2023年4月2日、坂本龍一がこの世を去ったことを知ってから、言葉にならない喪失感を抱え続けている。ただ呆然とするほかないなか「Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し」という本人が好んだ一節に触れ、残された自分にできることがあるかもしれないと思った。氏が長きにわたり発表してきた膨大な音楽作品を振り返り、書き残すことで、またわたしたちは新たに音楽家・坂本龍一に出会いなおすことができるかもしれない。そんなことを考えた。
さまざまな書き手の方に「坂本さんの音楽について書いてくれませんか」とメールを送った。非常に多岐にわたる活動を展開し続けたからこそ、どこから、何から書くべきかは難しいのではないかと考え、「あなたが選ぶ、坂本龍一の『永遠の一枚』」というお題とともに。届いた原稿はさまざまだった。個人の記憶とともにひとつの作品について書いた人、ひとつの作品からさまざまなトピックを手繰り寄せて書いた人、あるいはテーマを設定していくつかの作品に言及しながら書いた人……そのどれもに、それぞれがとらえた音楽家・坂本龍一の姿を感じた。そして坂本龍一は、到底ひとりの人間がそのすべてをとらえきれる音楽家ではないのだということをあらためて思い知った。
だからもっと、いろんな人にそれぞれの視点で坂本龍一の音楽について書いたり、語ったりしてほしいと思う。そうすれば、わたしたちは何度でも坂本さんに出会いなおすことができるかもしれないから。この連載が、一人ひとりのなかに息づく坂本さんと対話するようなものであれば、と願っています。(CINRA編集部・山元翔一)
さまざまな書き手の方に「坂本さんの音楽について書いてくれませんか」とメールを送った。非常に多岐にわたる活動を展開し続けたからこそ、どこから、何から書くべきかは難しいのではないかと考え、「あなたが選ぶ、坂本龍一の『永遠の一枚』」というお題とともに。届いた原稿はさまざまだった。個人の記憶とともにひとつの作品について書いた人、ひとつの作品からさまざまなトピックを手繰り寄せて書いた人、あるいはテーマを設定していくつかの作品に言及しながら書いた人……そのどれもに、それぞれがとらえた音楽家・坂本龍一の姿を感じた。そして坂本龍一は、到底ひとりの人間がそのすべてをとらえきれる音楽家ではないのだということをあらためて思い知った。
だからもっと、いろんな人にそれぞれの視点で坂本龍一の音楽について書いたり、語ったりしてほしいと思う。そうすれば、わたしたちは何度でも坂本さんに出会いなおすことができるかもしれないから。この連載が、一人ひとりのなかに息づく坂本さんと対話するようなものであれば、と願っています。(CINRA編集部・山元翔一)
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