月だったのに対し、“Boom Word Up”は2016年5月リリースだった。
ブルーノ・マーズにライバル心を燃やす橘慶太の音楽家としての野望
『24K Magic』の世界的ヒットは慶太にとって“Boom Word Up”でニュージャックスウィングをピックアップした自らの感覚が間違っていなかったことを証明する事象でもあっただろう。そしてさらに言うと、セルフプロデュースするようになった今だからこそ、自らの手でニュージャックスウィングをw-inds.の色に染め上げてやろうとクリエイティビティーが熱く沸き上がった契機になったのではないだろうか。
近年、慶太は「自分が作っている曲は決して海外のアーティストのクオリティーに引けを取っていない」という趣旨の発言を度々口にしている。もはや彼にとって『グラミー賞』を獲得するアーティストは憧憬を抱く存在ではなく、いつか肩を並べられる存在になるかもしれないというリアルな目標になっているのだ。
“Time Has Gone”に続き、トラックダウンまでをも慶太が務めた“Dirty Talk”は、シンセのキメやリズムセクションを活かしたサウンドのバランスが素晴らしく、メロディーとコーラスワークという点で見ると、J-POPとしての強度もしっかり満たしている。また、千葉涼平と緒方龍一は特にダンスとラップの面で成熟した表現力を見せることで楽曲の魅力を引き立たてている。日々磨かれている橘慶太の手腕によって、ここからさらにw-inds.の音楽性がどのように進化していくのか。本当に楽しみだ。
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- リリース情報
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『Dirty Talk』初回限定盤(CD+DVD) -
2018年3月14日(水)発売
価格:1,500円(税込)
PCCA-04616[CD]
1. Dirty Talk
2. If I said I loved you
3. Dirty Talk(Instrumental)
4. If I said I loved you(Instrumental)
[DVD]
1. Dirty Talk Music Video
2. The Making of Dirty Talk Music Video
※個別サイン会参加券もしくはプレゼント応募券封入
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『Dirty Talk』RYOHEI盤(CD+DVD) -
2018年3月14日(水)タワーレコード限定発売
価格:1,500円(税込)
BRCA-00092[CD]
1. Dirty Talk
2. If I said I loved you
3. Dirty Talk(Instrumental)
4. If I said I loved you(Instrumental)
[DVD]
・Behind The Scene -RYOHEI-
※個別握手会参加券封入(RYOHEI)
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『Dirty Talk』KEITA盤(CD+DVD) -
2018年3月14日(水)タワーレコード限定発売
価格:1,500円(税込)
BRCA-00093[CD]
1. Dirty Talk
2. If I said I loved you
3. Dirty Talk(Instrumental)
4. If I said I loved you(Instrumental)
[DVD]
・Behind The Scene -KEITA-
※個別握手会参加券封入(KEITA)
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『Dirty Talk』RYUICHI盤(CD+DVD) -
2018年3月14日(水)タワーレコード限定発売
価格:1,500円(税込)
BRCA-00094[CD]
1. Dirty Talk
2. If I said I loved you
3. Dirty Talk(Instrumental)
4. If I said I loved you(Instrumental)
[DVD]
・Behind The Scene -RYUICHI-
※個別握手会参加券封入(RYUICHI)
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『Dirty Talk』通常盤(CD) -
2018年3月14日(水)発売
価格:1,000円(税込)
PCCA-70521. Dirty Talk
2. If I said I loved you
3. Dirty Talk(Instrumental)
4. If I said I loved you(Instrumental)
※一斉握手会に参加可能な告知フライヤー封入
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- イベント情報
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- 『w-inds. FAN CLUB LIVE TOUR 2018 ~ESCORT~』
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2018年3月3日(土)
会場:北海道 Zepp Sapporo2018年3月14日(水)
会場:東京都 中野サンプラザ2018年3月16日(金)
会場:愛知県 Zepp Nagoya2018年3月18日(日)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside2018年4/1(日)
会場:福岡県 福岡国際会議場・メインホール2018年4月30日(月・祝)
会場:神奈川県 パシフィコ横浜
- プロフィール
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- w-inds. (ういんず)
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橘慶太、千葉涼平、緒方龍一からなる3人組ダンスボーカルユニット。2000年11月から毎週日曜日、代々木公園や渋谷の路上でストリートパフォーマンスを開始。2001年3月14日にシングル『Forever Memories』でデビュー。同年リリースされた1stアルバム『w-inds.~1st message~』はオリコンチャート1位を記録。これまでに日本レコード大賞 金賞7回、最優秀作品賞1回を受賞し、NHK紅白歌合戦には6回出場と、実力・人気を不動のものとした。その活躍は、台湾・香港・韓国・中国・ベトナムなど東南アジア全域に拡がり、海外でも数々の賞を受賞。台湾ではアルバム4作連続総合チャート1位を記録。日本人として初の快挙を達成。21世紀という新しい時代に日本を中心に、世界中へ新しい風を巻き起こし続けている、男性ダンスボーカルユニット―――それがw-inds.である。
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